前回の続き・・・。
マイクロプラスチックが血液を介して全身に行き渡っていることを想定して考えられる人体の影響とは如何なものだろう?
脳
☞ マイクロプラスチックを含むプラークが脳卒中を引き起こす恐れがあるほか、血流に乗ったナノプラスチックが脳に築盛される恐れも考えられる。
☞ 脳梗塞、脳出血、発達障害、学習障害、注意力欠如多動性障害、etc・・・。
心臓
☞ 心筋梗塞のリスクを高めるうえ、血液が集まる場所なのでマイクロプラスチックのも蓄積されやすいと考えられる。
☞ 心筋梗塞、心不全、etc・・・。
肺
☞ 空気中のナノプラスチックを吸い込むと、付着した有害物質が喘息なのどの原因となる可能性が考えられる。
☞ 喘息、肺炎、etc・・・。
肝臓
☞ 血液中に含まれたマイクロプラスチックやナノプラスチックが蓄積されやすいため、肝硬変などの病変との関連性が考えられる。
☞ 肝硬変、肝炎、肝障害、etc・・・。
生殖器
☞ マイクロプラスチックに付着した添加剤がいわゆる“環境ホルモン”なので、生殖器に異常をもたらす恐れが考えられる。
☞ 不妊、流産、性機能低下、etc・・・。
がん
☞ 添加剤が乳がんの原因になりうるほか、臓器に蓄積すると腫瘍を形成する懸念が考えられる。
☞ 肺がん、すい臓がん、肝臓がん、胃がん、食道がん、大腸がん、小腸がん、膀胱がん、子宮がん、乳がん、etc・・・。
免疫
☞ プラスチック自体が人体にとって強毒であるため、排除する免疫細胞の負担が大きくなり死滅しやすくなり、免疫機能が弱まる恐れが考えられる。
☞ バセドウ病、関節リウマチ、橋本甲状腺炎、etc・・・。
こう調べてみると非常にやっかいなことが分かる。
特に免疫低下はあらゆる病気への引鉄になりかねない。
前々回に紹介した論文の著者でもあるイタリア・カンパニア大学内科医ジュゼッペ・パオリッソ氏も以下のように語っている。
「プラスチックそのものが人体にとって毒であるため、排除する免疫細胞の負担が大きい。
ユトレヒト大学の研究によると、マイクロプラスチックやナノプラスチックと接触した免疫細胞は、それ以外の異物を排除する場合と比べて、約 3 倍のスピードで死滅していくと判明しています。
もし体内に大量のマイクロプラスチックが溜まっていれば、それに対処するうちに免疫機能も弱っていくと考えられますね。」
上で紹介されたオランダ・ユトレヒト大学の論文は以下である。
Impacts of microplastics on immunity
☞ マイクロプラスチックの免疫への影響
重要なポイントだけ訳すると・・・。
「吸入または摂取されたマイクロプラスチックはまず消化管または肺に入り、次に空気血液関門を突破するか、胃腸粘膜を損傷する。
さらに、マイクロプラスチックは肝臓、腎臓、脳や血液循環などの主要臓器に入り込み、自然免疫反応を活性化し、重症例では免疫系の機能不全を引き起こす可能性がある。」
プラスチック=有害
誰もがなんとなくは意識していることだと思う。
東京農工大学教授・高田秀重氏は以下のことも指摘している。
「マイクロプラスチックやナノプラスチックだけでなく、製造過程で添加されるさまざまな化学物質も体内で悪影響を及ぼしている。
ペットボトルのキャップには、酸化防止剤のノニルフェノールや紫外線吸収剤のベンゾトリアゾールといった添加剤が含まれています。
これらが体内でホルモンの働きを乱して、性や生殖に関する異常を引き起こすと考えられる。
男性は精子数が減少しますし、女性なら乳がんや子宮内膜症の原因になりかねません。
これまで体内のマイクロプラスチックやナノプラスチックはサイズが小さすぎて検出できなかったため、疾患との関連性も不明なままでした。
しかし検査技術が確立すれば、原因不明の疾患の犯人が実はマイクロプラスチックやナノプラスチックだった、という事態も考えられる。」
万病のもとは、マイクロプラスチックやナノプラスチックだった・・・???
ところで我々はどのくらいの量のマイクロプラスチックを体内に取り込んでいるのだろうか?
面白い研究が発表されている。
2019 年 6 月にオーストラリア・ニューカッスル大学から報告された研究発表である
How Much Microplastics Are We Ingesting?: Estimation of the Mass of Microplastics Ingested.
☞ 私たちはどれくらいのマイクロプラスチックを摂取しているのか?:摂取したマイクロプラスチックの質量の推定。
この研究によると、『平均して人間は 1 週間に 5g ものマイクロプラスチックを摂取している可能性がある。」というのでえある。
以下は共同主任研究員のカラ・セナティラジャ氏が CNN のインタビューに回答したものである。
「マイクロプラスチックの問題が世界的な問題であることは明らかです。
たとえ各国が自国の裏庭を清掃したとしても、それらのマイクロプラスチック粒子は他の発生源から侵入している可能性があるため、安全であるとは限りません。
プラスチック摂取の最大の原因は飲料水であり、この研究では 52 件の既存の研究を検討して、世界中でプラスチック摂取量を推定しています。
この調査は、世界自然保護基金( WWF )の報告書「自然界にプラスチックなし:自然から人間へのプラスチック摂取の評価」のために委託されたものです。
平均的な人は、ボトル入りの水や水道水を飲むだけで、毎週 1,769 個ものプラスチック粒子を摂取していることがわかりました。
しかし、地域によって大きな差がある可能性があります。
2018 年の調査では、米国とインドの水に含まれるプラスチックの量は、ヨーロッパやインドネシアの水道水の 2 倍であることがわかりました。
別の調査によると、アメリカ人は毎年 74,000 〜 121,000 個のマイクロプラスチック粒子を摂取し、飲み、呼吸しており、水道水ではなくボトル入りの水だけを飲む人は、年間合計 90,000 個のプラスチック粒子を摂取する可能性があります。
世界中の人々は 1 週間に平均約 2,000 個のマイクロプラスチック粒子を摂取していることになります。
毎週平均 5g のプラスチックを摂取しており、これはクレジットカード 1 枚分に相当します。」
クレジットカード 1 枚分と言われると「えっ!!!」という感じがするのではないだろうか?
次回へ・・・。