三回にわたり、水産業への抗酸化溶液の利用方法を寄稿してみたが、次は農業にスポットをあててみたい。
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の東北6県の耕地面積は合計87万2,500ヘクタールで、これは全国の耕地面積の18.9%にあたる。
全国の米の約3割を生産している。
また、畜産用の飼料用米も全国の生産量の半分を占めている。
今回の大津波は、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の海岸沿いの農地を推定2万4,000ヘクタール(水田2万ヘクタール、畑3,500ヘクタール)を流失、冠水させるという甚大な被害をもたらした。
では、水産業同様に各県の具体的な被害をみてみたい。
4月27日に農林水産省から発表された農地・農業用施設などの被害状況である。
ただし、調整中の値、推定値を含む。
◆青森県
耕地面積:156,800(ha)
田耕地面積76(ha)、畑耕地面積3(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:2地区
◆岩手県
耕地面積153,900(ha)
田耕地面積1,172(ha)、畑耕地面積666(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:41地区
◆宮城県
耕地面積136,300(ha)
田耕地面積12,685(ha)、畑耕地面積2,317(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:93地区
◆福島県
耕地面積149,90(ha)
田耕地面積5,588(ha)、畑耕地面積335(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:104地区
◆茨城県
耕地面積175,200(ha)
田耕地面積525(ha)、畑耕地面積6(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:98地区
◆千葉県
耕地面積128,800(ha)
田耕地面積105(ha)、畑耕地面積122(ha)の流失・冠水と推定
農業集落排水被害:15地区
◆秋田県
農業集落排水被害:10地区
◆山形県
農業集落排水被害:1地区
◆新潟県
農業集落排水被害7地区
◆栃木県
農業集落排水被害:16地区
◆長野県
農業集落排水被害3地区
農地の損壊数は2,062ヶ所、被害額は3,055億円、農業用施設等の損壊数は40,546ヶ所、被害額は3,051億円ににものぼる。
被害額はあくまで推定であり、4月27日当時のデータである。
また、東北地方の太平洋沿岸にある飼料工場も、津波により被災した。
施設の損壊や浸水などにより、生産ラインが機能しなくなったことで飼料不足が深刻となり、東北地方のほとんどの家畜用飼料の供給を賄っていたため、これらの工場から供給を受けていた畜産農家にも打撃を与えた。
テレビのニュースでも流れていたが、燃料不足から搾乳された生乳を集荷できず、さらに乳業工場の被災により加工ができなくなったことから、生乳の廃棄処分を余儀なくされた酪農家がかなりの数に上った。
それに加えて、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、原発周辺の一定地域では農業や畜産ができなくなり、再開のめどは一切立っていない。
それどころか、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の農産物から暫定規制値を超えた放射性物質が検出されたことで、出荷制限や出荷自粛要請の措置まで取られた。
同じ国民として残念なことだが、食品衛生法に定められた放射性物質の規制値を下回っており、出荷停止や自粛対象ではない農畜産物に対しても、流通段階での取り扱いの停止、価格低下、買い控えなどの風評被害も起きている。
次回は、被災地の農業へ抗酸化で何が出来るか考察してみたい。