前回、東海大学医学部の大櫛教授が著した「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」に基づき高脂血症について、寄稿し、現在の診断基準では大変なことになるということを寄稿した。
昨年12月に寄稿した際に、善玉コレステロールと悪玉コレステロールに関して解説したが・・・
大櫛教授の著書の中で、善玉コレステロールに関して興味深いことが書いてある。
「男性にとって、善玉コレステロールは必ずしも善玉ではない」というのである。
ちなみに日本動脈硬化学会の基準では、善玉コレステロールの基準値は男女ともに40mg/dL未満となっている。
次の図を見ていただきたい。
これは善玉コレステロールと5年死亡率を表にした物である。
◎印が付いているところが、死亡率の最も低かった集団である。
男性では、40~59mg/dL、女性では60~79mg/dLとなっている。
注目すべきなのは、男性の場合は、善玉コレステロールが低くても高くても、死亡率が高くなっているということである。
これを見ていただければ、大櫛教授の言う男性にとって善玉コレステロールは必ずしも善玉ではないというのはうなずける。
また、興味深いのは、女性の場合は、善玉コレステロールが上昇するに従い、死亡率が低下していると言うことである。
逆に、日本動脈硬化学会の基準値である40mg/dL未満だと死亡率が上昇しているのは何故だろう?
大櫛教授によると、このコレステロール値と死亡率に性差があるのは当然のことという。
何故ならば、もともと女性は善玉コレステロール値が男性より約15mg/dL高いと言うことである。
以前にも書いたが、女性ホルモンはコレステロールを材料にして体内で合成される。
そのため、特に、閉経後の女性では、体内で女性ホルモンが合成されなくなるので、コレステロールが余ってしまい、コレステロール値が高くなると言うのは当たり前のことらしい。
2004年の米国医師会雑誌では、女性のコレステロールと心疾患や死亡率について多くの論文を総合的に評価した結果が発表され、女性へのコレステロール定価薬の不要性が確立されているということである。
論文の結果は以下のようになっている。
○ 心疾患系疾患を持たない女性に対して、資質低下は層死亡率または冠動脈疾患死亡率に影響しない。
○ 知られた心血管系疾患を持つ女性に対しては、高脂血症治療薬は、冠動脈疾患死亡、非致死性狭心症、血管再生術の現象に効果があるが、層死亡率には影響しない。
つまり、“女性にはコレステロール低下薬は不要”というのが世界の常識ということである。
また、大櫛教授は、私が以前寄稿したように、健康食品会社のコレステロールは悪者とし、「低ければ低い方が良い」と宣伝していることに警鐘をならしている。
コレステロールは身体に必須の物質なのである。
何故、必要かは昨年11月のブログを参考にしていただきたい。
ただ、コレステロールを下げる必要がある人もいるので要注意!
遺伝的にコレステロールの高い「家族制高脂血症」の人だけは医師と相談しながらコレステロールをコントロールする必要がある。
その他の人は、必要以上にコレステロールで注意する必要はないというのが大櫛教授の見解である。