前回の続き・・・。
先週 5/13 (火)に日本テレビ系「ザ・世界仰天ユース」で舌がんを罹患した堀ちえみが取り上げられていた。
今回は、その内容を紹介したいと思う。
2018 年 5 月、ボイストレーニングを受けていた堀さん(当時 51 菜)。
トレーナーから正しい発声を身に付けるために舌の動きを鏡で確認しましょうと言われる。
その時、舌の裏側に小さな白い点を発見する。
口内炎?
特に痛みはなかったため気にも留めなかった。
その後も、平常通り仕事をこなしていた。
1ケ月後・・・。。
舌にピリピリと痺れるような違和感を覚える。
口内炎のようなものは少し大きくポツンとしたものになっていた。
翌日、定期的に通っている病院(内科)で相談すると・・・。
「ビタミン B が不足しているのかもしれない。」とビタミン剤が処方された。
この時点で、内科の医師も口内炎だと診断したわけである。
その数日後、食べ物がしみるようになってくる。
堀さんは、口内炎ができる理由を関節リウマチの薬を飲んでいたからだと思っていた。
50 歳の時に関節リウマチだと診断され、薬の代表的な副作用として「口内炎が出ることがあります」と医師に告げられていたからだ。
関節リウマチは体内で自己を攻撃する免疫反応が働き自分の関節を攻撃してしまう病気のため、薬で免疫反応を抑える必要がある。
しかし、強く抑えすぎると重度の口内炎を発症したり、白血球が減少したりすることがあり、感染症を引き起こすことがあるという。
その後も度々口内炎の痛みに悩まされたが、全く痛まない日もあった。
口内炎を見つけてから 4 ケ月程たった頃・・・。
常に痛むようになり、以前よりも大きくなり、ジュクジュクとした白い縁が出来てくる。
リウマチ科の定期診察を受ける。
医師の診断は、「(口内炎は)薬の副作用ですね。薬をやめれば治ると思いますが、また、リウマチの痛みが出るのもつらいですよね。薬は継続していきましょう。口内炎用にうがい薬を出しておきますよ。」と提案された。
リウマチ科の医師も副作用による口内炎と診断したわけである。
この時点で、舌がんの専門医ではない医師は「舌のがん」を最初に疑うことはなかった。
その一因は認知度の低さにある。
当 blog でも紹介しているが、口の中に出来るがん、所謂、“口腔がん”は、口蓋がん、舌がん、口唇がん、頬粘膜がん、歯肉がん、口底がんの 6 種類がある。
口腔がんは、非常に稀でがん全体の約 1.2% の罹患率にしか過ぎない。
定期検診、がん検査、人間ドックには口腔がんの検査項目はない。
堀さんも毎年人間ドックは欠かさず受けており、異変を感じる 4 ケ月前にも受診していた。
しかし、そこでも口腔がんを疑われることはなかった。
ただ、「治らない口内炎は“がん”を疑う」ように診療ガイドラインにも記載されているそうだ。
しかし、堀さんのように、口内炎が出る薬を内服している場合、最初から舌がんを疑って詳しく診察することがなく、口内炎と口腔がんとの見分けがつかなかったのではないかと思われる。
当然、良くなるはずはなく、痛みが増してくる。
口内炎と思い込んでいる堀さんとその家族・・・。
口内炎の痛さとリウマチの痛さを天秤にかけるとリウマチの薬は止められないという堀さん。
ご主人は、「口内炎ならば、歯医者さんに行ってみたら?口腔外科の看板も出ていたし・・・。」と提案する。
口腔外科は歯科医の中でもより高度な外科手術など行う科目で、口の中や顎などの治療も行い、口の中にできた“がん”に関しても専門である。
次に、近くの口腔外科を受診する。
口腔外科医は「レーザーで焼いておきましょう。すぐに痛みは和らぎますよ」と診断する。
