「真実の口」1,774 新型コロナウィルス・・・271

前回の続き・・・。

出張の為、この Blog は 11/30 に寄稿しているので、情報として古くなっているかもしれないがご理解いただきたい。

少しずつだが、“オミクロン株( o )”について、分かってきたことを報告する。

新しいニュースとして・・・。

オランダでは、 26 日に、南アフリカから旅客機で到着した乗客のうち 61 人の陽性が確認され、保健当局は、これまでに 13 人が新たな変異ウィルス“オミクロン株”に感染していたことを発表。

イタリアでは、27 日に、初めてオミクロン株の陽性判定を受けた男性の妻と 2 人の子供も共に変異ウィルス陽性判定を受けたことを保健当局が発表。

イギリスでは、 27 日に 2 人、 28 日に 3 人目の感染者が確認され、 29 日には、北部スコットランドで 6 人が確認され、一部の人は外国渡航歴がなく、地元で市中感染した様子ということを英健康安全庁が発表。

デンマークでは、 28 日(日)に、南アフリカから入国した 2 人が、“オミクロン株”に感染していたことを保健当局が発表。

フランスでは、“オミクロン株”に感染していた疑いのある症例が 8 件見つかったと保健省が発表。

オーストラリアでも、 28 日(日)に、アフリカ南部から入国した 2 人の感染が確認されたと発表。

ポルトガルでも、 29 日、サッカー 1 部リーグの「ベレネンセス」で 13 人の感染を確認したと保健当局が発表。

30 日までに、世界の 16 の国と地域で確認されているようだ。

▽アフリカでは、南アフリカ、ボツワナ。

▽ヨーロッパでは、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、デンマーク、チェコ、オーストリア、スウェーデン、スペイン。

▽中東では、イスラエル。

▽アジアでは、香港。

▽オセアニアでは、オーストラリア。

▽北米ではカナダ。

それぞれ感染が確認されている。

この感染状況を受けて・・・。

欧州連合( EU )加盟国は、アフリカの一部からの入国制限を相次いで発表している。

イギリスでは、南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスワティニからの渡航者は、イギリスかアイルランドの国民、あるいはイギリスの居住者でなければ入国を禁止とした。

アメリカでは、「多くの情報が得られるまでの予防措置」として、 29 日(月)から南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンビーク、マラウイからの渡航を禁止することになっている。

オーストラリアでは、南アフリカを含むアフリカの 9 ヶ国からの外国人の入国を禁止すると発表。

フィリピンでは、南アフリカなどのアフリカの国に加え、オランダなどのヨーロッパの国々、合わせて 14 ヶ国から原則として入国を認めない方針を発表。

イスラエルでは、すべての外国人の入国を 14 日間、禁止することを決定。

モロッコでは、海外からのすべての直行便の乗り入れを 29 日深夜から 2 週間、停止することを発表。

相次ぐ、各国の渡航制限に対して、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は 28 日、各国の不当な措置に「大きく失望した」と述べ、制限の早急な解除を求め、各国に対して批判を強める国民向けの演説を行った。

「南アフリカや周辺国に対する不当な差別だ。深く失望している。」と日本や米国を名指しで批判し、直ちに撤回するよう求めた。

現在までに、オミクロン株でわかってきたことは・・・。

南アフリカ医師会・コエツィ医師によると、「症状としては、 1 日~ 2 日続く強い倦怠感の後に頭痛や体の痛みがある。咳もあるが、ずっと続くものではなくやがてなくなる。」と語っている。

南アフリカの医師会のアンジェリーク・クッツェー会長は、「“オミクロン株”の感染者約 20 人を診療した結果、今のところ重症患者はおらず、自宅での治療も可能だ。また、患者に味覚や嗅覚障害は見られず、酸素濃度の低下なども確認されていない。」と話している。

