前回の続き・・・。
前段まで、山●元農林水産大臣及び評論家・三●貴●氏の種子法廃止反対意見の検証を行ってきた。
私は、GM 作物自体は否定派なのだが、彼らのように、事実を捻じ曲げて、何も分からない人たちを扇動するやり方には賛同できないので、角度を変えて検証してきただけである。
決して、彼らの人格を否定したわけでは無い。
さて、 GM 作物だが、アメリカから輸入した GM 菜種が自生の菜種と交雑して遺伝子形態が違う新種の菜種が生まれているということを、前回、寄稿した。
更に、アブラナ科である菜種は、他のアブラナ科と交雑する可能性がかなりの確率で起こりうるということも警告した。
少し古くはなるのだが、 2001 年 11 月 29 日に総合学術雑誌『 Nature 』に掲載された David Quist 氏と Ignacio H. Chapela 氏のカリフォルニア大学両教授の論文は世界に衝撃を与えた。
Transgenic DNA introgressed into traditional maize landraces in Oaxaca, Mexico
➡メキシコ・オハアカ州の伝統的なトウモロコシ農地に遺伝子組み換え作物が侵入した
「メキシコ南部の山間地、オアハカ( Oaxaca )州で、 2001 年 10 ~ 11 月に採取したトウモロコシ在来品種、 6 サンプルのうち 4 サンプルから遺伝子組換え作物で使用されるプロモーター(遺伝子の転写開始の働きをする DNA 配列)や Bt タンパクなどの導入遺伝子を検出した」
・・・という内容だった。
私は知らなかったのだが、トウモロコシはメキシコが発祥地らしい・・・。
起源- Wikipedia より-
『メキシコからグアテマラにかけての地域に自生しているテオシント( teosinte )、【トウモロコシの亜種とされる Zea mays mexicana または Euchlaena mexicana、和名:ブタモロコシ】が起源。ただし、テオシントは食用にならない小さな実が 10 個程度実るのみで、外見もトウモロコシとは明らかに違う。』
一番上がテオシントで、一番下がトウモロコシ。
メキシコのトウモロコシは発祥地というだけあって、市場に出回っているトウモロコシは多種多様なようだ・・・。
こんな感じ・・・。
メキシコ国内に 60 属、 1,000 種があると言うのだから凄いものだ・・・w( ̄△ ̄;)wおおっ!
写真を見てもらえば分かるように、色も様々、形も様々・・・゚+.(◕ฺ∀◕ฺ)゚+. わぁ♪
国土の南から北までほとんど全土、全ての気候、土質、山の上(標高 3,400m まで)でも植え付けされているというのだから頷ける話である・・・o(‘ー’o)ナットク♪
何故、こんなに多いのか・・・?
単純明快、主食だから・・・(笑)
メキシコでは、紀元前 3,500 年頃から栽培さされていると謂れているのだが、先住民族からは、「聖なる植物」「神の贈り物」などと崇められていたという・・・。
我々、日本人は主食として米を食べるのと同様、メキシコ人は主食としてトルティーヤを好んで食べる・・・。
トルティーヤとは、トウモロコシの粉でつくる薄焼きパンのことで、こんな感じの物らしい・・・。
最も伝統的、かつ基本的な食べ方は、インゲンマメを煮たフリホレス・デ・オヤ(※注 1 )や、フリホレス・デ・オヤを油で炒めながらつぶしたフリホレス・レフリトス(※注 2 )をつけて食べる。
フリホレス・デ・オヤ
(※注 1 ) フリホレスとはインゲンマメのことで、インゲン豆の塩味の煮豆のこと。レフリトスやスープの元になる基本的な料理。
フリホレス・レフリトス。
(※注 2 ) インゲン豆のディップのこと
様々な具をのせて二つに折ったものはタコス、小麦粉のトルティーヤで具を巻いたものはブリートというらしい・・・。
左がタコスで、右がブリート。
声:「同じものやったんや・・・(笑)。」
具の種類は非常に多彩で、トマトやレタスなどのサラダ、挽肉を炒めたもの、チリ・コン・カルネ、アボカドで作った「ワカモレ」、チョリソなどがある。
まあ、これだけトウモロコシが食のど真ん中にあるメキシコなのだ・・・!
