前回の続き・・・。
前回、日本政府の国としての“遺伝子組み換え作物に対する基本的な考え方”を示した。
そうなると、やはり、山●元農林水産大臣の「遺伝子組み換えのコメの種子『 WRKY45 』等 70 種が政府に認められ、作付の申請があれば、承認されるばかりになっている。」と言う発言は現実味を帯びてくるのでは・・・?
遺伝子組換え生物等の承認又は確認の申請について見てみよう!
◆遺伝子組換え生物等の承認又は確認の申請
遺伝子組換えトウモロコシの輸入、流通や、遺伝子組換えマウスの工場内での飼養、繁殖など、遺伝子組換え生物等を用いて何らかの行為(カルタヘナ法上、「使用等」)を行うためには、カルタヘナ法に基づき、あらかじめ許可を受けておく必要があります。
許可の種類は、遺伝子組換え生物等の使用等の形態に応じ、「承認」(第一種使用等)又は「確認」(第二種使用等)のいずれかとなります。
「ん?なんのこっちゃ??」という声が聞こえてきそうだが・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…
まず、カルタヘナ法について説明した方が良いだろう・・・。
カルタヘナ法の目的は、遺伝子組換え生物等を使用等する際の規制措置を講じることで、生物多様性への悪影響の未然防止等を図ることである。
カルタヘナ法では、遺伝子組換え生物等を用いて行うあらゆる行為のことを「使用等」とし、使用形態に応じて「第一種使用等」と「第二種使用等」とに分け、それぞれの使用に応じて、とるべき措置を定めている。
例をあげると、遺伝子組換えトウモロコシの輸入、流通、栽培など、遺伝子組換え生物等の環境放出を伴う行為は「第一種使用等」になる。
この「第一種使用等」をする際には、使用に先立ち、遺伝子組換え生物の種類ごとに、予定している使用によって生物多様性に影響が生じないか否かについて審査を受ける必要がある。
審査の結果、問題が無いと評価された場合のみ承認を受けることができ、使用が可能となる。
それに対して、「第二種使用等」とは、遺伝子組換え生物等を、環境への放出が生じない空間で使用することを言う。
「第二種使用等」についても、使用に先立ち、拡散防止措置が適切なものとなっているか確認を受ける必要がある。
ザクッと言えば・・・。
「第一種使用等」・・・環境中への拡散を防止しないで行う使用
「第二種使用等」・・・環境中への拡散を防止しつつ行う使用
詳細は➡「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の 多様性の確保に関する法律の概要」
手続の流れとしては、以下のPDFを参考にして欲しい。
では、現在、遺伝子組み換え作物で承認されたものはどのくらいあるのだろうか?
14 品目 588 種・・・( ̄へ ̄|||) ウーム
多いと考えるか少ないと考えるかは、遺伝子組み換えに対して好意的か否定的かにもよるのだろうが・・・???
では、山●元農林水産大臣の言う「 WRKY45 」とは、どのような作物なのだろうか?
イネの病気で、最も被害が大きいと昔から恐れられてきたのが“いもち病”である。
“いもち病”とは、イネがカビの一種である“イネいもち病菌(学名:Pyricularia oryzae)”に感染し、発病することで起きる病気のことである。
胞子がイネの葉に到達すると、条件がよければ 1 ~ 2 時間で発芽し、気孔から組織内に侵入して、黄褐色の斑点を生じ、葉は先端から枯れる。
茎につけば黒変し、それより上部は枯れ、穂につけば籾はまったく実らず白穂となる。
発生する部位によって、葉いもち・穂いもち・節いもちなどの別の名前で呼ばれる。
稲作上、最も恐るべき病気とまで恐れられているのだ。
夏気温が低く雨が多く日照不足の年に発生しやすい。
また、窒素肥料の使用過多、冷水の流入、排水不良なども要因となることがある。
その“いもち病”対策として研究されているのが、「 WRKY45 (ワーキー 45 )」なのだ・・・!
「 WRKY45 」は、 2007 年 7 月 18 日、茨城県つくば市にある農業生物資源研究所で、世界で初めて発見された“いもち病”などに極めて強い防御機能を持つイネの遺伝子である。
それまで、“いもち病”に対する農薬として、プロベナゾールやベンゾチアジアゾール( BTH )などの抵抗性誘導剤が利用されてきた。
農業生物資源研究所では、BTH の効果を詳しく調べ、 BTH によって引き出される植物の病害抵抗性に関係する遺伝子を利用して、 BTH を散布しなくてもイネを同じような状態にすることはできないだろうかと考えた。
その中で見つけたのが、「 WRKY45 」 という遺伝子なのだ!
BTH 散布後の遺伝子の働きの変化を調べる中で、「 WRKY45 」 遺伝子の働きを抑制したイネでは、 BTH を散布してもイネの“いもち病”発病が抑えられなかった。
「 WRKY45 」は転写因子らしく、転写因子は遺伝子のそばにあり、遺伝子の働きをコントロールするプロモーターというDNA配列に結合し、遺伝子を働かせる役割を持つそうだ。
解説すると、転写因子がプロモーターに結合すると、遺伝子配列がメッセンジャーである RNA にコピーされ、その情報を基にタンパク質が作られる。
これを利用して、“いもち病”に強いイネをつくることが出来るそうだ・・・φ(*’д’* )メモメモ
更に、「 WRKY45 」 は、病気に対する防御遺伝子約 300 個の働きをコントロールしていることもわかった・・・ヽ((◎д◎ ))ゝ ひょえぇ~
「 WRKY45 」が働いて、抗菌タンパク質や抗菌物質の合成が促進されると、病原菌の 95% は、植物の細胞に侵入する前にブロックされるという・・・w( ̄△ ̄;)wおおっ!
「 WRKY45 」 をイネの中でたくさん作らせてみたところ、“いもち病”、“ごま葉枯病”、“白葉枯病”に強くなったそうだ。
つまり、「 WRKY45 」 を遺伝子組換えでたくさん働かせれば、 BTH のような農薬を使用しなくても、様々な病気に抵抗性を示すということになるそうだ・・・。
ここまで聞くと、「何だ良いじゃん!」と言いそうだ・・・(笑)。
次回へ・・・。