前回の続き・・・。
家内も帰ってしまい、ぽつりと病室に残された私・・・。
テレビはあるのだが、テレビを観るには、テレビカードが要るらしい。
私は活字中毒で、移動の時には必ず文庫本を持ち歩いている。
うっかり、本を忘れて、電車に乗ったときは、中吊り広告を舐めるように読み尽くすほどである。
しかし、急な入院なので、本もない・・・。
仕方がないので、渡された入院のしおりと施設の案内を読んでみたが、中身があるものではないので、すぐに読み尽くしてしまう・・・。
諦めて、寝ようと思うのだが、まだ9時前で、目を瞑っても眠れるような時間帯ではない・・・。
腰の痛みも思うように引かず、身体を起こすことはもちろんだが、寝返りすら碌に打てない・・・。
仰向けに寝ても、腰に鈍い痛みが広がってくる・・・。
上半身を微妙にリクライニングさせ、ベッドの手摺を掴んで、右に向いたり、左に向いたりするのだが、どんな態勢をとっても、腰に痛みが広がり、寝られそうにない。
ベッドの上で、引っくり返された亀のごとく、ジタバタしているところへ、看護師がやってきた。
看:「痛みはどうですか~?」
私:「余り変わらないです・・・。」
看:「痛みが激しくなるようでしたら、座薬を使えますので、言ってくださいね~。」
私:「はい・・・。解かりました・・・。」
声:「あの辱めだけは、もう御免です・・・_| ̄|○」
看:「尿器をここにかけときますので、使ってくださいね~。」
私:「はい・・・。」
声:「小は良いとして、大はどうしたら良いのだろう・・・?」
私は恐る恐る尋ねてみた・・・σl(¨д¨;;)エェ…。
私:「大きい方はどうしたら良いんですか?」
看:「余り動けないようであれば、ベッドサイドに簡易トイレを準備しますし、全く動けないようであれば、ベッドの下に取り付けますけど・・・。」
声:「簡易トイレは兎に角、ベッドの下に取り付けた場合は、絶対、介助の人間が必要だよなぁ~。二者択一しかないのか・・・Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン」
( ̄へ ̄|||) ウーム・・・私が悩んでいると、救いの言葉が・・・。
看:「もし、少しでも動けるのであれば、車椅子でトイレまでお連れすることも出来ますよ。」
声:「よ・・・良かった・・・ヽ(゚∀゚ )ノ・・・危うく、また、尊厳を奪われるところだった。」
私:「多分、少しは動けると思いますので、それでお願いします。」
看:「はい、解かりました。他に、何かありませんか?もし、痛みが激しくなったり、用事があったら、ナースコールを押してくださいね。無理しなくて良いですから、どんな小さなことでも呼んでいいですからね~。」
声:「白衣の天使だ・・・(゜▽゜*)♪」
私:「はい。ありがとうございます。」
しばらくして、便意を催した私は、ナースコールを押した。
全くどうでも良い情報だが、私は、上から物が入るとしたから出るかの如く、毎食後、用を足す。
待つこともなく、看護師が車椅子を持って、やって来てくれた。
ベッドの真横に車椅子をつけてもらい、私は、自力で車椅子への移動しなければいけない。
さもなければ、簡易トイレの設置になってしまう。
私は、ベッドの手摺を利用して立ち上り、車椅子に手をついて、倒れ込むように移動した。
初めての車椅子体験である。
看護師に車椅子を押してもらいながら、病棟の多目的トイレに移動する。
病室にもついているのだが、 狭くて車椅子が入らないらしい。
多目的トイレに車椅子ごと中に入って、今度は便座へ移動しなければいけない。
便座に出来るだけ近寄ってもらい、トイレの横にある補助棒を掴み、とりあえず便座へ移動することは出来た。
看:「大丈夫ですか?」
私:「何とか大丈夫だと思います・・・。」
看:「終わったら、呼び鈴で呼んでくださいね~。」
私:「はい・・・。」
看護師がトイレから出て行ったあと、また、ズボンとパンツを下げるのに一苦労してしまった。
腰が痛いので、中腰になることが出来無い上、夏で汗をかいた下着は、肌にくっつき、なかなか脱ぐことが出来ない。
どうにかこうにか、ズボンと下着を下げて、用を足した私はトイレットペーパーで拭こうとするのだが、前かがみになることが困難なため、ここでも一苦労してしまった。
再度、苦労して、ズボンと下着を上げて、補助棒頼みで、車椅子に移り、呼び鈴を鳴らした・・・。
用を足すだけで、これだけの苦労をするとは、私は、先行きに不安を感じた。
次回へ・・・。