前回の続き・・・。
厚生労働省の『科学的エビデンスに基づく新シックハウス症候群に関する相談と対策マニュアル改訂新版』に話を戻す。
上記マニュアルを読み進めると、「えっ!」と驚くような結論へと導いている・・・( ̄へ ̄|||) ウーム
まず、このマニュアルの作成に使用されたデータは、平成 15 年( 2003 年)~平成 22 年( 2010 年)に行われた 2 つの疫学研究によるものである。
因みに、このマニュアル作成は平成 30 年( 2018 年)である・・・ψ(*`ー´)ψ ゥヶヶ
2 つの疫学研究とは・・・。
① 全国 6 地域で、住宅確認申請から無作為に抽出した新築戸建て住宅 6,080 軒、その後継続する 3 年間自宅環境調査を実施( 425 軒とその全居住者 1,479 人)
② 全国 5 地域の国公立小学校 22 校における調査票調査( 10,871 人)、学童の自宅環境調査( 178 軒)
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★シックハウス症状がいつも、または時々ある居住者がいる住宅は 3.7% (地区別には1.7 ~ 5.4%)。
★調査票回収率( 41% )を考慮すると、 1.8% 程度ではないか。
★訴えが多いのは鼻、喉・呼吸器、粘膜への刺激症状。
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★札幌市小学生のシックハウス症候群
『症状がいつもある』かつ『その症状は建物を離れるとよくなる』が 8.5% 。
鼻の症状(鼻水、鼻づまり、鼻がむずむずする)・・・ 6.1%
咳がでる・・・ 1.8%
目の症状(かゆい、あつい、チクチクする)・・・ 1.7%
以下を見て欲しい・・・。
連続する3年間の建物内の揮発性有機化合物( VOC )濃度変化らしい。
平成 16 年( 2004 年) ~平成 18 ( 2006 年)である。
何度も言うが、改正建築基準法(シックハウス対策法)施工は、平成 15 年( 2003 年)である。
つまり、施工後、 3 年間のデータということになる。
『ホルムアルデヒド、アセトン、トルエンは減少』となっている。
もう一度、思い出してほしい・・・。
シックハウス法の 4 つの柱は・・・。
( 1 ) 規制の対象とする化学物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。
( 2 ) 居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用を禁止する。
( 3 ) 居室の種類及び換気回数等に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建築材料の面積制限を行うものとする。
( 4 ) 居室には、一定の条件を満たす機械換気設備の設置を基本的に義務付けるものとする。
シックハウス施工時、揮発性有機化合物( VOC ) 13 種類の指針値は示されたもの、実質、規制されたのはクロルピリホスとホルムアルデヒドだけである。
当 Blog で、改正建築基準法(シックハウス対策法)によって、建材の評価表記が変わったことはお伝えしている。
まず、これ以前の建材には、 F0 ~ F4 までのランク付けがされていた。
数字が大きい程、ホルムアルデヒドの放散量が大きくなる。
それが、 JIS や JAS の改正により、表記が F の後ろに ☆ を付けるものへと変更された。
この際、新たにホルムアルデヒド発散料が極めて少ない F☆☆☆☆ (呼称:フォースター)が位置付けられた。
つまり、 F☆☆☆☆ を最上級として、以前の F0 が F☆☆☆ 、 F1 がF☆☆ということになる。
この“ F ”は、 “ Formaldehyde ”の頭文字なのである。
ここで、もう一度、先ほどの『連続する3年間の建物内の揮発性有機化合物( VOC )濃度変化』のグラフを見て欲しい・・・!
何かお気付きになっただろうか?
確かに、ホルムアルデヒド、アセトン、トルエンの 3 種類は減っているが、アセトアルデヒドは増加しているのである。
我々は、常々、ホルムアルデヒドの代わりにアセトアルデヒドが使われるようになるだけはないかということを訴えていた。
このデータで裏付け出来るのではないだろうか?
そもそも、何故、平成 15 年( 2003 年)~平成 22 年( 2010 年)の疫学調査のデータを得ていながら、平成 16 年( 2004 年) ~平成 18 ( 2006 年)のみをピックアップしているのだろうか?
しかも、このグラフの次の項には、以下のデータが提示されているのである。
『築 6 年以内の住宅の指針値超過は 3.5% 』
いやいや・・・。
それだったら、 6 年連続の揮発性有機化合物( VOC )濃度変化の提示をすべきではないだろうか?
何かの意図が見え隠れするのを感じるのは私だけだろうか・・・?
ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの違いとは・・・??
一番には臭いである。
ホルムアルデヒドの臭いは、ホルマリンの臭いと言えば、皆、想像がつきやすいだろう。
ホルマリンとは、水溶性のホルムアルデヒドのことである。
かなりの刺激臭である。
一方、アセトアルデヒドは、特徴的な青臭い刺激臭があるが、希薄していくに従い、果実臭っぽく感じられるのだ。
我々が相談を受けるシックハウスの方は、最初に、鼻で臭いを感じて、それをレーダーにして危険を察知し、避難行動を取っているという。
それが、改正建築基準法(シックハウス対策法)施工後は、そうはいかなくなったという話を聞く。
例えば、新築住宅展示会へ足を運び、レーダーである鼻が臭いを感知しないので、足を踏み入れるとその場で倒れこんでしまったという話がある。
更には、新築住宅の近くを通っただけで倒れてしまったという話もある。
これは、 24 時間換気の義務付けで、室内の VOC を屋外へと放り出していることによるものだ・・・ヽ(`Д´)ノ
余談だが・・・。
ホルムアルデヒドの化学式は、 CH2O または COH2 ・・・。
アセトアルデヒドの化学式は、 C2H4O ・・・。
どちらも O (酸素)が・・・(笑)。
抗酸化工法であれば、分解できるというのは化学式を見てもらえば分かるのではないだろうか?
次回へ・・・。