「風が吹けば桶屋が儲かる」
こういう諺を聞いたことがあるだろうか?
江戸時代の浮世草子『世間学者気質(かたぎ)』巻三が初出であるが、最初は何ら無関係に思えるが、思わぬ事象が思わぬ物事へ影響を与えるという例えである。
以下が原文である。
『今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是(これ)も元手がなふては埒(らち)明(あか)ず』
差別用語も入っているが、以下のような論法である。
大風で土ぼこりが立つ
→土ぼこりが目に入る
→盲人が増える
→盲人は三味線を買う
→三味線に使う猫皮が必要になる
→猫が殺される
→猫が減れば鼠が増える
→鼠は桶をかじる
→桶の需要が増える
→桶屋が儲かる
これら一連の連鎖が起きる可能性としては、限りなく低いはずなのに、こうして並べてみると、如何にも起こりそうな感じがする。
実に、江戸時代の人は洒落っ気がある。
ところで、今年は随分と暑さが猛威をふるっているが、現代版、「風が吹けば桶屋が儲かる」を考えてみよう。
「猛暑の翌年は景気がよくなる」
太陽が照りつける
→山の木がよく育つ
→翌年、大量の花粉をつける
→風に乗って都市部に飛んでくる
→花粉症患者が増える
→病院に行って花粉症の薬をもらう
→国民の医療費が伸びる
→製薬会社は設備投資をする
→景気浮揚
如何だろう?
あたかも、何ら関係ないようで、結末としては影響があるような感じがする。
盆休みということで、軽いノリで書いてみたが・・・
次回の因果関係に結びつけるための前振りであることは言うまでもない。