「真実の口」2,177 来るべき大地震に備えて ㊵

前回の続き・・・。

前回、タワーマンションの急増とこれら賃貸率増加が厄介な問題になってくるということに触れた。

国土交通省が設置した「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」の中でも、これらの問題を取り上げている。

【 大規模マンションが抱える課題 】

○ マンションの維持管理に係る区分所有者の合意形成の困難性は、大規模になるほど増加する傾向にある。
○ マンション修繕に係る費用は、マンションの規模が大きくなるにつれ高層化等もあって増大し、資金不足等により適切な維持修繕が行われない場合の影響が大きくなる。

分譲マンションでは、少なくとも毎年 1 回は必ず総会を開催しなければならないと区分所有法で定められている。

因みに、区分所有法とは、国が定めたマンションに関する法律である。

総会とは、マンション管理組合における意思決定機関であり、マンションで暮らす上での規約(ルール)の見直し、決算や事業報告、建物や敷地の管理に関しての事柄の決定、修繕工事の実施などが決議される。

しかし、総会への出席率はそれほど高くない。

以下のグラフを見れば分かるように大規模マンション程、出席率が低くなっている。

総会への実際の出席割合

前回、タワーマンションの賃貸率が増えている旨を寄稿したが、賃借人(賃貸居住者)は総会への出席は出来るのだろうか?

基本、総会の規約で、理事会が賃貸居住者の出席を認めると決めた総会には、出席資格はあるが、総会での発言権はない。

以下は、マンションの大規模修繕時に掛かるコストである。

大規模修繕工事金額

上のグラフでは、大規模になればなるほど工事金額が大きくなっていることがわかる。

下のグラフでは回数が高ければ高いほど工事金額が大きくなっていることがわかる。

当然のことだが、地震等で被害を受けた場合、建物被害の復旧は総会に左右される。

果たして、緊急時に総会は機能するのか?

因みに、マンションが被災した場合には、『被災マンション法』が適用される。

正式名称は、『被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法』である。

『被災マンション法』とは、政令によって指定された災害によって建物が全部滅失したマンションや、大規模一部滅失(価格の 2 分の 1 を超える滅失)したマンションの特例について定めた法律で、阪神・淡路大震災後の 1995 年に制定され、東日本大震災後、 2013 年に改正されている。

【 マンションが一部滅失した場合 】

『区分所有法』によって、管理組合集会での意思決定が可能
『区分所有法』では復旧と建替えに関する規定しかない
『被災マンション法』の適用を受けることによって、復旧や建替え決議以外に、 5 分の 4 以上の合意でマンションと敷地を一括で売却することや、建物を取り壊しての敷地売却、建物を取り壊すこと(取り壊し後は、全部滅失の場合と同様に敷地共有者にて決定)が可能になる。

いずれの場合も、集会の招集に際しては、行方がわからない敷地共有者や区分所有者については、敷地内の見やすい場所への掲示によって、通知することが認められている。

『区分所有法』とは、正式名称は『建物の区分所有等に関する法律』で、マンションを含む区分所有建物に関する事項を定めた法律である。

建替えを含むマンション再生に関する管理組合としての決定も区分所有法にもとづいて実施され、分譲マンションが普及したことによって 1962 年に制定され、その後数回改正されている。

マンションは、建物の形状から、個人の住戸にあたる「専有部分」と、エントランスやエレベーターなどの「共用部分」に分かれ、『区分所有法』では、共用部の改修や建替え等の再生に関するルール(決議要件等)が定められている。

つまり、全部滅失の場合、区分所有建物ではなくなるため、区分所有法や、管理規約は適用されず、『被災マンション法』に基づいて、新たに定められた管理者か、敷地共有者が共同で集会を招集し、再建や敷地売却等の対応を決定することになる。

また、一部滅失の場合は、管理組合として、『区分所有法』による復旧や建替えか『被災マンション法』による敷地の売却、建物の取り壊し等を決定することになる。

しかし、『被災マンション法』の適用には期限があり、政令による指定後、集会による決議まで、全部滅失の場合で 3 年間、一部滅失の場合は 1 年間という、時間的な制約がある。

話は変わるが、建物には耐震基準というものがあるのはご存知だと思う。

一般的に、 1981 年 5 月までの耐震基準を「旧耐震基準」、それ以降の耐震基準を「新耐震基準」と呼んで区別している。

「旧耐震基準」とは、 1950 年の建築基準法制定により、国内のすべての建築物に耐震設計が義務付けられ、その規定は日本各地で大きな地震が起きるたびに何度か強化されたものの、耐震基準の内容はおおむね「震度 5 程度の地震に耐えること」を想定したもの。

「新耐震基準」とは、 1978 年に発生した宮城県沖地震を経て、 1981 (昭和 56 )年 6 月に耐震基準が大きく見直され、木造住宅における耐力壁の量の規定などが見直され、基本的に震度 6 強~ 7 程度の大地震でもすぐには倒壊・崩壊せず、人命が損なわれるような壊れ方をしないことが想定されたもの。

分かりやすい絵を見つけたので参考にして欲しい。

耐震基準

熊本地震においては、大規模半壊が 22 棟、全壊が 17 棟にのぼった。

全壊のうち新耐震のマンションが 9 棟あった。

全壊とはいっても、いっぺんに崩れ去るようなマンションの倒壊には至っていなかった。

次回へ・・・。