前回、木材自給率が、平成20年度で24%という事を書いた。つまり、76%とは輸入木材ということになる。
この輸入木材は安全なのだろうか?
輸入木材が安全であればそれにこしたことがないのだが・・・
皆は、植物検疫という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは、昭和25年5月4日、輸出入される植物を検疫するために出来た法律である。
何故、こんな法律があるかというと、植物には有害・無害な数多の動物、昆虫、菌が住み着いている。
これらを輸入した際に、あるいは輸出した際に、植物自体あるいは付着した数多の生物が蔓延した場合、農業生産の安全性を脅かすばかりでなく、生態系を変える恐れがあるために行うのである。
では、輸入木材から数多の動物、昆虫、菌を除去するためにどのような方法がとられているのだろうか?
熱処理あるいは燻蒸処理という方法が取られる。
熱処理は読んで字の如く、熱をかけて除去する方法である。
燻蒸処理とは、薬品を使いいぶしてその毒ガスで殺虫・消毒を行う方法である。
一つ二つ、その薬品を紹介してみよう。
臭化メチルによる燻蒸処理。
正式名称はブロモメタンと言われ、「毒物および劇物取締法(毒劇法)」による劇物指定になっている。
この劇薬で材木の中の生物を処理するのである。
では、臭化メチル燻蒸処理している部屋に人間が入った場合どうなるのだろう?
悪心、嘔吐、めまい、頭痛、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、四肢けいれん、等々の症状が見られ、皮膚に直接触れた場合は、灼熱感や水疱を起こすという程度の物である。
これらの燻蒸作業をする者の中には、中毒死を引き起こす場合もある。
ちなみに、海外から入ってくるコーヒーや米もこれらの処理が行われていると言うことを知っている人は少ないだろう。
燐化水素による燻蒸処理。
正式名称はホスフィンと言われ、「毒物および劇物取締法(毒劇法)」による毒物指定になっている。
では、燐化水素燻蒸処理している部屋に人間が入った場合どうなるのだろう?
わずか0.3ppmを吸入しただけで、肺水腫や昏睡状態に陥る。
日本の家屋は木材に頼っている。
これらの木材を使用して、100%安全だと誰が言い切れるのだろうか?
ココまで書くと、やっぱり国産の木が良いのか・・・と考える人も多いのではないだろうか?
しかし、残念ながらそうはいかない。
昔は、切り倒した木は数年にわたり、天日に干していた。
本来、樹木は、虫等から自身を守るために、微量のガスを放散させている。
自然なものは安全と盲信する人が多いが、自然はそんなに甘くない。
水分の多い国産木材の水分を乾燥させる目的もあるが、これらのガスを抜くために、天日に干していたのである。
しかし、現在は、輸入木材に押されているため、そんな悠長なことはしていられない。
薬品に漬けて早期乾燥をしているのが大方の現状である。
これで、国内産の材木は、安全と言えるのだろうか?
いかがだろう?
山林のバクテリアのバランスを整えれば、害虫におびえる必要もない。
もし、強制乾燥が必要であれば、環境回復サロンのようなイメージで乾燥させれば良いのではないだろうか?
一つのアイデアである。