感染者のうち約半分がワクチンの未接種者だったらしく、大半が「疲労感」を訴える健康な男性だったという。

また、伝播性が高い“オミクロン株”の拡散による大流行については「今の段階ではすべて予測にすぎない。今までの事例はすべて軽い水準。深刻に心配する段階ではない。懸念される状況を観察してはいるが、現在は『誇張が横行している』と言いたい。」と付け加えた。

感染力は強いが、重症化する懸念は余りないような見解だが、前回の投稿でもお伝えした香港の事例がもう少し分かったので報告する。

28 日(日)の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストなどによると・・・

最初に発見された 36 歳の男性は、南アフリカからの入国者で、 11 日の香港到着時の検査では陰性となったが、 2 日後の追加検査で陽性判定を受けた。

2 番目の感染者は、 62 歳の中国人で、 10 日にカナダから香港に到着して隔離され、 18 日の検査で陽性判定を受けた。

2 人は、入国者隔離専用ホテルで隔離され、ホテルの廊下を挟んで向かい側の部屋で過ごしていたが直接的な接触はなかったという。

香港当局は最近アフリカで“オミクロン株”が見つかったことから 2 人の患者の遺伝子検査を香港大学に依頼し、その結果 2 人とも“オミクロン株”に感染していたことがわかった。

香港当局は 2 番目の患者が最初の患者から 2 次感染したものと推定している。

保健当局の調査によると、最初の患者は食べ物を受け取るなどの目的で、部屋のドアをしばらく開けて外に出た時にバルブ型マスクを使っていたという。

廊下に浮遊していた“オミクロン株”が時間差でドアを開けて出てきた 2 番目の患者に感染した可能性があるとしている。

また、 2 人の患者はいずれも新型コロナウィルスワクチンの接種を終えており、今回の感染事例はどちらもブレイクスルー感染”であることがわかった。

これに対し、専門家らは今回の感染事例が“オミクロン株”が強力な感染力を持っているという傍証だと懸念している。

各国の保健専門家らは、実際に“オミクロン株”の遺伝子的特性を分析した結果に基づいて強い感染性を警告し始めている。

Bloomberg 参照。

【まとめ】

1⃣ これまでの変異株との違いは?

欧州疾病予防管理センター( ECDC )によると、オミクロン株の特徴はスパイクタンパク質に 30 ヶ所の変異と 3 ヶ所の小欠損、 1 ヶ所の挿入部位があること。

変異の半数は受容体結合部位( RPD )(※注 1 )に存在する。

(※注 1 ) 受容体結合部位( RPD )は、ヒトのアンジオテンシン変換酵素 2 ( ACE2 )(※注 2 )との結合に使われるスパイクタンパク質の部位。

(※注 2 )アンジオテンシン変換酵素 2 ( ACE2 )は、コロナウィルスがヒトの細胞に入る際に標的にする酵素。

ここに変異が生じると、ワクチン接種や自然感染で生まれた抗体がスパイクタンパク質を認識しにくくなる。

モナシュ大学マレーシア校のウィルス学者、ビノド・バーラスブラマニアム氏がオーストラリア科学メディアセンターに語ったところによれば、変異のうち少なくとも 3 つは、ウィルスが抗体をすり抜けたことに関連付けられている。

また、別のもう一つの変異は、ウィルスがヒトの細胞に入り込む能力を高めたと見受けられ、その結果、感染力が強まったという。

ECDC は 26 日の資料で、“オミクロン株”はその特徴から感染力がより強く、ワクチン効果を低下させ、再感染リスクを高める恐れがあると指摘した。

ただ、研究者らはまだ確かなことは分かっていない。

2⃣ 発生源はどこか?

