前回の続き・・・。
前回、SNP (一塩基多型:Single Nucleotide Polymorphism【スニップ】)について寄稿した。
時代は進み、分子遺伝学の進歩により、 SNP よりさらに進んで、ある程度まとまった DNA の塩基配列が分析できるようになってきたそうだ。
似たような遺伝子群を持つグループを“ハプログループ”として分類するようだ。
声:「ハプログループって何だ?」
□_((ヾ(・ω・*)カタカタ
Wikipedia より
「ハプログループ(英: haplogroup )とは、単一の一塩基多型( SNP )変異をもつ共通祖先をもつような、よく似たハプロタイプの集団のことで、単倍群とも訳される。」
声:「ん?ハプロタイプって何だ?」
□_((ヾ(`・∀・´*)カタカタ
Wikipedia より
「ハプロタイプ( haplotype )とは、“ haploid genotype ”(半数体の遺伝子型)の略。単倍型とも訳される。」
声:「ん?????」
更に・・・□_ヾ(゚▽゚;) カタカタ
一般財団法人:環境イノベーション情報機構( EIC )より
「複数の対立遺伝子で、それぞれについてどちらの親から受け継いだ遺伝子かで分けたときに、片親由来の遺伝子の並びをハプロタイプと呼ぶ。染色体は、両親由来のものが 2 本 1 組で構成され、それぞれの遺伝子座の遺伝子(対立遺伝子)の組み合わせにより発現する形質が決まる。この対立遺伝子の組み合わせを遺伝子型と呼び、実際に発現する形質を表現型と呼ぶ。例えば、血液型の A 型は、 AA もしくは AO の組み合わせ(遺伝子型)があり、 A 型の表現型を示す。」
声:「はあ・・・、なるほど!」
つまり、ある種のハプログループを調べていくと、その一部の由来を調べることができるということらしい・・・。
これには、通常、ミトコンドリア(女系)や Y 染色体(男系)を用いられるそうだ。
数年前に、「ミトコンドリア・イブ」という言葉が流行ったが、ミトコンドリアのハプログループを調べることで証明できるということだ
これらの研究により、人類がアフリカから各地へ移動していく経路も推定できるようになったのだ。
Y 染色体ハプログループを人類全体について調べることで、世界各地の民族の由来を調べることもできるそうだ。
以下のような系図でハプログループが形成されるらしい。
ザクッと、世界の分布図を紹介すると・・・。
A :アフリカ
コイサン語族※注1話者や東アフリカのナイロート※注2などに高頻度でみられる。
B :アフリカ
特にピグミー※注3に高頻度でみられる。
C :アジア、オーストラリア
謎が多い系統らしい?
D :アジア
日本列島・南西諸島やアンダマン諸島、チベット高原で高頻度に観察されるほかはアジアの極めて限られた地域でしか見つかっていない。
E :アフリカ、アジア、ヨーロッパ
出アフリカ※注4せずにアフリカ内にとどまったハプログループである。
F :中央アジア
G 、 H 、 I 、 J 、 K の祖先にあたる。
G :東アジア
コーカサス地方※注5に多い。ヨーロッパや中東、北アフリカでも低頻度にみられる。
H :ヨーロッパ、中央アジア
インド亜大陸に特徴的なタイプであり、特に狩猟採集民コヤ※注6、ロマ※注7に多い。
I :ヨーロッパ
北ヨーロッパ、バルカン半島に高頻度で、クロマニョン人の系譜。
J :ヨーロッパ、アジア
アラブ人に多くみられ、アラビア半島や北アフリカで多い。
K :オーストラリア、ニューギニア
N 、 O 、 Q 、 R などの祖先に当たる。
L :東アジア
パキスタンに特徴的なタイプであり、インド南部でも高頻度でみられる。
M :オーストラリア、ニューギニア
東南アジア、オセアニアに多い。
N :東アジア
北アジア、ヨーロッパ北東部。ウラル系民族、ユカギール人※注8、ヤクート人※注9に高頻度。
O :東アジア
東アジア及び東南アジアで最も一般的に見られる系統であり、西ユーラシア系のハプログループ R と並んで現代人類において最も帰属人口の多い Y 染色体であると考えられている。
P :東アジア、アメリカ
フィリピンルソン島のアエタで高頻度であり、他の東南アジアでも見つかっている.
Q :東アジア、アメリカ
南北アメリカ先住民※注10、ケット人※注11、セリクプ人※注12、ユカギール人※注13等に多い。
R :ヨーロッパ、アジア
ユーラシア大陸西部、北アメリカ北東部、南北アメリカ( 16 世紀以降ヨーロッパからの移住)に多い。ハプログループ O と並んで現代人類において最も帰属人口の多い Y 染色体であると考えられている。
S :東南アジア、オセアニア
かつてはハプログループ M とハプログループ S という別々の系統としてたてられていたが、両者は姉妹群であることがわかり、ハプログループ Mの多い地域に多い。
T :西アジア、インド、中央アジア、アフリカ、ヨーロッパ
全体に低頻度ながら西アジア、インド、中央アジア、アフリカ、ヨーロッパにみられる。特にアフリカ北東部で高頻度にみられる。
※注 1 :コイサン語族
コイは牧畜民、サンは狩猟採集民のこと。現生人類の最も古い言語とされ、カラハリ砂漠、タンザニア中央部に多い。『ミラクル・ワールド ・ブッシュマン(現在は『コイサンマン』)に改題』の主人公と言えば分かりやすいだろうか?
※注 2 :ナイロート
主にナイル谷、および中央アフリカ・東アフリカの一部に住む民族集団でナイル諸語を話す。
※注 3 :ピグミー
特に身長の低い(平均 1.5m 未満)特徴を持つ、アフリカの赤道付近の熱帯雨林に住む狩猟採集民のこと。
※注 4 :出アフリカ(説)
原人が 180 万年ほど前にアフリカからユーラシアに拡散し、各地で進化して新人になったという多地域進化説に対する、アフリカで 20 万年ほど前に旧人から進化した新人が、約 6 万年前から世界中に拡散して、原人の子孫に取って代わったという新解釈された説。
※注 5 :コーカサス地方
黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈と、それを取り囲む低地からなる面積約 44 万 km2の地域。
※注 6:コヤ
ボリビアにおいて、アンデスの高地やそこに住む人たちをさす俗語。
※注 7 :ロマ
ジプシーと呼ばれてきた集団のうちの主に北インドのロマニ系に由来し中東欧に居住する移動型民族のこと。
※注 8 :ユカギール人
シベリア東部に住む先住民族のこと。
※注 9 :ヤクート人
北東アジアに居住するテュルク諸語を母語とする民族のこと。
※注 10 :アメリカ先住民
コロンブスによるアメリカ本土への到達以前からアメリカ州に住んでいる諸民族のこと。
※注 11 :ケット人
シベリア中央部のエニセイ川やケット川(オビ川水系)などの流域に住む少数民族のこと。
※注 12 :セリクプ人
ロシア連邦、西シベリアのエニセイ川中流域左岸一帯に住むサモエード系の狩猟・漁労民族のこと。
※注 13 :ユカギール人
シベリア東部に住む先住民族のこと。
いや~、調べれば調べると興味がわいてしまう・・・(´-ω-`;)ゞポリポリ
次回へ・・・。