前回の続き・・・。
エムポックス関連の論文を見つけたりするのが、海外のサイトを翻訳したりするので、情報の提供が相前後してしい申し訳ない。
話を元に戻そう。
今回の PHECS 宣言の背景には、コンゴ民主共和国の貧困にあえぐ鉱山夫やその周囲で暮らすしかない女性たちではないかというところまでは、今寄稿第 4 回目で紹介した。
全世界へ飛び火する恐れはないのか?
2024 年 8 月 15 日、スウェーデン当局から、 30 ~ 40 歳の個人において、1b エムポックスウィルスによるエムポックス感染症例確定が報告されたことを WHO に通知された。
8 月 12 日、この感染者は、軽度のエムポックスの臨床症状を呈しながら、アフリカ地域の流行の影響を受けた国からスウェーデンに渡航した。
渡航日程には、複数回の乗り継ぎと、いくつかのより長いトランジットが含まれていた。
8 月 13 日、感染者はスウェーデンで医療を受け、検査による確認とウィルスの特徴付けのためにサンプルが採取された。
8 月 14 日、PCR 検査によりエムポックスが確認された。
8 月 15 日、スウェーデン公衆衛生局による全ゲノム配列解析の結果、 1b エムポックスウィルス感染が明らかになった。
感染者は現在( 8 月 30 日時点)、スウェーデンで隔離され、治療を受けている。
スウェーデンでは、この感染者には濃厚接触者である旅行仲間 1 名が報告されており、この濃厚接触者は監視下に置かれ、国内の保健当局と連絡を取っている。
濃厚接触者は、喉の痛みがあったが、 8 月 16 日に行われたエムポックスウィルスの検査では陰性であった。
欧州疾病予防管理センター( ECDC )は、 この事例を確認したことを受けて、 8 月 16 日、エムポックスのリスクレベルを「低」から「中」に引き上げ、感染地域から訪れる旅行者に対して高いレベルの注意を維持するよう各国に要請した。
続報を追ってみたが、この感染者のその後は確認できなかった。
更に、 8 月 21 日に、エムポックスの強毒型 1b がタイで確認された。
タイ疾病管理局長のトンチャイ・キーラティハッタヤコーン氏によると、感染者は 8 月 14 日にバンコクに到着し、翌朝エムポックスウィルスの症状で病院に搬送された。
このタイプを確認するために臨床検査が行われているが、当局は、それが 1b であると考えている。
感染者はアフリカの国からタイに旅行した 66 歳の欧州人で、隔離されている。
トンチャイ氏:
「検査を行ったところ、間違いなくエムポックスに感染しており、 2 型ではないことは間違いありません。
この感染者が 1 型の変異体に感染していると確信していますが、臨床検査の最終結果が出るまであと 2 日待たなければなりません」
・・・と AFP 通信に語った。
トンチャイ氏は記者会見で、保健当局は患者と同じ飛行機に搭乗していた濃厚接触 43 人を監視していると語った。
その後男性は、 9 月 2 日、エムポックス感染症から回復し、帰宅したと公衆衛生当局が発表された。
トンチャイ・キーラティハッタヤコーン医師(疾病管理局長):
「患者の病変は完全に乾いており、退院して自宅に戻ることができた。
さらに、この男性と濃厚接触 43 人全員の検査が行われ、感染は見つからなかった。
エムポックス 1b の最初の症例は解決し、これ以上の感染は起こっていません。
しかし、私たちは引き続き新たな症例、特に世界保健機関が流行を宣言した地域からの症例を注意深く監視し続けています。」
各国の報道では、従来伝えられているように、1 型が 2 型と比べて感染力が強い点を説明し、併せて、通常は症状が現れた後に他人に感染するウィルスであるため、感染者と密接な接触を持たなければ広がりにくいことも付け加えている。
さらに、免疫力があり場合、感染者が治療に頼らずに回復する場合が多いものの、免疫力が低下している場合や合併症が発生した場合、重篤化する可能性があることも伝えられている。
実際、 2022 年の世界拡大の際には、米国などでは HIV 感染者で、全身に発疹ができて死亡に至った事例も報告されている。
スウェーデンの例もタイの例も感染経緯は明らかになっていない。
しかし、 1 型においては、異性間交渉、特に性産業に従事する女性を介して広がり、爆発的な感染拡大が起こっている。
従来の動物から人への感染とは異なり、性感染症として広がることで国境を越えた感染拡大のリスクが高まっていることは想像に難くない。
コロナウィルスにように空気感染ではないとはいえ、人から人への感染は脅威になってくる。
また、今回、発見された 2 ヶ国の状況を考えると、「う~ん」とうならざるを得ない。
次回へ・・・。