前回の続き・・・。
日本人類遺伝学会において、国立遺伝学研究所と新潟大のチームによる興味深い調査結果が報告された。
新型コロナウィルスの流行「第 5 波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるいうのだ。
調査チームによると、 8 月下旬のピーク前にはほとんどのウィルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていたらしい・・・!?
このウィルスでは、ゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか?」と指摘している。
死滅・・・!!
その酵素名は“ nsp14 ”・・・!!!
“ snp14 ”を解説する前に、武漢を発生源とする新型コロナウィルス(以下、 COVID-19 )についての解説が必要だろう。
COVI-19 は、遺伝情報を DNA ではなく、一本鎖の RNA をつかう RNA ウィルスである。
そのゲノム(全遺伝情報)は、約 3 万塩基からなっていて、ウィルスを複製するために必要なさまざまな遺伝子コードが配列されている。
図解するとこうなるらしい・・・。
COVI-19の遺伝子の中で最大のものは、上図でわかるように、 ORF1a ( 4,400aa )と ORF1b ( 2,695aa )が融合した ORF1ab というものらしい。
上図にある ORF1ab のすぐ下流にある S 遺伝子は、コロナウィルスに特徴的な突起(スパイク)を配列しているものらしい。
COVID-19 ウィルスのもつ“スパイク”が感染するときに重要な役割を果たすことは、報道でもなされているのでご存じだと思う。
ここでいったん、ウィルスの変異の過程を見てみる・・・。
1. まず、ウィルス表面にある、とげ状の「スパイクたんぱく質」が、ヒトの細胞表面で受け手となる受容体たんぱく質(アンジオテンシン変換酵素2 = ACE2 )に結合して細胞内へ侵入する。
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2. 細胞内では、 RNA の情報に従って、ウィルスの素材となるたんぱく質が翻訳(合成)される。一方、 RNA は大量に複製され、たんぱく質とともに組み立て・成熟が進んで「子孫ウィルス」ができ、それらが細胞外へ放出されていく。
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3. この過程で、 RNA 複製の際に一定の確率でミスが生じ、 RNA を構成する塩基の配列が変わることがある。
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4. この現象が「変異」と呼ばれる。
上に戻るが、 ORF1ab は、タンパク質分解酵素によって切断されることにより、下図のように 16 種類の機能を持つタンパク質となるそうだ。
その中に、 RNA 複製に関与する RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ( nsp12 )や、 RNA 複製時のエラーを構成する酵素( nsp14 )があるという。
ここで “ nsp14 ”が登場するわけだが・・・。
“ nsp14 ” = RNA 複製時のエラーを構成する酵素
ウィルスは、増殖する際にゲノムを複製するが、時々ミスが起きて変異が生じ、変異が積み重なるとやがて増殖できなくなるが、“ nsp14 ”が修復すれば、それを防げるらしい。
上記チームの調査では、国立感染症研究所が公開する国内で検出した新型コロナのゲノムデータを分析した結果、 第 5 波では、“ nsp14 ”に関わる遺伝子が変化したウィルスの割合が感染拡大とともに増え、ピークの前から収束までの間は、感染者のほぼ全てを占めていたというのだ。
昨秋から今年 3 月ごろまでの「第 3 波」でも同様の傾向が確認できたらしい。
“ nsp14 ”の遺伝子が変化したウィルスでは、ゲノムの変異が通常の 10 ~ 20 倍あったというが・・・。
チームは、人間の体内でウィルスに変異を起こして壊す“ APOBEC ”という酵素が“ nsp14 ”を変化させたと推測している。
“ APOBEC ”は, DNA や RNA 上のシトシンをウラシルに変換する酵素群らしく、 B 型肝炎ウィルスにたいする抗ウィルス活性を示すことが報告されている。
東アジアやオセアニアでは、この酵素の働きが特に活発な人が多いという。
この調査報告から、決して、日本人はコロナに強いということを言いたいわけでは無い!
日本の急激な感染減の背景に“ APOBEC ”という酵素と“ nsp14 ”という酵素が作用したのかどうかは、これから、論文提出後の査読によって検証される。
いやいや、ここにも“特殊酵素”と名付けられた“真”・抗酸化溶液がある・・・(笑)
ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
余談だが・・・。
私らの世代では、 NSP と言えば、岩手県出身の三人組のフォーク・グループがすぐに思い出される。
今ではライブといい表現なのだろうが、当時で言うコンサートの MC では、 NSP は何の略称かという話題がよくされていた。
ニュー・サディスティック・ピンク
納豆・空豆・ピーナッツ
なんと、すかして、ぷ~
ネコ・サル・ペンギン
Non Stop Progression
Natural Spirit Paradise
Nasa Shopping Plaza
さようなら🎵
夕暮れとぎは寂しそう🎶
線香花火♬♫
青い涙の味がする♪♪
etc・・・
皆、心に残る名曲である!
まさに叙情派フォークの代表的存在だった。
1972年にグループが結成され、 1973 年に「さようなら」でデビュー。
1987 年にメンバーの平賀和人さんが脱退したのを機に活動休止したが、2002年にオリジナルメンバーで再結成した。
1 月 26 日、日本青年館大ホールで復活後行った初コンサートは、チケットが 1 時間で完売するほど、ファンは復活を喜んだものだった・・・。
2005 年 2 月には、 19 年ぶりの新曲シングル「水のせいだったんです」、アルバム『Radio Days』を発売したが、同年 7 月 1 日午後 7 時 8 分、リーダーでもありボーカルの天野滋さんが療養中の病院にて脳内出血で他界してしまう。
享年 52 歳
天野さんは大腸癌で闘病中でありながらも、精力的に全国ツアーや諸活動を続けていたのだが・・・。
当時は、早過ぎる死を惜しんだものだった。
次回へ・・・。