「真実の口」2,182 来るべき大地震に備えて ㊺

前回の続き・・・。

前回、耐震構造について寄稿した。

今回はマンションに的を絞ってみる。

「耐震基準」については触れてきたが、「耐震基準」とは別に「耐震等級」という言葉がある。

これは、 2000 年に定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて制定されたもので、地震が起きたときの倒壊のしにくさや、損傷のしにくさを 3 段階の等級で表している。

等級 1 ・・・数百年に一度程度発生する地震に対して倒壊、崩壊等しない。数十年に一度程度発生する地震に対して損傷しない。
等級 2 ・・・等級 1 で想定される 1.25 倍の地震が起きても耐えられる
等級 3 ・・・等級 1 で想定される 1.5 倍の地震が起きても耐えられる

ただし、既存マンションの多くは等級 1 で、等級 2 はたまに見かける程度、等級 3 となるとほとんどないと思っていいらしい。

因みに、等級 1 が新耐震基準を満たすレベルとなっているので、とりあえずは安心して欲しい。

タワーマンションの制震・免震構造の採用率を見てみよう。

対震構造比率

上記は、 2020 年までに建てられたタワーマンションにおける制震・免震構造の有無である。

20 ~ 29 階までの割と多い一般的なタワーマンションを見てみると・・・。

制震・免震構造なし・・・ 61.5%
制震構造採用・・・・・・ 11.8%
免震構造採用・・・・・・ 26.7%

6 割以上は、制震・免震のどちらも採用されていないのが現状である。

ただ、階数が増える日につれて、制震・免震構造の採用率は高くなってきている。

東日本大震災での宮城県における制震・免震の有無における被災状況は以下のようになっている。

東日本大震災 宮城県マンション被害状況

免震採用での被害なしが 87.9% 、制震採用での被害なしが 100.0% 、免震・制震不採用でも被害なしが 49.5% である。

これだけ見ると、制震構造のほうがよさそうな気がするが、 免震を採用したマンションが 33 棟で、制震を採用したマンションが 3 棟を数的な違いもあることと、被災度が高いところにあったかという立地にも左右されている。

東日本大震災 宮城県マンション被害状況

これらを見ると、やはり、免震・制震を採用しているかの有無によって被災状況が変わるのは一目瞭然である。

ここでもう一度‟例のシミュレーション”を見てみよう。

摂南大学・西村勝尚特任教授

基本、制震構造の装置であるオイルダンパーや鋼材ダンパー、ゴムダンパーは、地震後のメンテナンスは必要とされていないようだ。

鋼材ダンパーは単純な構造をしているため、定期的なメンテナンスも不要で、オイルダンパーもメンテナンスフリーとしている製品はあるものの、経年劣化によるオイル漏れの可能性があるため、定期的なメンテナンスは必要とされているそうだが・・・。

果たして、強い 2 度の揺れには対応できるのか?

また、免震構造の装置には、免震ゴムや鋼材ダンパー、免震オイルダンパーなど、さまざまな種類があ、これらの耐用年数はそれぞれ違う。

特に、免震層内は湿気が多いため、そこにある免震装置は、錆が発生してしまうことが多いそうだ。

もし、その錆が放置されていたとしたら・・・?

倒壊を免れたとしても、数百世帯を超える人が住むこともあるタワーマンションで、大地震が発生して、その住人が一斉に避難所に押し寄せたら、それだけでパニックが起きてしまうため、マンション内にとどまらなければいけないことが想定される。

インフラの停止、食糧供給の不足、孤立、etc・・・。

余談だが、阪神・淡路大震災時に神戸で働いていた私だが、神戸のタワーマンションに住んでいる知人が複数いた。

その人等から漏れ聞いた嘆きである。

「余震の度に、長い揺れで酔いそうに・・・。」

「高層階まで、水を運ぶため何度も往復して・・・。」

「水が使えないから、トイレも我慢して・・・。」

「避難階段には排便の後が・・・。」

あの時は、まだ、 30 前後だったから、階段の往復もできたかもしれないが、今の年齢で果たしてそれが出来るのだろうか?

もちろん、トイレも近くなっているし・・・(笑)。

ちょっと、色々考えさせられた。

次回へ・・・。