前回の続き・・・。
《魚編・第 1 話》
★ネギトロ
本来、ネギトロとは、マグロをおろした際に骨の隙間に残った赤身(中落ち)や、筋の多い部位や皮の裏などの脂身をこそげ落としたもの(すき身)を叩いて、ペースト状にしたものである。
当然、マグロを 1 本丸ごと買い付けるような業者でしか作ることが出来ない。
余談だが、“ネギトロ”の“ネギ”も、「身をねぎ取る」という言葉から派生したものらしく、野菜のネギとは全く関係ないものらしい・・・。
さらに、元の語源は建築用語で、地下構造物を作る時、地面より下の土を掘ることを「根切り」と呼んでおり、それが寿司業界にも広まり「ネギトロ」が誕生したらしい・・・。
回転寿司、スーパー、コンビニ等でネギトロはよく見かけられる・・・。
マグロをおろした際に骨の隙間に残った赤身が、どれ程あるというのだろうか?
当然、市中で出回っているネギトトは、本来のネギトロではないということである。
どのようにして作るかと言うと、マグロの切り身を作る際に出る端材に魚油や植物油などの油脂や調味料、着色料などを加えペースト状に加工したものである。
ただ、以前紹介した本の中に恐ろしいことが書かれていた。
マグロの水揚げで有名な静岡県三〇港近くの寿司屋で、その店のご主人から聞いた話らしい。
「お客さん、最近はひどいネギトロが出回っているんですよ。
マグロなんかまったく使ってないネギトロを作って売っている。
マグロの脂身の代わりに、イワシやサンマの赤身を使うんですよ。
でも、それじゃ脂がのってないから、業務用のマーガリンを使う。
ミンチ状にした赤身をマーガリンで混ぜ合わせると白っぽくなる。
それから、ネギを混ぜ合わせるんだけど、嫌になるのは、一緒に化学調味料もぶっかけるんですよ。
旨味を出すためと、艶を出すために使うと言ってましたね。」
この本が出版されたのが 2006 年で、ここから遡ること、 10 年くらい前の話らしいので、 1996 年前後の話らしいのだが・・・。
それから 二十有余年・・・。
更に、ネギトロが進化しているらしい・・・。
マグロやかじきと同じぐらい脂身があり、マグロの代替魚として、アカマンボウが加えられているというのだ・・・。
アカマンボウは、見た目はマンボウに似ているが、マンボウの仲間ではなく、リュウグウノツカイに近い魚種で、全長 2 m、体重 270kg ほどにもなる深海魚である・・・。
その他にも、アロツナスやガストロという魚も使われているらしい・・・。
アロツナスは、全長 1m 位になるサバ科で、和名をホソカツオと言い、マグロより脂身が少なく、かつおほどタンパクではない中間の感じらしい・・・。
ガストロは、全長 2m 位になるサバ科で、一般にはウロコマグロと言われ、白身魚なのだがアロツナスと同じような味の感じらしい・・・。
因みに、アロツナス、ガストロは、JAMARC(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 開発調査センター)で、水産物の安定供給の確保の開発魚の対象になっている。
JAMARCの開発魚(アロツナス)
JAMARCの開発魚(ガストロ)
声:「えっ?白身魚だとばれるじゃん・・・?」
嵩増し用に、白身魚を混ぜるらしいのだが、赤い着色料で色を変え、様々な油脂・食品添加物で、味・食感を整えるというのだ・・・(゚ロ゚)ギョッ
こんな情報が入ると、調べなければ気が済まない性分である・・・(笑)
近くのスーパーを回ってみた。
・A店
【商品名称】 まぐろのたたき(魚介類加工品)
【原材料名】 まぐろ(きはだ、めばち)、食用植物油脂、卵黄、食塩、ph調整剤、酸化防止剤( V.C.V.E ) (原材料の一部に大豆を含む)
【原料原産地】 日本、セーシェル
・B店
【商品名称】 まぐろのたたき
【原材料名】 まぐろ、食用植物油脂、食用精製加工油脂、半固体状ドレッシング、ph調整剤、酸化防止剤( V.C.V.E )、グルタミン酸ナトリウム (原材料の一部に大豆を含む)
【原料原産地】 日本、台湾、その他
・C店
【商品名称】 まぐろのたたき
【原材料名】 まぐろ(きはだ、めばち)、食用植物油脂、食用精製加工油脂、半固体状ドレッシング、ph調整剤、酸化防止剤( V.C 、抽出V.E ) (原材料の一部に卵を含む)
【原料原産地】 日本、台湾、その他
・D店
【商品名称】 三種の天然まぐろのたたき(生食用)
【原材料名】 まぐろ(きはだ鮪、びん長鮪、ミナミ鮪)、食用植物油脂、食用精製加工油脂、魚油、トレハロース、シラガネギ、小ネギ、紫玉ネギ、ph調整剤、酸化防止剤( V.C.V.E )、グリシン (原材料の一部に卵を含む)
【原料原産地】 まぐろ(台湾、日本(静岡)、その他)
“食用精製加工油脂”とは、液状の植物油に水素を添加し、固形状の油脂に加工したもので、マーガリンの原料になるものである。
流石に、アカマンボウ、アロツナス、ガストロは使われていないようだ・・・( ̄▽ ̄;)アハハ…。
声:「しっかし、最早、鮮魚と言う感は無いなぁ・・・(;´∀`)・・・うわぁ・・・」
こんなことを知っているだろうか?
食品安全教育研究所の河岸宏和代表の一言・・・。
「食品表示法では加工日(製造日)を『最終加工した日』と定義しています。刺身は魚を切った日だけでなく、ラップした日でもラベルを貼った日でも何でもいい。消費・賞味期限についても、一度決めた期限を変更してはいけないという法律が存在しないため、不正を行おうとすればいくらでもできます。」
鮮魚売り場を想像して欲しい・・・。
マグロの場合は、一本まるまる置いていると言う所はそうないだろうが・・・。
良い店であれば、鮮魚は、最初はおろされない状態で置かれる。
次に、柵として売られる。
売れ残ったら、刺身、切り身として売られる。
更に、売れ残ったら、加工されて売られる。
スーパーのネギトロ等が、一番活きのいい状態のものが使われているとは思えない・・・(笑)
魚は何度でも売られる形態が変わるのだから、消費期限も何も適当ではないだろうか?
これはスーパーという原材料名を書かなければいけないから条件なので分かるのだが・・・。
外食産業では、原材料名表示はいらないので、あなたの食べているネギトロが、アカマンボウ、アロツナス、ガストロ等々にすり替えられているどうかは定かではない・・・ε=┏(; ̄▽ ̄)┛
勿論、信じるか信じないかは貴方次第である・・・ε=ε=ε=(;^・_・^)
次回へ・・・。