前回、どういう場所とどういうものに対して、ホルムアルデヒドの規制があるかということを寄稿した。
どうだろう?
万全と言えるだろうか?
確かにホルムアルデヒドを規制したお陰で、新築時独特の接着剤の臭いは最近の住宅ではしなくなった。
健康な人であれば何ら問題が無いかのように思う。
では、化学物質過敏症やシックハウス症候群の方達が、一般工法の住宅にはいるとどうなるだろう?
今までは、ホルムアルデヒド独特の“臭い”に関するレーダーが働いていたため、危険を回避することが出来た。
しかし、現在はその“臭い”が余りしなくなったため、知らない間に被爆して、意識を失ってしまうこともある。
化学物質過敏症やシックハウス症候群の方達だけが特別なのだから、普通の人間なら大丈夫ということなら問題はない。
しかし、化学物質過敏症やシックハウス症候群の方達は、体内に入れてはいけない物を、敏感に察知するレーダーがあるのである。
では、単に、化学物質過敏症やシックハウス症候群でない人間は、毒を取り入れていることに鈍感なだけなのである。
前にも書いたことがあると思うのだが、近年の健康ブームから食べ物や水を気にかけている人が増えてきている。
中国産野菜は農薬まみれだから絶対買わない・・・
野菜はオーガニックじゃなければ・・・
食品添加物は危険だから・・・
水道水は危険だから・・・
云々・・・と、良く聞く台詞である。
人間は一日に、食べ物を1.2kg~1.5kg程度、水を2㍑前後摂取する。
それでは、空気をどれだけ摂取(?)するのだろう?
空気は成人で12㍑超を摂取する。
少し激しい運動をすれば30㍑を遙かに超えて呼吸する。
子供は成人より呼吸数が多いのでもっと空気を取り入れていると言うことだろう・・・
では、呼吸をするときに、注意を払っている人がいるだろうか?
目の前の空気は危険だから吸うのを止めて、左側にある安全な空気にしよう?
そんな人間は一人もいない。
空気に赤いから危険、黄色だから注意、緑だから安全というような目印が付いているわけではない。
目の前にある空気を、無条件に吸わなければいけないのである。
厚生労働省は、ホルムアルデヒドやクロルピリホスを含めた13の有害化学物質に対して、以下のように指針を設けている。
発性有機化合物 |
室内濃度指針値 |
毒性指標 |
ホルムアルデヒド |
100μg/m3(0.08ppm) |
ヒト吸入暴露における鼻咽頭粘膜への刺激1),2) |
アセトアルデヒド |
48μg/m3(0.03ppm) |
ラットの経気道暴露における鼻腔嗅覚上皮への影響 |
トルエン |
260μg/m3(0.07ppm) |
ヒト吸入暴露における神経行動機能及び生殖発生への影響 |
キシレン |
870μg/m3(0.2ppm) |
妊娠ラット吸入暴露における出生児の中枢神経系発達への影響9 |
エチルベンゼン |
3800μg/m3(0.88ppm) |
マウス及びラット吸入暴露における肝臓及び腎臓への影響 |
スチレン |
220μg/m3(0.05ppm) |
ラット吸入暴露における脳や肝臓への影響 |
パラジクロロベンゼン |
240μg/m3(0.04ppm) |
ビーグル犬経口暴露における肝臓及び腎臓等への影響 |
テトラデカン |
330μg/m3(0.04ppm) |
C8-C16混合物のラット経口暴露における肝臓への影響 |
クロルピリホス |
1μg/m3(0.07ppb) |
母ラット経口暴露における新生児の神経発達への影響及び新生児脳への形態学的影響 |
フェノブカルブ |
33μg/m3(3.8ppb) |
ラットの経口暴露におけるコリンエステラーゼ活性などへの影響 |
ダイアジノン |
0.29μg/m3(0.02ppb) |
ラット吸入暴露における血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性への影響 |
フタル酸ジ-n-ブチル |
220μg/m3(0.02ppm) |
母ラット経口暴露における新生児の生殖器の構造異常等の影響 |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル |
120μg/m3(7.6ppb) |
ラット経口暴露における精巣への病理組織学的影響 |
(ppm=100万分1、ppb=10億分の1。単位の換算は、25℃の場合)
また、これらを併せた総揮発性有機化合物(TVOC)についても、室内空気質の400μg/m3 という暫定目標値が設けられている。
その他にも、各法令で規定されている有害化学物質の一覧に関して、興味がある方はリンクをご覧頂きたい。
http://www.tohogas.co.jp/work/kankyo/green/pdf/yugai.pdf
少し長くなったので、次回へ・・・