未病
聞いたことがあるだろうか?
未病とは、「発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態」を指す。
「自覚症状はなくても検査で異常がみられる場合」と、「自覚症状があっても検査では異常がない場合」に大別されるそうだ。
例えば、「だるい」、「疲れやすい」、「冷える」といった不調も未病にあたるらしい。
こういう風に例えれば、「・・・そういえば、自分も思い当たるかな?」という人は、意外に少なくないのではないだろうか?
近年になり、「病気になってしまってからそれを治すよりも、病気になりにくい心身をつくることで病気を予防し、健康を維持する」という予防医学の重要性が認識されるにつれ、「未病」も重要なキーワードになってきている。
令和 4 ( 2022 )年版の高齢社会白書によると、我が国の高齢化率は 28.9%となっており、言わずと知れた『超高齢社会(※注 1 )』である。
(※注 1 ) 高齢化の進行具合を示す言葉として、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会と分けられ、 65 歳以上の人口が、全人口に対して 7 %を超えると「高齢化社会」、 14% を超えると「高齢社会」、 21% を超えると「超高齢社会」と呼ぶ。
そんな社会環境に置かれる日本だが、健康寿命(※注 2 )と平均寿命(※注 3 )の差は男性で 9 年、女性で 12 年も差がある。
(※注 2 ) 健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。
(※注 3 ) 0 歳における平均余命、すなわち生まれてから亡くなるまでの時間のこと。
超高齢化社会でありながら、国民はだれしも、「持続可能な社会保障と国民皆保険制度」だけは守って欲しいと望んでいる。
コロナ禍により、医療の現場は様変わりした。
コロナの感染拡大の脅威は、受診控えという形で全国的な患者数減少を引き起こした。。
また、外来患者の付き添いや入院患者の面会を原則的に許可しない医療機関も増加した。
コロナ禍前は、高齢者が病院の待合室にあふれていた。
お笑い番組では、以下のようなネタも披露されていた。
老人 A :「最近、〇〇さん見かけないけどどうしたんだろうねえ?」
老人 B :「病気になって家で寝ているらしいよ。」
一同:爆笑(笑)
現在でも、コロナ対応をしている医療機関は多い。
高齢者施設や介護施設はもとより、コロナ対応継続中である。
医療現場を大きく変えたコロナ感染症だが、限りある医療資源を効率的に機能させ、持続可能な社会保障を確立するには、何が、重要となってくるのだろう?
以下のグラフを見てほしい。
1970 (昭和 51 年)年にはきれいなピラミッド型だったが、 2050 年には逆ピラミッド型が想定される。
1970 年には 25.6 万人の 65 歳以上の老年人口は、 2050 年には約 295 万人と 10 倍以上に膨らむようだ。
1970 年には 7.1% だった高齢化率(老年人口が全人口に占める割合)は、 2050 年には 35.7%と高齢化が進むと見込まれている。
社会保障制度など現行の社会システムを継続させることは困難になるのではないかと誰もが想像できる数字ではないだろうか?
また、 1963 (昭和 38 年)年に全国で 153 人であった我が国の 100 歳以上の高齢者は、 1975 (昭和 56 年)年に 1,000 人を超え、 1998 年(平成 10 年)に 10,000 人を超え、更に、2012 (平成 24 年)年に 50,000 人を超え、2023 (令和 5 年)年は 92,139 人(前年比 +1,613 人)が見込まれている。
2050 年には約 53 万人、 192 人に 1 人となることも見込まれている。
因みに、 100 歳以上の高齢者のうち女性は 81,589 人(全体の 約89% )である。
余談だが、男女国内最高齢者の状況も報告されているので紹介する。
以下、所在市からの報告による。
【 男性 】
氏名:薗部 儀三郎(そのべ ぎさぶろう)さん
年齢: 111 歳
誕生日:明治 44 ( 1911 年)年 11 月 6 日生
所在地:千葉県館山市在住
・令和 4 年 11 月 15 日から男性の国内最高齢者
・本人への取材の可否:本人、家族ともに取材はご辞退。
【 女性 】
氏名:巽 フサ(たつみ ふさ)さん
年齢: 116 歳
誕生日;明治 40 ( 1907 )年 4 月 25 日生)
所在地:大阪府柏原市在住
・令和 4 年 4 月 19 日から国内最高齢者
・最近の状況柏原市の特別養護老人ホームに入所されています。昨年と同様にベッド上での生活が多いですが、声をかけさせていただくと力強く頷かれます。体調が良いときは「ごはん、ごはん」と言われ、食欲もあり、しっかり食べてくださっています。長生きの秘訣はよく食べ、よく眠ることです。
・本人への取材の可否:その都度、入所施設に確認要。
健康に長生きされることは喜ばしくうらやましい限りである。
だたし、 100 歳まで生きることが当たり前の時代では、自立して生活ができる健康寿命を伸ばし、生活の質の維持・向上を図り、健康長寿社会を実現する必要がある。
そこで、未病の発想である。
次回へ・・・。