「真実の口」2,267サバイバー ㉕

前回の続き・・・。

2024 年 11 月 14 日

この日は、 13 時 30 分から診察になっていた。

前日までの検査を元に、どのような治療方針でいくかを決める日である。

午前中、いつものように仕事をして、昼過ぎに自宅に戻る。

12 時 30 分位に、家内と伴に自宅を出る。

予定通り、少し前にセンターに着き、受付を済ませ 23 番窓口へ向かう

大阪国際がんセンター 2F 案内図

私:「お願いします。」

受:「はい。」

いつものごとく名前と生年月日の確認は省力する。

診察室前の椅子には、今までに見たことがないくらい人が座っていた。

これまでの検査では、受診時間より早く始まり、結構スムーズに済んでいたのだが、今日は時間がかかりそうである。

家内とのんびりと順番を待つ。

電光掲示板の順番が一つずつ前にずれていき、ようやく私の順番がやってきた。

コンコン、コンコンとノックして診察室に入る。

私:「おはようございます。」

医:「おはようございます。」

医師の前の椅子に座る。

医:「お加減はどうですか?」

私:「特に、変わりはありません・・・。」

医:「それでは、色々受けて頂いた検査の結果をお伝えしていきますね。」

私:「はい。」

医:「まず、悪性腫瘍、がんであることは間違いないと思われます。」

私:「はい。」

医:「舌部に出来た腫瘍を取り除く手術をしたいと思います。」

私:「はい。」

医:「現時点では、転移は見られていません。」

私:「はい。」

医:「ただし、あくまで検査によるものなので絶対とは言えません。」

私:「はい。」

医:「通常、舌がんの場合、舌部にある腫瘍を取り除き、転移のことを考えて、周囲のリンパ節や転移している可能性のある疑わしい組織を徹底的に取り除くことも考えます。」

私:「はい。」

医:「ただ、当院では、転移の可能性が低い場合は、後遺症のことを考えて、腫瘍部だけを取り除くことを薦めています。」

私:「はい。」

医:「佐々田さんの場合も、現時点、転移の可能性が低いので、腫瘍部だけの除去手術を考えているのですが・・・。」

私:「(食い気味に)じゃあ、それで!」

医師、スタッフ伴に笑いが漏れる。

医:「(笑)じゃあ、その方向で進めていきたいと思います。」

私:「はい。よろしくお願いします。」

医:「腫瘍の切除は、腫瘍よりやや大きめに取り除きます。」

私:「はい。」

医:「切除した部分に関しては、自然治癒を待つ場合と、縫合する場合、特殊なシートを添付する場合があります。」

私:「はい。」

医:「実際、手術してみないと分からないですが、佐々田さんの場合は、縫合を考えています。」

私:「はい。その場合、呂律とかはどうなんでしょうか?」

医:「う~ん。切除部の大きさによって違いますが、最初は話づらいと感じると思いますが、ただ、徐々に慣れてくると思います。」

私:「どの位なもんで普通に話せるようになりますかね?」

医:「う~ん。これも切除部の大きさによるんですが、数週間から 1 ケ月くらいで話せるようになるとは思います。」

私:「あ~。そんなもんなんですね?」

医:「まあ、実際、手術をしてみないと分からないというところが大きいですね。」

私:「分かりました。」

医:「後は、手術後の経過観察で診ていきます。」

私:「はい。」

医:「一応、術後一週間位で退院できると考えています。」

私:「はい。」

医:「食事に関しては、術後すぐは、食べられないのでお粥や細かく刻んだものから慣らしていきます。」

私:「はい。」

医:「食事の摂れ方次第で、退院が伸びることもあります。」

私:「はい。ところで、抗がん剤とかはどうなんでしょうか?」

医:「今のところは考えていません。」

私:「はい。」

医:「それも、経過観察の中で必要にと考えた場合は使っていくかもしれません。」

私:「経過観察はどのくらいのペースですか?」

医:「当面は 1 ケ月に一度のペースです。」

私:「どのくらいの期間でしょうか?」

医:「一般的には 5 年ですね。」

私:「はい。」

医:「何か、他にご質問等はありますか?」

私:「因みになんですが、アルコールは何時頃から大丈夫です?」

医師、スタッフ伴に笑いが漏れる。

医:「術後は、アルコールはもちろんのことですが刺激物も控えてください。」

私:「ああ・・・。」

医:「術後、最初の検診の時に考えましょうか(笑)。」

私:「はあ・・・。因みに、新年くらいには飲めますかね?」

医師、スタッフ伴に笑いが漏れる。

医:「まあ、その位には大丈夫でしょう(笑)。」

私:「助かりました。酒なしの正月はちょっと・・・(笑)。」

医:「奥様は何かご質問等はありますか?」

家:「あれ聞いとかなくて良いの?」

私:「ん?」

家:「脇の下とか・・・。」

私:「ああ・・・。」

医:「どうかされました?」

家:「主人が脇の下に違和感があるとか言っていたもんですから・・・。」

私:「ああ・・・。前回、舌がんの診断を受けて以降、脇の下になんか痛みがあるようなないような・・・。」

医:「う~ん。検査の結果では、何も映っていないので・・・。」

私:「兄のがんの時に、肩が痛いとか言っていたもんですから。人間気になりだすと、勝手に痛みとか作り出すじゃないですか?そんなもんだと思います。」

医:「ああ・・・。」

私:「気にしすぎだと思いますんで、大丈夫です。」

医:「ああ・・・。他に何かありますか?」

私:「いいえ。」

医:「では、日程が決まりましたら、当センターから連絡が入ります。」

私:「はい。」

医:「それでは、隣の診察室で看護師から説明がありますんで、一旦、前の椅子にお掛けになってお待ち頂けますか?」

私:「はい。よろしくお願いします。」

医:「はい。頑張りましょう。」

私:「ありがとうございます。」

診察室を出る。

次回へ・・・。