前回の続き・・・。
前回、一般社団法人日本看護倫理学会が、「新型コロナウィルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 自分と周りの人々のために」と題する緊急声明を全文紹介した。
レプリコンワクチンとは、どのようなものなのか?
以下は Meiji Seika ファルマによるレプリコンワクチンの紹介である。
少ない有効成分量で効果が長く続く次世代 mRNA ワクチン
新型コロナウィルス感染症の流行で広く普及することとなった mRNA ワクチンは、タンパク質の設計図である mRNA を、脂質の膜に包んだワクチンです。
このワクチンを接種すると、 mRNA が、対象となるウィルスの構造を模した「抗原タンパク質」を体内で生成します。
この抗原タンパク質に対し、人間の免疫の仕組みが働き、ウィルスに対する抗体をつくることができます。
次世代 mRNA ワクチンは、従来型の mRNA ワクチンをさらに進化させたものです。
次世代 mRNA ワクチンは、新しい技術によって mRNA が複製されるように設計されています。
従来のワクチンよりも少ない有効成分量で高い中和抗体価を維持するのが特長で、増幅期間は短期であり、動物実験の結果では、投与部位の mRNA は投与後 8 日以降で著しく低下することが認められ、抗原タンパク質も投与後 15 日で検出できる限界量より少なくなります。
また、次世代 mRNA ワクチンの技術は、新型コロナウィルス感染症に限らず、将来的に、インフルエンザなどほかの感染症やがんのワクチン、免疫炎症疾患などの治療にも応用できるため、大きな可能性を持っています。
国産ワクチンを届けるために
次世代 mRNA ワクチンを国内で一貫生産するため、Meiji Seika ファルマは、株式会社 ARCALIS (福島県)と共に生産体制を構築。
ARCALIS が持つ最先端技術や mRNA に特化した事業運営に基づく開発スピードと、 Meiji Seika ファルマグループが持つ、生産や安全管理のノウハウ。
これらのシナジーで、安全で有効なワクチンの日本国内での安定生産・安定供給の道筋をつけました。
新型コロナウィルス感染症ワクチンは、インフルエンザワクチンと同様に、その時々で流行するウイルス株にあわせて開発・製造する必要があります。
次世代 mRNA ワクチンを含む mRNA ワクチンは、短期間で大量に開発・製造することが可能です。
この強みを活かし、流行株に対応したワクチンを迅速に供給していきます。
2024 年秋の供給に向けては、次世代 mRNA ワクチンの原薬を福島県南相馬市にある ARCALIS の原薬製造工場で製造し、原薬を製剤化する工程は Meiji Seika ファルマの国内工場で実施。
今後、生産施設を拡充し、国産ワクチンとして迅速に供給できる製造体制の強化を進めていきます。
・・・ということらしい。
次に医療従事者向けに公開されている「特定項目製品情報概要」から解説してみよう。
従来の mRNA ワクチンとレプリコンワクチン仕組みの違いは?
レプリコンワクチンは、少ない有効成分量で効果が長く続くことを目的とし、その最大の特徴は mRNA が自分自身で複製されることにある。
レプリコンワクチンは投与されると細胞内に取り込まれ、大量に複製するためのレプリカーゼという酵素を作れる mRNA を送り込み、レプリカーゼが mRNA を増幅することで、効率的にウィルスのスパイクタンパク質が生成されるという仕組みらしい。
臨床試験を行う前段階の実験で、マウスを用いたやヒトの皮膚細胞からの非臨床試験より、産生されたスパイクタンパク質は、筋肉内でおおむね7~ 8日目まで増加し、その後時間の経過とともに減少し、21日目に消失することが確認されている。
日本人成人 828 名に対して、今回のコスタイベ( ARCT-154 )とファイザー社ワクチン(コミナティ)で、ランダム化比較試験を行った論文によると、オミクロン BA.4/5 株に対しての中和抗体価は以下のようである
投与後 30 日:コスタイベ 2,125 / コミナティ 1,624 ( 1.31 倍)
投与後 90 日:コスタイベ 1,892 / コミナティ 888 ( 2.13 倍)
投与後 180 日:コスタイベ 1,119 / コミナティ 495 ( 2.26 倍)
コスタイベの方が増加し、かつ中和抗体価が 6 ケ月にわたって長く続いた。
更に、コスタイベは 5μg の投与に対し、コミナティは 30μg 投与と、コスタイベはコミナティの約 6 分の 1 の量であった。
次回へ・・・。