前回の続き・・・。
前回、山●元農林水産大臣が示した WRKY45 の特性について寄稿した。
では、本当に、「遺伝子組み換えのコメの種子『 WRKY45 』等 70 種が政府に認められ、作付の申請があれば、承認されるばかりになっている。」と言う発言の現実味を見てみよう・・・!
前回、リンクを張った『日本で承認されている遺伝子組換え農作物等リスト』を見てみると・・・。
イネについては・・・。
高トリプトファン含量イネ( OASA1D, Oryza sativa L.)( HW1 )という GMO 品種が、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機に対して、 2004 年 6 月 11 日に隔離ほ場での試験等が承認されている。
高トリプトファン含量イネについて調べてみた・・・。
『遺伝子組換え技術による飼料用イネの開発―高トリプトファン含量イネー』
この品種が考え出されたバックボーンが解説されていたので引用する。
『アミノ酸の桶理論とは、必要量に満たないアミノ酸が一つでもあると、他のアミノ酸がいくら足りていても、成長に影響が出てしまうというものです。
豚や鶏が不足しがちなアミノ酸としてはリジン、トリプトファン、スレオニン、メチオニンが挙げられます。そこで、不足しがちなアミノ酸にあわせて、全体として多くの飼料を与えると、総蛋白質が過剰になり、今度は窒素排泄物が増加し、環境汚染を招いてしまうことになります。
そこで、現在は低タンパク飼料に不足しがちなリジン、トリプトファン、スレオニン、メチオニンのような制限アミノ酸を、ピンポイントでサプリメントのように与えてアミノ酸効果を維持しています。
しかし、中には単価の高いアミノ酸もあります。
リジンは 170円/Kg ですが、トリプトファンは 3,200円/Kg と、現時点では非常に高価なアミノ酸の一つです。またリジンは安価ではありますが、その市場規模はおよそ 100万t を突破しているといわれています。
私たちは、輸入飼料用のダイズやトウモロコシにかわって、休耕田を利用した飼料米作りを増やすことで国内飼料自給率を少しでも上昇させたいという思いがあります。
しかし、国内栽培はコストがかかってしまい、補助金なしではなかなか飼料米の普及を進めることができません。
そこで、先ほどお話ししたアミノ酸サプリの成分を、はじめからイネに高含有化させ、海外輸入飼料との価格差を少しでも縮めるための付加価値を飼料米につけられたらと考えました。
また、そのような開発研究と合わせて、社会的受容に対して可能な範囲で配慮した遺伝子組換えイネを作出したいと考えています。
社会的需要への配慮のための技術として、抗生物質マーカーを使わないですむ方法や、発現カセット遺伝子だけを入れる方法、イネ由来の特性のあるプロモーターを使用して、収穫率が低下しないようにする方法などを模索しています。
(中略)
実際に遺伝子組換え技術を用いて改良したポイントについてですが、イネが本来持っているフイードバックレギュレーション(トリプトファンはある程度細胞内で足りてしまうと、トリプトファン合成をやめてしまう仕組み)を非感受性にして、トリプトファンを作り続けるようにする戦略をとりました。これにより、「日本晴」という品種で 129 ~ 130 倍まで遊離トリプトファン含有量を上げることができました。』
なかなか素晴らしいことではないか・・・!
高トリプトファン含量イネの使用期間は、 2004.6.11 ~ 2005.7.30 となっており、成功しているにも関わらず、平成 30 年 6 月 8 日現在、栽培も飼料用としても行われていない・・・ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…
その他のイネについても、 2004.6.11 に第一号GMO作物が承認されて、 2016年3月31日 に 24 番目のGMO作物として、(国研)農業生物資源研究所に承認された“スギ花粉ポリペプチド含有イネ( GluA2-F1, GluB1-F2, GluC-F3, SH-Cry j 2 , 改変 ALS , Oryza sativa L. )( OsCr11 )まで、 24 例あるようだが、全てが、「隔離ほ場での試験等」までしか進まず、栽培・食用・飼料用としては行われていないのが現状だ・・・(・0・。) ホホ-ッ
これらを見てみると、GMO作物の研究は進めているが、主食であるイネの栽培には慎重姿勢が取られて、実用化には至っていないというのが正直なところだろうか?
申請から承認でさえ、数々の難関を乗り越えなければいけないということは承認手続きの流れの中で寄稿したが・・・。
山●元農林水産大臣が言うように、容易く、承認➡栽培➡流通とはいかないのではないだろうか???
そして、最終的には、食品安全委員会の是非の判断が必要となる。
食品安全委員会とは・・・。
『食生活が豊かになる一方、食生活を取り巻く環境は近年大きく変化し、食に対する関心が高まっています。
こうした情勢の変化に的確に対応するため、食品安全基本法が制定され、これに基づいて新たな食品安全行政を展開していくことになり、これにともない、食品安全委員会が平成15 年 7 月 1 日に、新たに内閣府に設置されました。
食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下、規制や指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関です。
食品安全委員会は 7 名の委員から構成され、その下に 12 の専門調査会が設置されています。
専門調査会は、企画等専門調査会に加え、添加物、農薬、微生物といった危害要因ごとに 11 の専門調査会が設置されています。
また、事務局は、事務局長、次長、総務課、評価第一課、評価技術企画室、評価第二課、情報・勧告広報課、リスクコミュニケーション官、評価情報分析官から構成されています。』
構成図を分かりやすくすると・・・。
こんな感じらしい・・・。
詳細には・・・。
こんな感じらしい・・・。
そして、食品安全委員会における『遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価の原則と基本的な考え方』は以下のようになっているのだが・・・。
少し引っ張ろう・・・。
次回へ・・・。