厚生労働省は、シックハウス症候群など体調不良を引き起こすおそれのある三つの化学物質について、新たに室内濃度の指針値を定める方針を固めた。
有識者の検討会で合意しており、年内に正式決定するらしい。
室内濃度指針値は、「シックハウス」が社会問題化した2000年前後にホルムアルデヒド、トルエンなど13物質について相次いで定められたが、新たな物質の追加は15年ぶりとなる。
改正建築基準法が施行されたのが、平成15年7月1日である。
今からさかのぼること、14年前である。
その概要をおさらいしてみよう・・・!
≪概要≫
★ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制
【内装仕上げの制限】
内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限。
【換気設備の義務付け】
原則として全ての建築物に機械換気設備の設置を義務付け。
【天井裏などの制限】
天井裏などから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための要措置。
★クロルピリホスの使用禁止
居室を有する建築物には、シロアリ駆除剤のクロルピリホスの使用を禁止。
次に、詳細を解説しよう・・・!
≪ホルムアルデヒド対策の詳細≫
【内装仕上げの制限】
1. 建築材料の区分
内装仕上げ(※注)に使用するホルムアルデヒドを発散する建築材料の等級が変更され、以下の表のような制限が行われ、また、これまでのJIS・JAS規格の等級付けも変更。
(※注)「内装仕上げ」とは、「廻り縁、窓台その他これに類する部分」を除く、壁、床及び天井の面的な部分であり、柱等の軸材、巾木、手摺、鴨居、長押等の造作部分、建具枠、部分的に用いる塗料、接着剤等は対象外となる。
建築材料の区分 | ホルムアルデヒドの発散 (放散速度) | JIS・JAS等表示記号 | 内装仕上げの制限 |
---|---|---|---|
建築基準法の規制対象外 | 5μg/㎡h以下 | F☆☆☆☆ (旧設定なし) | 制限なし |
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 5μg~20μg/㎡h | F☆☆☆(旧Eo・Fco) | 使用面積
制限 |
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 20μg~120μg/㎡h | F☆☆ (旧E1・Fc1) | |
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 120μg/㎡h超 | 設定なし (旧E2・Fc2・表示無) |
使用禁止 |
規制対象となる建材は、以下の通り。
木質建材:合板、木質系フローリング、構造用パネル、集成材、単層積層材(LVL)、MDF、パーティクルボード
その他:壁紙、接着剤、保温材、緩衝材、断熱材、塗料、仕上塗材等々
声:「これで儲かったのは・・・?」
2. ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積制限
F☆☆☆☆の建築材料は、使用面積が無制限ですが、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)及び第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)については、次の式を満たすように、居室の内装仕上げの使用面積が制限される。
N2S2+N3S3≦A
N2,N3:下表の該当する数値
S2:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)の使用面積
S3:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)の使用面積
A:居室の床面積
居室の種類 | 換気回数 | N2 | N3 |
---|---|---|---|
住宅等の居室 | 0.7回/h以上 | 1.2 | 0.2 |
0.5回/h以上-0.7回/h未満 | 2.8 | 0.5 | |
上記以外の居室 | 0.7回/h以上 | 0.88 | 0.15 |
0.5回/h以上-0.7回/h未満 | 1.4 | 0.25 | |
0.3回/h以上-0.5回/h未満 | 3.0 | 0.5 |
【換気設備の義務付け】
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられる。住宅の居室には、換気回数 0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が必要となる。
天井高によって、換気回数の緩和を受けられるが無意味なので省略する。
居室の種類 | 換気回数 |
---|---|
住宅等の居室 | 0.5回/h以上 |
上記以外の居室 | 0.3回/h以上 |
声:「これで儲かったのは・・・?」
【天井裏などの制限】
機械換気設備を設ける場合には、天井裏、床下、壁内、収納スペース等から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐため、以下の1~3のいずれかの措置が必要となる。ただし、収納スペースなどであっても、建具にアンダーカット等を設け、かつ、換気計画上居室と一体的に換気を行う部分については、居室とみなされ、内装仕上げの制限の対象となる。
1.建材による措置
天井裏等に第1種、第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない(F☆☆☆以上とする)。
2.気密層、通気止めによる措置
気密層又は通気止めを設けて天井裏等と居室とを区画する。
3.換気設備による措置
換気設備を居室に加えて、天井裏等も換気できるものとする。
詳細はこんなところだが、具体的施工法等に関しては省略する。
そして、住宅性能表示制度の基準も変更された。
その中でも気になるのは、住宅性能表示制度測定の対象となる化学物質に、アセトアルデヒドが追加され6種類となったこと。
【アセトアルデヒドの特性】
アセトアルデヒドは、アセトアルデヒドを原材料に使用している合成樹脂や接着剤、防腐剤、香料等のほか、エタノールの酸化により生成されるため、様々な食物やアルコールを含むもの、またヒトそのものも発生源となり、さらに喫煙でも発生する。人体への影響として、蒸気は目、鼻、のどに刺激がある。目に侵入すると結膜炎や目のかすみを起こす。長期間の直接接触により発赤、皮膚炎を起こすことがある。
さてさて、その後、どうなったのか・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
次回へ・・・。