メキシコでは、1996 ~ 1997 年にかけて、小面積で Bt 品種の栽培が行われたのだが、1998 年にトウモロコシの栽培は全面禁止され、その後は綿と大豆のみが GM 作物として商業栽培されている状況だった。
要は、主食であるトウモロコシは守ろうという動きなのだろう・・・。
そんな中、山間部であるオハアカ州の伝統的なトウモロコシ農地で、遺伝子組み換え作物の DNA が発見されたというのだから穏やかではない・・・ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!
しかも、オアハカ州は、1996 ~ 1997 年に GM トウモロコシが栽培されていた地域から 100Km 以上も離れているのである・・・ゥ─σ(・´ω・`*)─ン…
当時・・・。
「100Km という長距離をトウモロコシの花粉が風に乗って飛散し交雑するのか?」
「食糧・飼料用として輸入した組換えトウモロコシを違法に栽培したのではないか?」
「検出方法に問題があったのではないか?」
・・・等々、さまざまな論議を呼んだようだ。
しかし、その翌年 4 月、急転直下、Nature 誌編集部は、Quist 氏等の研究は導入遺伝子の検出方法に技術的な問題があるとして、この論文の掲載を撤回したのだ・・・工エエェェ(´ロ`ノ)ノェェエエ工
メキシコ国民にとっては、ヤレヤレである・・・(^▽^)=3 ホッ
更に、 3 年後の 2005 年 8 月、Ortiz-Grarcia 氏等のメキシコ・アメリカの共同研究チームは、オアハカ州のトウモロコシ品種を採取し再調査した結果を全米科学アカデミー紀要 ( PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America ) (※注 3 ) に発表した。
(※注 3 ) 1915 年に創刊された米国科学アカデミー発行の機関誌
「2003 ~ 2004 年にオアハカ州の 18 地区、125 の畑から、 870 本のトウモロコシを採取し、合計 15万 3,476 粒の種子の遺伝子配列を調べた結果、組換え体と考えられる導入遺伝子は 1 粒も検出されなかった」
メキシコ国民は大喜びだったのだろうか・・・\(^▽^)/ヤッター!!
しかし、それから、再び、 3 年後の 2008 年 11 月、Nature 電子版は「メキシコ自治大学の A Pineyro Nelson 氏等が、オアハカ州で採取したトウモロコシ在来品種から組換えトウモロコシの導入遺伝子を検出したと言う論文を Molecular Ecology 誌に発表する。」と報じたのである・・・( ゚ Д ゚!)・・・・マヂカッァァァ
その論文は、 2009 年 1 月に公表されたのだが・・・。
「2001 年に採取したサンプルでは、 23 地点のうち 3 地点で組換え遺伝子を検出し、 2002 年に採取したサンプルでは 9 地点いずれからも検出されなかった。 2001 年のサンプルで組換え遺伝子が検出された 3 地点について、 2004 年に再び採取したところ、 2 地点で組換え遺伝子が検出された」
メキシコ国民の気持ちは・・・、ヾ(・ω・o) ォィォィ・・・(-ω-)ノ”ドッチヤネンッ!・・・って感じだろうか・・・?
ただ、A Pineyro Nelson 氏等は、この結果から 「 2001 年の Quist 氏等の報告が正しく、 2005 年の Ortiz-Grarcia 氏等の報告が間違っていた。」とは述べていないようだ・・・。
両者の調査は検出方法が異なるため単純に比較できないし、サンプルの採取方法も異なっているからという理由らしい・・・。
ただ、これが結論であるとすれば、 GM 作物の遺伝子が古来のトウモロコシ畑に繁殖していっていると捉えることが出来るのでは・・・=( =`д´= ;)⇒グサッ
次回へ・・・。