前回の続き・・・。
前回、蒲島熊本知事を取り上げたので、序に、平成28年熊本地震の初動状況を取り上げてみたい。
前震発生日時:平成28年4月14日21時26分頃
発生から1時間弱の22時40分、蒲島知事は政府に対して、災害要請を行っている。
また、主導的に災害対策に取り組んでもらえるよう「激甚災害の早期指定」を求めた。
政府は、地震発生後直ちに官邸危機管理センターに官邸対策室を設置し、関係省庁の局長級による緊急参集チームを招集、非常災害対策本部を設置。
知事の要請を受けて、自衛隊350名、県外から警察200名、消防200名の広域的な応援派遣を決定。
しかし、被害状況が深刻なことを受け、更に、追加の応援派遣を決定。
自衛隊は約1,600名、警察は県外からの警察災害派遣隊1,085名を含む1,915名、消防は県外からの緊急消防援助隊555名を含む1,337名、県内消防団員1,600名以上
本震発生日時:平成28年4月16日1時25分頃
蒲島知事は政府に対して、いかのような要請を行う。
「熊本市から天草、阿蘇に拡大しており、一部隊について広域緊急援助隊の規模を3倍程度に拡大してほしい。病院機能が低下しているので医療体制の確保をお願いしたい。更に食料、水、トイレ、毛布の共有、物資供給のマネージメントを含めてお願いしたいと。」
これを受けて、政府は、以下のように対応している。
自衛隊:その時点での2,000名体制から16日中に15,000名体制、最終的には17日以降には20,000名体制へ
警察:その時点での、応援派遣を含め1,800名体制から全国から警察災害派遣隊を約1,000名を追加派遣へ
消防:その時点での1,337名から1,338名を追加派遣へ
災害派遣医療チーム:その時点での42隊活動中から、全国1,508隊の中から最大限派遣を準備
前述した3月27日のフォーラムではなく、4月16日に行われたシンポジウムの中で以下のようなことを言っていた。
「災害発災時刻から、生存率が急激に低下するとされるのは72時間と言われるが、私は24時間以内に何とかしたかった。」
事実、前震・本震での蒲島知事の要請を受けて、政府が派遣した自衛隊・警察・消防・災害派遣医療チームにより、多くの人命が救われている。
安否不明者が発生した4月16日の本震から3日後の4月19日までの間に、総数1,713名が救出されている。
以下がそのデータである。
熊本県危機管理防災課から出されている文書である。
この文書内にもあるが、地震の3年前に当たる平成25年3月に作成された熊本県で地震が起こった場合、被害想定では、死者数千人に上る状況が考えられていた。
今回の地震で、もし、各機関の救助活動がなかったら、被害想定をはるかに上回る死者数が出ていた可能性も示唆している。
特に、防災消防ヘリ、警察・自衛隊・海上保安庁のヘリが有効に活用されたようだ。
道路が寸断され孤立した地域への物資の輸送はもちろんのことだが・・・。
現地の映像が、災害対策本部でリアルタイムに見ることができることによって、日以外状況を把握でき、捜索・救助等の方針を速やかに決定できたというのだ・・・。
これからはドローンの活躍も多くなるのだろうか?
これらのことを踏まえても、熊本県の知事が新任ではなく、3期目の蒲島知事だったのは不幸中の幸いだったといるのではないだろうか?
余談だが、以下のようなデマが出回り、それを信じている人がいるようだ・・・┐( -_-)┌ ヤレヤレ
以下のような内容なのだが・・・。
「14日、1回目の地震が起きた時点で、同県の蒲島郁夫知事は政府に対して、主導的に災害対策に取り組んでもらえるよう「激甚災害の早期指定」を求めていた。ところが、政府はこれを取り合わなかった。
ちなみに、東日本大震災であれだけ対応の遅れが指摘された菅政権は地震発生の翌日、激甚災害の指定を閣議決定しているが、安倍政権は今日16日昼の時点でもまだ、指定していない。」
『安倍官邸が最初の地震の後、熊本県の支援要請を拒否!』というキーワードで検索すると、ナント、約32,100件もHitする・・・。
「激甚災害の早期指定」と人命救助及び支援活動には災害時の初動には殆ど関係ない・・・。
また、東日本大震災が「激甚災害の早期指定」に翌々日で指定されたのは特例中の特例であり、通常、一ヶ月程度は掛かるものである。
少し調べればわかるのだが、ネットの情報を信じる人は鵜呑みにするんだろうなあ・・・。
真実の口・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
次回へ・・・。