林業を憂う。
鎌倉市の鶴岡八幡宮境内にある大銀杏が3月10日に倒壊したのはニュースで随分取り上げられたので、記憶に残っている方も多いと思う。
県天然記念物にも指定されているご神木の倒壊に、近所に住む人々は随分と落胆の声を漏らしていた。
石段脇にそびえていた大銀杏は建保7(1219)年、鎌倉幕府3代将軍、源実朝が暗殺された際、犯人の公暁が隠れたと伝えられ、日本で最も有名な銀杏の木だった。
大銀杏は、樹齢1千年余とされ、高さ約30m、幹回り約6.8m。
その巨木が、雪のまじった強風にあおられ、根元からぽっきり折れて倒れてしまったのである。
幹の中心部にぽっかりと大きな穴が開いていたのも、倒壊して初めて分かったようである。
周辺の細い樹木は無事だったにも関わらず、大銀杏だけが倒れた理由は、外側だけを見て木はどこから養分を取るのかと言うことを忘れていたためだろう。
これは林業にも言えることである。
“松食い虫の被害”というフレーズは誰もが聞いたことのあるフレーズだと思う。
ネット検索で”松食い虫対策”と打ち込んでみた。
以下のHPが1番目にヒットし、分かり易く書いているようなので見ていただきたい。
http://www.pref.yamanashi.jp/kt-rinmuk/49278175033.html
まず、“松くい虫は基本的に弱った木がなる病気です”・・・ということらしい。
次に、“人が風邪をひかないよう予防するのと同じように、まず予防することが大切で、予防方法も似ています。”・・・ということらしい。
・・・で、以下が具体的な対処法である。
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薬剤散布:マツノザイセンチュウを媒介するカミキリ虫が木に被害を与えないように薬剤を散布します。時期は5~7月に行うのが効果的です。(人間でいうところの手洗いや、うがいにあたります。)
樹冠注入:松の幹にドリルで穴をあけて薬を注入します。幹の太いものだと薬効に時間がかかります。時期は11~翌3月に行うのが効果的です。(いわゆる予防接種、万能ではないところも似ています。)
松を健康にする:松くい虫は弱った松をねらっています、肥料をやったり、剪定を控えたりして松を健康にたもちましょう。(病気にかかりにくい状態にする。人間と同じですね。)
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これを読んで皆はどう思う?
今まで、当ブログを読んだ方であれば、「馬鹿じゃないの」と一笑に付すのではないだろうか?
この対策方法を見て、植栽はどうなっているのか恐ろしくなって調べてみた。
検索キーワードは、“林野庁”である。
やはり、肥料や薬品を使っているのである。
これではしっかりとした根が張るはずがない。
そのために自然災害が増えるのもうなずける。
また、森林を管理するために、主伐(しゅばつ)、間伐(かんばつ)、除伐(じょばつ)、皆伐(かいばつ)、択伐(たくばつ)という作業を行う。
主伐とは、森林の樹木を収穫するために伐採すること。
間伐とは、樹木の生長に伴って混み合ってきた森林で、樹木の生育を促すために間引くための伐採することである。
これの目的としては、森林の地面にまでに太陽光線を届け、下草が生育しやすい環境を作ることである。
また、これにより、土壌の流出防止が可能になり、土砂災害防止のためにも重要視されている保育作業らしい。
除伐とは、育てる木以外の種類の樹木を伐採すること。
皆伐と択伐については、主伐の種類なので割愛する。
如何だろう?
自然に反してはいないのだろうか?
林業は何十年と時間がかかる気の長い産業である。
足下(木の根っこ)を見直すことを勧めたい。