昨年くらいまでは、マイナスイオンなる言葉が蔓延し、企業もこぞって“マイナスイオン”商品を作ってたようだが、最近は随分下火になってきたようである。
ただ、前回、マレーシアに行った際に、“ネガティブイオン”なるものが流行っていた。
良く聞くと日本のマイナスイオンと言う言葉が入ってきて、それが変化したものらしい。
また、前回のブログで「抗酸化工法は危ない」とアピールしているHP作者が、“抗酸化住宅=マイナスイオンの家”などと言っているので、皆にも正しい知識を持っていただきたいと思い、マイナスイオンに触れてみたいと思う。
マイナスイオンなる言葉を聞くようになったのは90年代末位のようである。
“マイナスイオン”とはいったい何ぞや?
家電メーカーを筆頭に様々な企業、果ては学者までが“マイナスイオン”という言葉を使うようになり、知らない人が聞けば、科学用語のように聞こえてしまう。
しかし、全くの造語でしかない。
では、マイナスイオンの起源は?
ドイツの実験物理学者フィリップ・レナードに端を発する。
レナード博士は、1905年、「陰極線に関する研究」によりノーベル物理学賞を受賞。
また、レナード博士は、先にトロールス博士が研究していた「水滴落下電気現象により、水滴が正に,周囲の空気が負に帯電する現象」についても研究を進めていた。
これは、「水は急激に微粒化された時、大きい水粒子は正に帯電し、小さい水粒子は負に帯電し、大きな水粒子は重さの関係で先に落下するため、残された空気中は負の帯電が優勢になる」というものである。
レナード博士は、滝のしぶきによる細かい霧は主に負、水面近くは正に帯電する現象を確認した。
次に、実験室で生成した分裂水滴でも同様の現象を確認し、上記の結果検証のレポートを1915年に発表した。
この効果を一般的に、「レナード効果」と呼んでいるが、ノーベル賞とは無縁である。(また、科学的な証明も未だ完結していないようである)
レナード博士が、アルプスの滝でこの効果のヒントを得たことにより、「滝周辺にはマイナスイオン(和製造語)が豊富である」という風に発展し、更に、森林、湖畔、海岸はマイナスイオン(和製造語)が多いとなったようである。
レナード博士自身が、「マイナスイオン(和製造語)」は身体に良いということを証明したわけでも何でもない。
「滝に行くと気持ちが良い」というものが変じて、「マイナスイオン(和製造語)は身体に良い」とでも発展したのであろうか?
では、よく考えてみよう!
確かに、一日のうちの数分を、滝の前で過ごすと爽快な気分になるかもしれない。
では、数時間いや丸々一日、滝の前で過ごしてみたらどうなるだろう?
身体は冷えてしまう。
水滴をたくさん身体に付着させるのであるから当然の結果である。
これが本当に身体に良いのだろうか?
森林、湖畔、海岸も同様である。
水は身体に悪いということをこのブログ内でも書いているが、そうでなくてもこのくらいのことは想像に難くないのではないだろうか?
次回は、本当は怖いマイナスイオンと題して書いてみたいと思う・・・。