「真実の口」2,186 来るべき大地震に備えて ㊾

前回の続き・・・。

4. 地震予知を防災・減災に活かす努力

地震による被害を抑えるには、次に発生する地震に関する情報が多いに越したことはない。

例えば・・・

・何日の何時何分?
・どこを震源とするどれくらいの規模か?
・今いる場所への影響はどうか?

究極を言えば・・・

・自分と家族はどこに逃げれば、どうすれば確実に生き残れるのか?

これらの答えを事前に入手していれば、いざ地震が発生しても冷静に行動できるのではないだろうか?

しかしながら。残念なことに現時点の地震予知のレベルは、いまだ研究段階であり、その思いを実現するには至っていない。

阪神淡路大震災で前兆現象として‟電離層擾乱”を確認してから 20 年あまり。(レポート発表当時の早川氏の談のため)

漸く様々な分野の科学者たちが総力を挙げて様々な角度から研究に取り掛かった状態である。

結果が出るまでにはかなりの時間を要するのではないでだろうか?

~A:源地のエリアの特定について~

東日本大震災における事前観測では、震源は沿岸から 50㎞ 以上離れた海域で発生すると予測していた。

結果は予測通りだった。

これも観測から把握していたことである。

一方、熊本地震では、九州全域で M5 超の大地震が発生することと予測したが、実際震源がどの辺りになるかまではつかめていなかった。

予測もその影響範囲が広すぎたと考える。

熊本地震で被災された方の中には、早川地震電磁気研究所の情報をご存じだった方々がお見えだったかもしれない。

そうした方々には、九州全域を範囲内にしてしまうことは、関心度を逆に下げてしまう結果となった可能性が否めない。

出来る事なら中心地の予測をより狭く限定する予知を目指さなければないけない。

そうしたことを踏まえて、ここで地震エネルギー( M :マグニチュード)と範囲、エリアについて説明する。

R:電離層の乱れ域の直径(実際には四角形かも知れまないが、円形もしくは楕円形と考えるのが妥当ではないか)
M:マグニチュード

地震エネルギー(M)と電離層擾乱域(R)の相関関係

地震エネルギー(M)と電離層擾乱域(R)の相関関係式

この式は、地震のエネルギーが大きくなると急激に乱れ域が広くなるということを 現している。

つまり、地震の規模( M )が大きくなればなるほど、 その上空には広範囲の電離層の乱れ域が発生するという事を意味している。

送信局と受信局を結ぶ伝搬路が、この乱れ域のどの部分を通過しても‟伝搬異常” を観測してしまいる。

そのために粗い観測網では発生位置や地震の規模に誤差 がつきまとう。

電離層が一番降下した地点を通過したケースと周辺部を通過 した場合では、振幅の下げ幅(標準偏差レベル)が異なるので、違いは標準 偏差に差となって現れる。

・東日本大震災では、シアトルからやってくる電波に異常が確認されたことと、福島 から送信する電波は絶えず正常であったことから、震源は三陸沖数 100㎞ 沖合であることが推測できた。
・熊本地震では、震源と送信局が 70㎞ 離れていたが、乱れ域が送信局 上空まで及んでいたと考えられ、その影響を受けて震源地の特定が不正確 になった。

~充実した観測網の構築~ 

‟伝搬異常” は、電波送信局と受信局を結ぶ直線区間内で発生する電離層擾乱を介して発生する。

そのため、現在の観測網には広い空白エリアが存在する。

また、前節で述べたように、地震の規模によって予測に大きな誤差が発生する。

抜本的にこの問題を解消するためには、以下のことが必要である。

・送信局と受信局を結ぶ直線本数を増やす(観測領域を広げるべき受信局を増設する)
・送信局と受信局の間隔を最適な距離間隔にする(観測精度の向上)

また、送信局は、公的機関が増設するには使用用途が限られ、これ以上必要としないこと、さらに、一拠点当たり 50 億円とも言われる建設費がかかる。

・現在の観測網 VLF 電波発信局(送信局)
➡国内 2 ケ所〔 JJY 局(福島)、 JJI 局(宮崎)〕
➡国外 3 ケ所〔 NWC 局(オーストラリア)、 NPM 局(ハワイ)、 NLK 局(シアトル)〕

・ VLF 受信局
➡ 2018 年 1 月時点で 11 か所(稚内市、根室市、むつ市、にかほ市、東金市、伊東市、浜松市、敦賀市、和歌山県西牟婁郡、倉吉市、香南市)

~目指す観測網~

・ VLF 受信局の増設
➡ 各都道府県に最低一台
➡できるだけ本土から離れた離島に設置
➡近隣国に設置(韓国、台湾、フィリピン、中国)

・ ULF/ELF (周波数 1-10Hz )受信局の新設
➡ 震源から放射される電磁波の直接観測(この観測に成功し、そのとき‟電離層擾乱”が発生すれば、前兆現象としての理論が完全なものとなる)

・ 見通し内 VHF 波の観測開始

・電波を利用した観測以外の前兆現象を研究している研究機関、大学研究室と連携した複合的研究や協同研究

~解析手法の開発~

現在収集している 11 拠点分では、 5 送信局の電波を 24 時間 365 日間観測し続けている。

こうした膨大な情報から‟伝搬異常”を見つけ出す作業はなかなか骨の 折れる作業である。

ましてやこれから受信局を増設するともなれば、それはなおさらである。

こうした情報量増加に対する備えが必要である。

このため、早川地震電磁気研究所 では、電磁波による地震予知研究をしているギリシャの大学と解析手法の研究を進めている。

それは、客観的判断に基づき膨大なデータを全て精査するという手法である。

この解析方法は、試行錯誤を繰り返しつつ進めているが、この方法を使って過去の観測データを振返ると、前兆現象を観測していながらそう認識していなかったもの、 逆に前兆現象でないにもかかわらず前兆現象と認識してしまったものがあった。

この様に情報解析を研究する研究者の協力を得て、日進月歩でありながらも確実 に地震予知ができる方向に進んでいる。

「研究の成果は、都度ご協力いただいている皆さんに公開して参ります。

当早川地震電磁気研究所の設立目的にご賛同いただいたうえで、引き続きご支援宜しくお願いします。」

当レポートの紹介にあたり、本来は‟です・ます”調だが、当 Blog に合わせるために断定式に変えたことはお断りしていたが、以上が早川氏のレポートである。

次回へ・・・。