前回、DHA・EPAに関して、寄稿した。
私の戯言にお付き合いいただいている当ブログの読者から、「自身とお母さんのためにエゴマ油を購入し、血液サラサラ・ウツ・認知予防の為に飲んでいるが大丈夫だろうか?」という問い合わせのメールが届いた。
その方にはメールで回答したのだが、改めて、回答しよう。
元々、何故、DHAがここまで身体に良いと叫ばれるようになったのか?
グリーンランド西海岸の小島には、およそ1000人のイヌイットが生活している。
1972年、デンマークの病院の医師二人が、ここで暮らすイヌイットを採血し、その血液をデンマーク人と比較して以下のことがわかった。
・すべての年齢層で、イヌイットの方が血中脂質の低い。
・すべての年齢層で、イヌイットの方が血中コレステロールや血中トリグリセリドが低い。
さらにイヌイットとデンマーク人の罹患率を比較すると、急性心筋梗塞、多発性硬化症、乾せん、糖尿病による罹患率がイヌイットの方が低いとわった。
ちなみに、表を見つけたので、掲載してみる。
イヌイットとデンマーク人の罹患率の比較
疾患名 |
イヌイット |
デンマーク人 |
急性心筋梗塞 |
3 (%) |
40 (%) |
脳卒中 |
25 |
15 |
多発性硬化症 |
0 |
2 |
乾せん |
2 |
40 |
肺炎 |
1 |
25 |
糖尿病 |
1 |
9 |
がん |
46 |
53 |
消化器系潰瘍 |
19 |
29 |
そこで、デンマークの医師達は、何が違うのかを考えた。
イヌイットの生活の場は、年間平均温度が0℃以下、夏の平均温度が10℃を超えないツンドラ地帯である。
となると・・・
カリブー(北アメリカ産トナカイ)、ジャコウウシ、オオカミ、ホッキョクウサギ、ホッキョクキツネなどの陸上動物、ライチョウ、ガン、カモなどの鳥類、アザラシ、セイウチ、クジラ、シロイルカ、ホッキョクグマなどの海獣、ホッキョクイワナ、シロマス、タラなどの魚類が食料源になる。
その反面、穀類と野菜はまったく食べない。
・・・って、当たり前!
ツンドラ地帯で農作物の栽培もない・・・か?
ん?
では、何がデンマーク人と違うのか?
医師等は、イヌイットが魚・海獣類を多く食べ、その成分の中にDHAが多いということを突き止めたのである。
愚かな話しである。
我々は食べ物を食べるときに、その成分を単体で口にするわけではない。
炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル等々の栄養素が必要とか言われているが、それらは複合的に取り入れてこそ、初めて、血となり肉となるのである。
また、これらを複合的に取り入れても、それに見合う消化酵素がなければ無意味である。
つまり、自分の生活している環境の中で自分の消化酵素にあったものを食べない限りは毒であるということである。
また、イヌイットの食生活が今の現代栄養学が嘘であると言うことがよく分かる。
「やれ、栄養のバランスだ・・・」、「足りない分は、サプリメントで栄養補給だ・・・」と誤った現代科学に冒された都会人にとっては、肉食に偏った食事の方が健康とは、理解もできないだろう?
ただ、現在のイヌイットの生活は、欧米の食文化が流入し、伝統的な生肉の食事やあまり加熱しない料理法を行わなくなり、病人が増えているという嘆かわしい報告もある。
余談だが、上の羅漢率の表を見てもらえば解るが、脳卒中はイヌイットの方が多く、ガンはデンマーク人と大差がない。
つまり、DHAの“血液サラサラが・・・健康になる”というのも疑問ではなかろうか( ̄ー ̄)ニヤリ