「真実の口」1,081 平成28年熊本地震から1年・・・②

前回の続き・・・。

平成28年熊本地震の犠牲者は、倒壊建物の下敷きになるなどした“直接死”は50人である。

地震発生3ヶ月後から、徐々に“震災関連死”が増え続け、6ヶ月後には“直接死”を“震災関連死”が上回ってしまった。

共同通信によると・・・

4月11日時点。

熊本地震で避難中の体調悪化などで死亡し“震災関連死”と認定されたケースは、熊本、大分両県で0歳から100歳代の男女170人。

そのうち、車中泊を経た後に死亡した人が少なくとも41人(約24%)。

病院の被災に伴う転院後に死亡した人が26人(約15%)。

内閣府非常災害対策本部から以下のような資料が発表されている

平成28(2016)熊本県熊本地方を震源とする地震 避難所及び避難者状況

★4月17日 9:30時点
避難所数:855箇所
避難者数:183,882人

☆6月15日 13:30時点
避難所数:123箇所
避難者数:6,241人

最大避難者数183,882人は、熊本県の人口の約10.3%(当時)にあたる。

ただし、熊本地震は、発生後1週間以内に、震度1以上の余震の回数が2,000回を超え、建物の倒壊を恐れ、大型駐車場などに車中泊の車が殺到していた。

この車中泊人数は、避難者数の中には含まれていない。

朝日新聞によれば、更に、避難生活による体調悪化などで亡くなった“災害関連死”について、少なくとも死者195人の遺族が認定を求め審査結果を待っていることも明らかになった。

認定を待っている人は熊本市が142人、南阿蘇村11人、益城町10人と続くらしい・・・。

ただ、関連死の認定には統一基準がないらしく、市町村が設ける審査委員会が災害との因果関係を個別に審査しているというのが現状のようだ。

熊本市では、医師や弁護士ら5人による委員会を設置したものの、当然、専従ではないため、開催できるのは月2回が限度となり、1回に審査できるのは10人程度となるらしい。

その結果、現在までに、249人の申請があり、審査が終わったのは107人の4割程度らしい。

では、「委員会の数を増やせば良いではないか。」と言いたい所だろう・・・。

しかし、同じような案件で、こちらは認定となったが、あちらは非認定となると不平等感が生まれるためそうもいかない。

同様に、南阿蘇村では26人の申請があったが、審査委員会が開かれたのは1年で4回という・・・。

地域間格差も出ているのが現状だ。

関連死と認定されると、災害弔慰金が支給され、生計を支えていた人は500万円、その他の人は250万円が支給される・・・。

災害弔慰金は、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいて、市町村が条例を定めて行うもので、費用は国が2分の1、都道府県と市町村がそれぞれ4分の1ずつ負担することになっている。

ただ、この「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、昭和48年9月18日に公布され、昭和49年4月1日以前の日から施行し、昭和48年7月16日以後に生じた災害に関して適用されている。

44年間、この金額は変わらないのだが、実勢にあっているのかいないのか・・・?

しかし、首都直下型地震が発生した場合、「死者2万3000人、経済被害が約95兆円」と言われている。

また、先般、政府は、南海トラフ地震が発生した場合、「死者33万人、経済被害が約220兆円」という驚愕の被害想定を発表している。

この状況では、災害弔慰金など言っていられないのだろうか・・・?

しかし、震災遺族の感情は、金額の問題ではなく、気持ちの整理のつけどころではないだろうか・・・??

審査委員会に携わる方も着地点の判断は難しいのだろう・・・???

未だ、避難生活を仮設住宅などで送る被災者は、47,725人もいらっしゃる。

“震災関連死”の数が増えないように、一層のケアを望むばかりだ・・・。

次回へ・・・。