前回の続き・・・。
前回、 10 月 26 日に行われた第 99 代内閣総理大臣に就任した菅総理の所信表明演説の中で大きく取り上げられた“脱炭素社会の実現”をテーマとして寄稿したわけだが・・・。
4 月 16 日に開かれた日米首脳会談では、菅総理大臣とバイデン大統領の両首脳により、気候変動問題で協力を強化するための「日米気候パートナーシップ」を取りまとめられた。
日米首脳会談後の記者会見後
菅首相
「日米が世界の脱炭素をリードしていくことを確認した。温暖化対策の国際的枠組み“パリ協定”の履行に向けて協力することで一致したと。(脱炭素における日米連携について)極めて意義があり、大事だ。」と強調した。
バイデン大統領:
「気候変動の脅威に立ち向かうため積極的な行動をとることを約束した。クリーンエネルギー技術を後押ししたり、インド太平洋で途上国の再生エネルギー開発や脱炭素を支援したりするため、共同で取り組む。」と語った。
2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」などを達成するため、両国が協力を強化し、 2030 年までに確固たる行動をとるとしたようだが・・・。
温室効果ガス排出量ゼロ・・・?
あなたは実現可能だと思えるだろうか・・・??
私は不可能だと思っている。
温室効果ガスの元凶と言われる石油だが、我々の生活がどれだけ石油に依存しているかを考えてみよう。
火力発電から再生可能エネルギーへと転換を図れば良いという問題ではない。
全世界で発電用に使われている石油は全体の 6% にしか過ぎないそうだ。
日本で見てみると・・・。
石油依存度が高い日本でさえ、 11.9% 程度である。
では、石油は何に使われているのか?
石油の使い方の主なものは、次の 3 通りである。
①自動車などを動かす動力源
②ものをつくるための原料
③燃料や電気を起こすためのエネルギー
中でも、石油から作られたものを“石油化学製品”というのだが・・・。
・プラスチック
・合成繊維
・合成ゴム
・塗料
・合成洗剤
・界面活性剤
・薬品・肥料
これだけ、生活のありとあらゆるところに使われているわけだが・・・。
さあ、これらを全て代替品で賄えるのだろうか?
今、私たちにとって、なくてはならない存在になってしまったモノといえば・・・?
“マスク”
マスクは不織布からできているのだが、字面だけ取ると、「織らない布」と書くから、石油とは無縁のようだが、プラスチックを細い糸のようにし、それを重ねてくっつけているだけである。
マスクが不要な生活に戻りたいものだが、なかなか、そうはさせてくれない。
日本の温室効果ガスの現状を見てみよう。
2018 年度の排出量は、 12 億 4,000 万トン。
これは、欧州連合( EU )やイギリスが基準年としている 1990 年度以降では最も少ないそうだ。
また、 2013 年度以降 5 年連続で減少しているようだ・・・。
なかなか順調・・・?
1990 年度比 2.8% 減少
2005 年度比(※注) 10.2% 減少
2013 年度比(※注) 12.0% 減少
(※注) 日本はカンクン合意に基づき、温室効果ガス排出量を 2020 年度に 2005 年度比3.8% 削減、パリ協定に基づき 2030 年度に 2013 年度比 26% ( 2005 年度比 25.4% )削減の目標を掲げているので、これらの削減目標の基準としている 2005 年度及び 2013 年度を比較対象としてみた。
実現可能かどうかは次回へ・・・。