3月1日寄稿の“乾燥したら・・・色んな事が見えてきた①”で色んな食べ物を乾燥してきたことを書いた。
何故、乾燥させるかというと水分があると腐る。
・・・かと言って、加熱したり冷凍したりするとバクテリアが死んでしまうことも書いた。
ゆっくり熱を加えることにより、バクテリアも休眠状態にすることができる。
しかし、それだけではない。
全ての食材が食材本来の味を凝縮して引き出しているのである。
何故、美味しくなるのか考えてみた。
料理をしたことがある方なら経験したことがあると思うが、煮物をして煮詰めすぎて水分が飛ぶと味が濃いくなる。
その現象が抗酸化で乾燥させる食材に起きているのだと思う。
じっくり乾燥させることにより、余分な水分が飛び、その食材本来の味を細胞の中に閉じこめていくからだと思う。
例えば大根で考えてみよう。
同じ大根なのに、大根は葉に近い部分と下と大根の先端では味が異なる。
これは、辛み成分イソチオシアネートの含有量によって変わるらしい。
まだ、実験はしていないのだが、大根の葉に近い部分と、先端に近い部分を乾燥させたら、極端に甘い大根と極端に辛い大根ができるのではないかと思う。
また、大根の煮物をする際には、冷凍してから凍ったまま煮ると味が染みやすい。
これは、冷凍することにより、細胞が壊れて味が染みやすくなるからである。
料理をするものにとっては、常識なのだが、煮物をする際、煮っぱなしより、一度、火を止めて再加熱した方が、味が染みる。
これも同じ原理だと思う。
カレーは一日寝かせた方が美味しくなると言う経験は誰でもしたことがあると思う。
グリコのHPには以下のように解説している。
「具材のもつ旨み成分や甘み成分がソースに溶けだしてコクが増します。肉・野菜・香辛料に含まれる糖質やタンパク質、アミノ酸などの成分が微妙に絡みあうことで、独特の「コク」が生まれます。」
つまり、熱を加えて細胞が壊れて、成分が出ていると言うことだろう。
話は変わるが、飲食店を評価する際に、よく「あの店は美味しい」という表現を使う。
では、この美味しいとは何が美味しいのだろうか?
もちろん素材の味を引き出して美味しいということも言える
ただ、本当に素材だけで食するものは、生食に出来うるものに限る。
例えば、魚の刺身がそうだろう。
しかし、刺身を食べるにも、醤油あるいは塩をつけたりする。
更には、ワサビや生姜等を使うこともあるだろう。
純粋に何もつけずに食べると言うことは無いだろう。
例えば、野菜もそうだろう。
しかし、多くの方は野菜を食べるのに、マヨネーズあるいはドレッシング、塩等をつけて食べるのではないだろうか?
つまり、最高の素材を使って、魚を何もつけずに食べさせる店や野菜をそれだけで食べさせる店があったとしても、「あの店は美味しい」という評価は無いのではないだろうか?
では、何を評して、「美味しい」と判断するのだろうか?
それは、調味料である。
調味料の配合の仕方である。
調味料の配合の仕方が上手い店が美味しい店なのである。
甘さを加える甘味料。
旨味を与えるうま味調味料。
辛さを与えるものと特別な香りをつけるものを香辛料。
または、砂糖、塩、酢、醤油、味噌、酒、ソース、みりん、ケチャップ、マヨネーズ、etc・・・
これらをバランス良く配合することの出来る店が“美味しい店”なのである。
1997年から週刊少年ジャンプに連載され、アニメとしても人気のある“One Piece”のの中で、コックのサンジが「神は食物を作り、悪魔が調味料を作る。」ということを言っている。
言いえて妙である。
我々は、この調味料に騙されるのである。
抗酸化空間で乾燥させたものは、調味料なしで素材その物の旨さを十分に引き出す。
決して、調味料はいらない。
それは、細胞を壊さずに、旨みを閉じこめることが出来るからであろう。
少し長くなりすぎたので、次回に結論を書く。