実は、口腔外科の看板を出していても専門医ではない場合があるそうだ。
専門医ではなくても、歯科医が口腔外科の看板を掲げることは法律的には問題はないという。
堀さんを診た歯科医師も口腔外科の専門医ではなかったということだろう。
そのため正しい診断ができなかったのだと思われる。
堀さんは自身の Blog で以下のように綴っている。
「また口内炎。。。
あまりにも痛みが辛いので、
レーザーで焼いてもらいました。
リウマチの薬の副作用なので、
仕方ないです。
口内炎の辛さで薬治療を、
途中で断念する人も、
いると聞きます。
口内炎とも、
上手く付き合っていかなければですね。」
自身の症状を口内炎であると全く疑ってもいないのが分かる。
しかし、“がん”は進行する・・・。
堀さんは、空気に触れるだけでも激痛が走り、口腔スプレーをするだけで”ズキーン”とするようになっていく。
更に、首へも痛みが出るようになってくる。
マッサージに行っても症状が治まらないと周囲に訴えていた。
そして・・・。
症状が出てから約 8 ケ月後。
2019 年 1 月 16 日。
深夜、あまりの痛みに目が覚める。
鏡で確認すると、亀裂が入り出血している。
堀さんは、本当に口内炎なのだろうかと疑い、初めて「舌 口内炎 治らない」と検索してみる・・・□_ヾ(・_・ )カタカタ
そこには、自分の症状によく似た写真が並んでいた・・・。
色・・・。
広がり方・・・。
亀裂・・・。
病名は、“舌がん”と書かれていた・・・。
舌に出来る“がん”があることすら知らなかった堀さん・・・。
ネットで調べれば調べるほど、その写真は自身の症状に似ている。
不安は募る・・・。
「半年後死亡」
「リンパ節にも転移」
最近感じるようになっていた首の痛みにも不安を覚える。
不安心材料を打ち消せるような記事は無いかとネット検索をしているうちに朝を迎える。
起きてきたご主人に自身がネットで調べた内容を打ち明ける。
堀:「私の口内炎だけど、なんか・・・、がんみたい」
ネットの写真と自身の舌をご主人に見せると・・・。
ご主人にも同じにしか見えなかった。
口内炎と舌がんは初期の見た目は非常に似ているが、炎症のメカニズムが異なる。
口内炎は、口の中の粘膜に生じる炎症だが、舌がんは舌の上皮細胞ががん化したものである。
主な原因は、喫煙・飲酒などの生活習慣、虫歯の放置・口腔内の不衛生などが挙げられているが、決定的な原因は不明である。
初期の見た目は似ていも、症状が進むと舌がんの方は硬いしこりが出来てくる。
口内炎の場合、約 1 週間程度で完治することがほとんどである。
もし、 2 週間以上続いた場合は、専門家の受診が必須であるとされている。
しかし、リウマチの薬の副作用だと思い込んでいた堀さんは自覚症状が出てからすでに 8 ケ月が経過していた。
ただ、これは堀さんが悪いわけではないと思う。
内科医。
リウマチ科医。
歯科医。
誰も正しい診断をしてくれていないのだから・・・。
今寄稿の第一回目で私もネットでの情報収集から始めている。
最初は、物が良く詰まるという違和感・・・。
義歯を付ける痛み・・・。
舌の左側に痛みを感じる・・・。
鏡で、左側に炎症を確認・・・。
ネットで検索をしてみる「舌の炎症」・・・■_ヾ(・・*)カタカタ
舌炎・・・。
舌痛症・・・。
口内炎・・・。
腫瘍・・・。
舌癌・・・。
口腔カンジダ症・・・。
口腔扁平苔癬・・・。
・・・等々が出てきた。
「舌の痛みが 1 〜 2 週間以上続く場合、口内炎以外の病気も疑われるため、一度医療機関を受診しましょう。」
この時、自身の舌がん等、みじんも疑っていなかった。
次回へ・・・。