前回まで、オール電化の“エゴ”、いやいや“エコ”について寄稿してきたが、今回はオール電化の三大セールスポイントの”経済性”について触れてみたいと思う。
三大セールスポイントと言うが、消費者にとっては、これが最有力ポイントではなかろうか?
オール電化では、エコキュートやIHクッキングヒーター等の200vの電化製品を使用するため、200vの屋内配線工事が必要になる。
随分前までは、電柱から配線を引き込む等の大がかりな工事が必要だったが、最近では、一般家屋の分電盤まで200v配電が来ているため、大した工事ではない。
配電工事だけであれば、一日がかかりにはなるが、10万円程度をも見ていれば良いようである。
ああ、もちろんコンセントもこんな形状に変わる。
通常100vが200vになるから、2倍の電気代が・・・違ウヽ(´д`=´д`)ノ違ウ
そんなことは無いから安心して欲しい。
むか~し、むか~し、学校で習ったことのおさらい(^^)v
★電力(W)・電流(A)・電圧(V)の関係式
電力(W)ワット=電流(A)アンペア×電圧(V)ボルト
★電気の仕事量の計算式
仕事量(Wh)=電力(W)×時間(h)
たとえば、電流を同じ10Aとした場合の電力は、100Vだと(10A×100V=)1000W、 200Vだと(10A×200V=)2000Wとなり、200Vが100Vに比べて2倍のパワーがあることが解る。
では次に、同じ仕事量1000Whをこなすと想定して、200Vと100Vを比較する。
100Vの場合・・・1000Wh=1000W×1.0時間(h)
200Vの場合・・・1000Wh=2000W×0.5時間(h)
同じ仕事量を半分の時間でこなすと、理解すればいいのではないだろうか?
ここでは、一般家庭より、2倍の電圧のものが家庭内にあるとだけ記憶に留めておいてもらいたい。
エコキュートの解説の際に、「エコキュートとは、コンプレッサーで大気の熱を汲み上げ、加圧・減圧で、加熱・冷却することによって、給湯の熱エネルギーをつくる為、使用する電気エネルギーに対して約3倍の熱エネルギーを得ることができる。」ということ書いたと思う。
この数字は、COP(Coefficient Of Performance)値という言い方で表現され、エコーキュートはCOP値3~5とか言われている。
COP(Coefficient Of Performance:日本語では成績係数あるいは動作係数)とは、消費電力1kWあたりの冷却・加熱能力を表した値である。
実際に、オール電化でエコキュートを使っている家庭の評価を見ると、思ったより(?)と疑問符の人が多いようである。
そこで、電力会社やメーカーの言うCOPの数値がどうも胡散臭いのでは無いかと思い少し調べてみた。
まあ、電力会社やメーカーが算出しているのは、ある一定条件における実験室のデータであり、現実の使用時には違うということを差し引いて考えていただきたい。
まず、一つ目は、地方自治体のエネルギー調査やマニュアル作成、エネルギー方針の決定などの業務を行っている株式会社住環境計画研究所の調査結果である。
エコキュートを使っている東京の5世帯(A,B,C, D, E)で実測したところ、以下のようになったらしい。
計測世帯 |
A邸 |
B邸 |
C邸 |
D邸 |
E邸 |
ヒートポンプ給湯器 |
0.39 |
0.52 |
0.80 |
0.65 |
0.68 |
ガス給湯器 |
0.74 |
0.73 |
0.78 |
0.77 |
0.77 |
まあ、一つだけでは腑に落ちないので、検索してみたら、広島大学の実験データも出てきた。
これは、エコキュートの実測調査について、広島大学の村川教授らのグループによる研究と、東京・関西・中部の3電力会社がまとめた研究が報告されたものである。
2種類の研究において、調査期間、測定箇所、機器の運転モードについては両者ともほぼ同じ条件で、調査対象について、広島大学のグループは、北海道から九州に渡る14世帯を、電力3社のグループは関東から中部に渡る36世帯を対象にしている点と、使用機器について広島大学のグループは1社の370Lと460Lタイプ、電力3社のグループは7社の370Lタイプである点が異なっている。
|
広島大学のグループ |
電力3社のグループ |
給湯負荷 |
41.6MJ/日 |
41.7MJ/日 |
定格COP |
4.54 |
4.5~4.9 |
実働COP |
2.09~1.69(平均1.82) |
3.93~2.73(平均3.16) |
効率に差が出てきた背景を検討するため、使用状況についても比較をした結果、追いだき負荷、沸きあげ温度において、電力会社の調査のほうが負荷が小さく設定され、また、タンク効率においても、電力会社の方が、ロスが少ない使われ方がされていることが示された。
まあ、電力会社としては、良い結果を残そうと数字を良く見せたかったのだろうが、2倍近くも開きがあっては、いかがなものか・・・?
実は、このデータは、2008年6月に、特定非営利活動法人「地球環境と大気汚染を考える全国市民会」が発表した“環境面からみたオール電化問題に関する提言”から引用したものなので、再度、オール電化の環境負荷へ興味がある方は一読してほしい。