南アフリカから世界保健機関( WHO )に最初に報告されたのは今月 24 日だったが、 WHO によると、確認された感染症例で最初に明らかになったのは、 9 日に収集した検査サンプルからだった。

ECDC によれば、ボツワナでも 11 日に検出された。

英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ( UCL )遺伝学研究所の科学者によれば、免疫不全の人の慢性感染の過程で進化したとみられ、治療を受けていない HIV 感染者(※注 3 )だった可能性がある。

(※注 3 ) 南アフリカの HIV 感染者は 820 万人と世界最多。

南アフリカで昨年特定されたベータ変異株も HIV 感染者から広がった可能性が指摘されている。

3⃣ どれだけ広がっているのか?

南アフリカの大学 2 校で遺伝情報の配列解析機関を運営し、生物情報学を研究するトゥーリオ・デ・オリベイラ氏によれば、ヨハネスブルクが含まれる州で 24 日に報告された初期段階の PCR 検査結果では、新規感染 1,100 件のうち 90% がこの新変異株だった。

ラマポーザ大統領は 28 日、感染者数の 1 日平均が約 1,600 人と、前の週の約 500 人、前々週の 275 人から急増したと指摘。

検査での陽性率は 9% と 1 週間足らず前の 2% 前後から急上昇した。

南アフリカで完全なワクチン接種を終えた成人は 36% にとどまっている。

隣国ボツワナでは 22 日にワクチン接種済みの 4 人が感染したとの報告があった。

その他、新規情報は上記参照。

4⃣ どれだけ懸念されるのか?

WHO は 28 日、判断するのは時期尚早だが、「“オミクロン株”の感染による症状が他の変異株と異なることを示唆する情報は現時点でない」と説明。

「従来の感染急増よりも速いペースで確認されており、増殖に強みを持っている可能性はある」とした。

南アフリカの入院率の上昇は、オミクロン株感染の結果ではなく、コロナに感染する人の数が全体的に増えていることが理由の可能性があると指摘した。

ECDC は、感染力の強いデルタ変異株が再び勢いづいている欧州では、“オミクロン株”の出現と拡散が「極めて高い」リスクとなり得ると分析した。

米モデルナのポール・バートン最高医療責任者( CMO )は、 28 日、“オミクロン株”が既存のワクチンをかいくぐる可能性があると指摘した上で、その場合は改良したワクチンを来年の早い時期に提供できるとの見通しを示した。

コロナワクチンは、これまでの変異株に対し、重症化と死亡のリスクを減らす効果を示してきた。

メルクやファイザーが開発した経口薬などその他の治療方法が“オミクロン株”に効果があるかどうかは今後評価することになる。

5⃣ WHO の提言は?

他人との距離を 1m 以上保つこと、しっかり装着できるマスクの使用、換気のための窓の開放、換気の悪い空間や人々が密集している場所を避けること、頻繁な手洗い、咳やくしゃみの際はティッシュなどを使うこと、ワクチン接種などを推奨。

6⃣ 次の注目点は?

WHO は“オミクロン株”の理解を深めるため世界中の研究チームと協力している。

感染力の強さや症状を含む深刻さの度合い、ワクチンの効果、診断テストなどについて研究が既に始まったか近く開始される。

深刻さのレベルが判明するまでは「数日間から数週間」かかるとしている。バイデン米大統領の首席医療顧問で米国立アレルギー感染症研究所( NIAID )のファウチ所長は、“オミクロン株”についてさらなる研究が必要だとの認識を示した。

ドイツのビオンテックは、同社とファイザーによるワクチンがどう作用するかについて、 2 週間以内に最初の試験データを得られる見通しだとしている。

以上。

前回もお伝えしたが、南アフリカでは、 11 月上旬までは、新規感染者が 100 人前後で推移しているのが約 1 ヶ月で 30 倍近くに増えている。

これは、他の変異株が流行している場合は、他の株と生存競争を行うため新たな変異株は広がりにくいのだが、ウィルス感染が抑えられている場合は、生存競争をしなくていいので、新たな変異株が拡がりやすいと言う状況にあったからと考えられる。

これは、現在の日本の状況と同じではないだろうか?

さあ、我が国は、“オミクロン株”とどのように対峙するのだろうか?

次回へ・・・。