「真実の口」2,192 人食いバクテリア⑤

前回の続き・・・。

今回も感染症例を取り上げてみる。

以下、 HBC  北海道放送より。

北海道札幌市の U・M さんは 3 年前に“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”に感染した。

U・M さん:

「ただ事ではないことになっているな…っていう気がしたんですよ。

もう私、死んじゃうのかなと思って・・・。

うどんどん、どんどん本当に腕、どうしたのかなっていうくらい、ポンッて腫れてきて…何が起きているんだろうってもいう感じ。」

U さんは、病気の進行を食い止めるため、右腕を切断。

一命は取り留めたものの、手術を機に生活は一変した。

U・M さん:

「普通に何か熱が出て寒気がして、食欲ないけれど、ちょっと食べようかなと思ったら、右手が痛くて…赤くなっていたんですが、どんどん広がって

痛くて息ができないというか、どんどん色が変わって、どんどん上がってくるんですよ。

多分、肩のあたりまで来てたかな。

もう元には戻らない気がしてました、何となく」

体調に異変を感じてから右腕を切断するまでは、わずか 3 日の出来事だったという。

U・M さん:

「(担当医師は)『 U さんの命は(残り) 24 時間なかったね』って言ってました。

病院の先生たちも看護師さんも『本当によかった、よかった』って…すごいですよね。

やっぱりね本当に助けられた。」

しかし、不幸にして、命を落としてしまうケースも少なくない。

ファイターズで長年スカウトを務め、ダルビッシュ有選手や大谷翔平選手の入団に尽力した I・Y さんがその一人である。

2 年前、“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”に感染し、帰らぬ人となった。

次男で元ファイターズの選手 I・R さんは、症状が出るまで、普段と変わらない姿だったという。

I・R さん

「(発症の) 1 週間ぐらい前ですかね。

あのときも一緒に(ゴルフの)打ちっぱなしに行っているんですよ・・・。

普通に元気よく。

体調悪いとか、そうことも一切聞かず・・・。

(最初の症状は)おう吐と下痢が結構あったそうで、 1 日間は(病院に行くのを)我慢していたらしいんですね。

病院に着いたときには、意識もちゃんとありながら、でもちょっと体調が悪いみたいな。」

しかし、入院が決まってかは、みるみる体調が悪化。

亡くなる寸前には手首、足首まで壊死が進行していたそうだ。

わずか一週間ほどで父親を亡くすことになった I さんには、心残りがあったらしい。

I・R さん:

「 1 日でも早く診察していたら、助かる命だったのかな・・・いうところがあったので、ちょっとでもおかしかったら病院に行ってもらいたい。」

もう少し、感染症例を紹介する。

以下、テレ朝ニュースより。

当時 26 歳の A さんは、自転車に乗っているときに、ペダルに右足のすねをぶつけて、かすり傷を負いたという。

出血はなかった。

A さん:

「翌日夜から足が赤く硬くなって腫れだした。

傷が熱を持っている感じだった。」

2 日後、 A さんが、高熱が出たため病院に行くと、緊急入院して手術ということになった。

診察した医師からは、 「 1 日でも遅れたら、右足を切断していた。」と言われたという。

A さんは、現在は後遺症なく、生活できている。

次に、B さん・ 61 歳女性のケース。

B さんは、約 9 年前バイクで転倒。

右足のすねの周辺から出血して、軽い痛みがあったという。

B さん:

「打撲で病院に行くのは恥ずかしく、けがを我慢していた。」

すると、 4 日後、右足全体に激しい痛みと腫れがあり、病院を受診したが、『打撲』と診断される。

人食いバクテリア⑤

その後、悪化し、受診の翌日には、嘔吐・下痢。 意識を失い、救急搬送。

その 2 日後には、医師から、 「このままだと命を失う。右足切断で助かる。」と言われ、右足を切断。

その後、約 8 年間、週 2 回のリハビリを続け、現在は義足で生活しているという。

東京女子医科大学感染症科教授・菊池賢氏:

“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”は、早期対応がカギ。疑わしい症状が出たら、一刻も早く治療しなければいけないので、救急車を呼んでほしい。」

最後に、菊池教授の体験談である。

居酒屋の店主が、 70 代の男性常連客が店に来ないことを心配し、男性宅を訪問したところ、男性は心肺停止の状態で見つかり、救急搬送。

体の至るところが壊死。

男性は、約 1 ケ月間、集中治療室に入り、意識・傷ともに回復したという。

菊池教授:

「あと半日遅ければ、死亡していた。

男性には水虫があった。

水虫がある時は、皮膚科にかかり、適切な治療を受けることが重要。」

右腕を切断した U さん、無念にも帰らぬ人となった I さん、事なきを得た A さん、右足を切断した B さん・・・。

受診の速さ、医師への意思伝達、医師の診断、etc・・・。

何か一つ歯車がかみ合わないことにより、人生が一転してしまう“劇症型溶血性レンサ球菌感染症”・・・。

次回へ・・・。