「真実の口」645 万能細胞・・・②

前回の続き・・・。

山中教授のiPS細胞によるノーベル賞受賞の舞台裏で、複雑な駆け引きがあったことは、受賞当時に騒がれたので、ご存知の方もいるとは思うのだが・・・。

余り、この分野に興味が無い人も、ノーベル賞という権威を獲得するための光と陰の部分を知れば、違う角度で面白く見ることが出来るかもしれないのでは・・・(^-^)/

まず、科学の分野では、「誰が?」、「どのような内容で?」、「なんという媒体に?」、「いつ?」発表したのかが最重要視される。

インターネットで全世界が繋がっているグローバルな時代だからこそ、その競争は熾烈を極めるのも、納得がいく・・・(*゚∀゚)*。_。)*゚∀゚)*。_。)ウンウン

前回、寄稿したように、2007年11月20日、山中教授は『セル』誌上(?)で、ジェームス・トムソン教授は『サイエンス』誌上(?)で、論文が発表された。

『セル』は、Cell Pressが発行元の専門誌で、1974年に米国で創刊され、医学・生化学・分子生物学等ライフサイエンス分野における世界最高峰の学術誌である。

『サイエンス』はアメリカ科学振興協会が発行元の科学誌で、1880年、トーマス・エジソンやグラハム・ベルの資金援助などで創刊され、古くから世界的に権威のある米国の科学誌である。

『サイエンス』は知っているけど、『セル』は知らないという人もいるかも知らないが・・・?

1869年11月4日、英で天文学者ノーマン・ロッキャーによって創刊された総合学術雑誌『ネイチャー』の3つを合わせて、Cell、Nature、Scienceの頭文字をとってCNSと評される三大科学誌である。

では、両者の掲載までの、流れを追ってみよう・・・ε=ε=ε=ε=┏(; ̄▽ ̄)┛

『セル』に、山中教授のチームが、論文を投稿した日付は、 10月29日・・・。

『サイエンス』に、トムソン教授等が、論文を投稿した日付は、10月9日・・・。

この段階では、トムソン教授等が、かなりリードしていたことになる・・・ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ

基本的に、論文は、科学誌などに投稿されると、専門家による査読が行われ、論理やデータに矛盾や問題はないか、厳しくチェックされる・・・。

こういう風に書くと、簡単なシステムみたいだが、実際は・・・。

著者(author)から原稿を受け取った編集者(editor)、その内容を評価できる専門家から、ふさわしい査読者(referee)を探し依頼する。

しかし、査読者(referee)には、報酬は支払われず、時間的にも負担が大きいため、嫌がる人も少なくないらしく、特に、珍しい専門分野になると、その研究をしている人数自体が少なく、選定が難しいらしい・・・。

何度か査読が重ねられた査読者(referee)の評定は、「accept(受理)」、「minor revision(小幅修正)」、「major revision(大幅修正)」あるいは「reject(却下)」という4段階で、編集者(editor)に伝えられ、それらの結果が、著者(author)に伝えられる。

通常、この期間は3週間~1ヶ月と言われているらしい・・・。

では、山中教授とトムソン教授の場合は、どうだったのだろう?

先行したトムソン教授の論文が受理(accept)されたのは、 11月14日・・・ヾ(;´▽`A“アセアセ

後塵を拝することになった山中教授の論文が受理(accept)されたのは、11月12日・・・ヽ(゚∀゚ )ノ

トムソン教授の場合は、投稿から受理まで35日と一般的な感じだが、山中教授の場合は、13日と驚異的なスピードでの受理となった訳である・・・w( ̄△ ̄;)wおおっ!

よっぽど、完璧な論文だったのだろうか・・・?

サイエンスの動向が漏れていたのではと穿った見方をするのは、私だけだろうか・・・( ̄ー ̄)ニヤリ

更に、ここから、一波乱・・・♪~(*´∀`*)~~(*´∀`*)~♪ラララ~

そう・・・!

論文の掲載日・・・!!

因みに、サイエンスは週刊誌ですが、セルは隔週誌である。

・・・ということは、発表機会が多いサイエンスが有利では・・・(;´д`)ドドドドドド・・・ドゥシヨォ!!!!!

しかし、セルは、サイエンスの掲載を見越して、サイエンスより早い11月20日の 電子版で発表するのである。

OH!デジタル時代!!

その動きを察知したサイエンスは、通常であれば23日が発行日だったにも関わらず、

セル同様に、11月20日、電子版での発表に踏み切るのである。

今回の寄稿の序盤に、『セル』誌上(?)、『サイエンス』誌上(?)としたのはこのためである・・・。

ジェームス・トムソン教授がノーベル賞受賞できなかったのかは、前年に山中教授がマウスによるiPS細胞の確率に関する論文を発表しており、基礎研究上の功労者が優先されたからだろう・・・。

しかし、舞台裏で、様々な駆け引きが行われているのは、また、一興である・・・(■皿■) 二ヒヒ