ジャイアンツの木村拓也内野守備走塁コーチが、4月2日に行われたプロ野球・広島-巨人戦前のノック中にくも膜下出血で倒れ、同月7日午前に入院していた広島市内の病院で他界したというニュースは記憶に新しい。
まだ37歳という若さもあり、「自分は大丈夫だろうか?」と人間ドックを受ける人が増えているらしい。
しかし、その人間ドックが余り役に立っていないのでは(?)と言ったら、皆は「えっ?」と思うのではなかろうか。
私は人間ドックとは無縁の生活を送っているので、人間ドックがいくらかかるのかも知らなかった。
少し調べてみると、日帰りで4万前後、一泊で8万前後と言ったところが多いようだ。
結構高い・・・。
何故、人間ドックが余り役に立たない(?)のではというのは、人間ドックにつく医師は大勢の受診者に対して数名しかいないという点である。
コンピューターで判断する物であれば、まだ診断ミスは少ないと思うが、レントゲン等は医師が自分の目でチェックしなければならない。
多ければ100名を超える数の受診者をベルトコンベアのように流れ作業でチェックする訳だから、見落としが無いとは言えない。
これが、人間ドックではなく、病院の診察で、「ここがおかしい」と受診者が言って、レントゲンを撮り、それを医師が診て判断するのであれば、色んな可能性を考えてじっくり見るのだから見落としもそこまではないと思う。
しかし、人間ドックの場合は、正常・異常の区別もなく、流れてくるレントゲン写真をさっと見るのだから見落としがあっても致し方ない。
また、最近はPET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)というがん検査が流行っているらしい。
しかし、このPETという検査は、国立がんセンターが2006年に実施した調査で85%という見逃しがあったと発表されているのである。
以下に、PET画像診断フォーラムというHPで取り上げられているので見ていただきたい。
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/PET/news001.html
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/PET/news002.html
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/PET/news003.html
ここでは、医療に対して、誤解を生じる可能性があるということを語っているのだが、85%を見落としていたという事実は消せない。
次に、「国立がんセンター がん予防・検診研究センターにおける発見がんと予測値の比較検討」というデータがある。
http://www.ncc.go.jp/jp/about/rinri/pdf/16-81s.pdf
ここでの結論は以下のようになっている。
① 国立がんセンターがん予防・検診研究センターにおけるがん発見率は、男性5.1%、女性4.1%であった。
② がん発見数が、予測値を上回ったのは、男性では胃がん・前立腺がん、女性では肺がん・乳がんであった。
③ がん検診の不利益については、受診者への十分な説明が必要である。
重要なのは、この③番である。
既に、こういう結論が出ているのに人間ドックやがん検診でこのような説明を受けている人がいるかと言うことだ。
もし、自分はがんでないという診断を受けて、その安心をお金で買うという目的であれば、私は何も言わない。
しかし、がん検診を受けたにも関わらず、がんになったとしても恨み言を言ってはならない。