「真実の口」162 健康食品の嘘・ホント③

私は天の邪鬼だが、情報を脳に入れるときは、いたってシンプルに取り込む。

今回は、健康食品をデータの面と人間の身体の構造の面から切り込んでみよう。皆は、サプリメント大国と言ったらどの国を思い浮かべるだろう?

10人中10人が、“アメリカ”と答えるのではないだろうか?

ご名答!

アメリカの市場規模は、日本の約2倍、年間約145億ドル(約1兆6,530億円)と世界一である。

もちろん、アメリカには日本のような国民健康保険制度がないため、「自分の健康は自分で守る」がという意識が強いというお国事情もある。

1994年、クリントン大統領が、健康への意識向上と医療費削減を目的とした「ダイエタエリー・サプリメント・ヘルス・アンド・エデュケーション・アクト(DSHEA)法」を制定。

これににより、サプリメントを明確に定義付けし、認定基準を厳しくしたというある意味“国のお墨付き”が出たということが、サプリメントの普及に拍車をかけたという背景もある。

これは、後々触れるが、日本にも特定保険用食品制度(通称:特保)なるものが1991年に制定されているが、こんな“ユルユル”の制度ではなく、米国民はもっと厳しい基準が設けられたサプリメントを利用していると言うことである。

では、アメリカの医療費の推移を見てみよう。

アメリカ商務省データ

このグラフは、アメリカ商務省が公表したアメリカの医療費の推移である。

アメリカの医療支出はGDP長率を上回るペースで上昇を続けていることが読み取れる。

では、サプリメント市場はどうかというと・・・

英語の原文で申し訳ないが・・・

これを参考にして欲しい。

http://www.aida-soken.co.jp/pdf/national_health_statistics_reports.pdf

これは、2007年にアメリカで実施された国民健康調査で、補完代替医療に使用された支払金額や利用頻度などが調査されたものである。

1997年から2007年の10年間で、補完代替医療に使われた金額(要はサプリメント等に使用された金額)は、2.3倍にも膨れあがっているのである。

サプリメントが病気予防やセルフケアのために摂取されているにも関わらず、医療費は増大傾向にあるのである。

つまり、このデータを私の単純な脳に入れると、健康食品は“嘘”と答を出しているのだが皆の答はどうだろう?

では、次に、人間の身体の構造から見てみよう。

当ブログで、何故、食べるかというテーマの時に書いているが、“バクテリアと酵素を取り入れるため”である。

単純に考えて、ある成分を科学的に抽出して、バクテリアと酵素がバランス良く身体に取り入れられるのだろうか?

答は、“No”である。

我々は、大自然の物、食肉、魚介類、野菜、果実、etc・・・を口から食物として取り入れている。

こう言うと、サプリメント派は、サプリメントも自然の物から抽出しているなどと戯けたことを言うのだろう?

しかし、残念ながら、食物として取り入れた物は、そのままは吸収されない。

何故なら、分子量が大きすぎるのである。

例えば、タンパク質はアミノ酸に・・・、炭水化物はブドウ糖に・・・、と一度小さな分子に分解されて吸収されるのである。

つまり、どれだけ効果大の成分をピックアップして取り入れても、消化器官で分解されてしまうのである。

人間に、代謝という生命維持の為のシステムがある以上は“無意味”なのである。

難しく言えば、食物から取り入れられた人間に必要な栄養素、タンパク質、脂質、糖質等は、消化器官内で加水分解された後、小腸表面細胞から吸収され、血液に乗って、主に肝臓でエネルギーへと変えられる。

しかし、サプリメントの成分は、小腸表面細胞から吸収されはするが、“抱合”という代謝を受け、ほとんど有効性を失ってしまう。

残念・・・

次回へ。