「真実の口」122 我々は何をすべきか?⑳

第一次産業は国の根幹をなす産業である。

しかし、残念ながら、現状では就労者が減り、就労者も高齢化しているのが現状である。

何故、就労者が減少するのだろうか?

きつい割には収入が少ない?

自然に影響され収入が安定しない?

格好悪い?

色んな意見が出てくると思う。

でも、それだけだろうか?

作物に農薬を撒き、自分たちが食べる分だけは農薬を使わない・・・

動物を狭い所に押し込めて、病気にならないように抗生物質を与え、早く大きくするために成長ホルモンを与え、自分たちが食べる分は自然に飼っている・・・

魚を生け簀で養殖し薬品漬けにし、自分たちは天然の魚を獲る・・・

そういう姿を見て、次世代があこがれる職業になりうるだろうか?

家庭菜園をしているものであれば、自分が育てた作物を収穫するときの喜びはこの上ないものだと思う。

私は釣りをするが、色々仕掛けを考えて、魚を誘い、釣れたときは格別に嬉しい。

釣りの話を出したついでに、もう少し話をしてみる。

釣り船に乗って、爆釣であれば、皆が爆釣かというとそうでもない。

全く釣れない人もいる。

また、前回爆釣したときと同じ仕掛け、同じ誘いで釣っても、全く釣れないと言うことがままある。

これは、水温、潮流、時間、前日の天気等々、様々な条件で変わるからである。

自然を相手にしているからである。

農業にしても、漁業にしても、林業にしても、機械化が進む中で大切なものを忘れてしまったのではないだろうか?

自然を相手にして、自然のままに収穫、あるいは収獲していたときには、そこまで自然のバランスを崩すようなことはしていなかったのではないだろうか?

科学や技術が進歩したことで、薬品を使用し、優れた(?)機械を使用するようになり、大地や海原から大量に収穫・収獲すれば、安易に“金”へ変えることが可能になった。

“大豆が危ない”というタイトルで寄稿した際にも触れたが、現在、世界各地で大豆が食用ではなく、バイオ燃料用に流れ、更に、トウモロコシのほうが、利益が大きいため、大豆からトウモロコシに作物転換されている。

現在、世界では、十分に栄養の取れない飢餓人口が9億6300万人超存在する。

更に、その数は毎年増加傾向にある。

そして、毎年約1500万人、4秒に1人の割合で飢餓が原因で死亡している。

その一方で、食料を油に変え、“金”に変えている。

また、海でも似たようなことが行われている。

中国、ロシア、韓国の船が領海侵犯して、網を降ろし、小魚から一網打尽にして、根こそぎ捕獲していく。

このような乱獲をしても、海の中はなかなか把握しにくいので、どれだけの海洋生物が減少したのかがわかりにくい。

ここ40~50年を捉えると、1970年から1987年頃までは、右肩上がりに漁獲高が増えて行っていた。

1987年頃のピーク時は8000万トンという漁獲高があった。

実は、この頃には、より多くの海洋生物を捕獲するために、網を深く更に深く降ろしていった経緯がある。

1987年以降、網の深さは変化していないとは言われているが、それでも近年で7500万トンで推移している。

獲れなくなれば、また、網を深くまで入れるという愚の典型を繰り返さなければいいのだが・・・

また、一網打尽にされた魚でも、小さな魚や売り物にならない魚は海に帰される。

いや、海に投棄される。

しかし、網にかかって変形した魚や、針がかかった魚が、健康に卵を産み次世代へ繋がるとは想像できない。

無駄に殺生しているのと同じである。

少々長くなったので次回へ・・・