前回の続き・・・。
3 月 31 日、大阪府は、新型コロナウィルスの感染再拡大を受けて「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請した。
これを受けて、菅総理大臣は、 同夜、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らと対応を協議したあと記者団に対し、「自治体としっかり連携しながら対策に取り組んでいきたい。」と述べた。
政府は、 1 日、対策本部を開いて“まんぼう”を大阪府に適用することを決定する方針で、期間は週明けの 5 日から 1 ヶ月程度とする方向で調整しているようだ。
もちろん、全国初の適用である。
また、政権幹部によれば、 “まんぼう”の対象として、大阪府の大阪市、宮城県の仙台市、兵庫県の神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市の計 6 自治体が検討されているという。
因みに、当寄稿は 4 月 1 日に書き上げているので、明日( 4 月 2 日)には動向は決まっていると思う。
大阪府は、国が“まんぼう”適用を決定すれば、改めて対策本部会議を開いて感染が急拡大している大阪市を対象地域としたうえで、市内の飲食店などに対し現在夜 9 時までとしている営業時間の短縮要請を 1 時間早め夜 8 時までとするよう改めて要請する方針だそうだ。
更に、吉村知事は、会食の際のマスク着用を義務化したい考えを示し、「事業者に対しても府民に対してもお願いすることになると思う。事業者には命令ができるので、入場禁止にしたり退室をさせたりする義務が生じると思っている。」とも語った。
改めて、緊急事態宣言と“まんぼう”の違いについて解説してみる。
【対象地域】
▶緊急事態宣言は、都道府県単位。
▷“まんぼう”は、政府が対象都道府県を決定し、当該知事が、市区町村など特定の地域を限定。
【適用の目安】
▶緊急事態宣言は、感染状況が最も深刻な「ステージ 4 」に相当するかどうかが目安。
▷“まんぼう”は、「ステージ 3 」を想定。ただし、感染が局地的に、急速に広がっている場合は「ステージ 2 」での適用。もありえるとしています。
【要請や命令の範囲】
▶緊急事態宣言は、「時短」「休業」ともに要請と命令が可能。
▷“まんぼう”は、「時短」のみ要請と命令が可能。
【罰則】
正当な理由がなく「命令」に応じない事業者や、立ち入り検査を拒否した事業者への罰則として・・・。
▶緊急事態宣言は、 30 万円以下の過料。
▷“まんぼう”は、 20 万円以下の過料。
【措置講じる要件】
“まんぼう”を講じる要件については、新規陽性者数などの状況を踏まえ、
▽都道府県で感染の拡大のおそれがあり、
▽医療の提供に支障が生じるおそれがあると認められることと、
定められている。
【都道府県が飲食店などの店舗や施設に対して行うことができる措置】
▽従業員への検査受診の勧奨
▽入場者の整理
▽発熱などの症状がある人の入場の禁止
▽入場者へ感染防止のための措置の周知と、それを行わない人の入場禁止
・・・と、このような違いがあるわけだが、緊急事態宣言解除から気の緩んだ人心は、再び、引き締めることができるのだろうか?
フードジャーナリスト・山路力也氏の取材記事を紹介する。
『飲食店が悪いのか? 感染拡大を防ぐ「正しい飲食店の使い方」とは』
簡単に紹介する。
(前略)
今月 14 日に放送されたテレビ番組で、政府の新型コロナウィルス感染症対策分科会会長の尾身茂さんは、新型コロナ感染拡大を防ぐため「これだけは守ってほしい」という点について、「三密、特にリスクの高い 5 つの場面(を避ける)。これで終わりです」と説明した。
5 つの場面とは「飲酒を伴う懇親会、大人数や長時間に及ぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、居場所の切り替わり」のこと。
つまり、一年前に提言されたことと根本は何一つ変わっていないということだ。
しかし、私たちは良くも悪くも「コロナ慣れ」してはいないだろうか?
一年前と比べて日常生活の過ごし方が変化してはいないだろうか?
上述したような新しい生活様式に慣れて習慣化しているのであれば問題ないが、危機感に乏しくなってコロナ以前の生活様式に戻っているところはないだろう?
仕事柄、日々飲食店に足を運ぶ生活を今も続けているが、平気で向かい合わせで大声を出しながら喋っていたり、お酒の回し飲みや料理の回し食いをし、まるでコロナが収束したかのような振る舞いをしている人も少なくない。
昨年春と今を比べると明らかに今の方が緊張感に欠けた客が多いと感じている。
その一方で、飲食店のコロナ対策は日々アップデートされている。
テーブルや椅子を減らす、従業員も客もマスク着用を必須にする、ビニールシートやアクリル板で人と人の間に仕切りを作る、入退店時にアルコール消毒を義務付ける、ドアや窓などを開放して換気を良くしたりテラス席を設置するなどの対応は、飲食店にとっては完全に「当たり前」となった。
さらに身体的接触を防ぐ意味合いでのキャッシュレスの導入なども加速度的に増えている。
もちろん飲食店に対しては上記のような対策をする場合に補助金が出ているという理由もあるが、飲食店側はコロナ感染拡大防止に全力を尽くしているといって良いだろう。
飲食店側のコロナ対策はこの一年で劇的に変わった。
私たち客側がどう店の中で振る舞うかが問われている。
飲食店と同じく感染拡大防止への高い意識を持って「うつらない、うつさない」という行動が必要だ。
店と客で感染拡大を防ぐ協力体制を構築しなければならない。
そのためにも今一度「安全な飲食店の使い方」を確認しておきたい。
(中略)
一般的に気をつけるべきウィルスの感染経路は主に 4 つ。
「接触感染(粘膜感染)」
「飛沫感染」
「空気感染(飛沫核感染)」
「媒介物感染」
もちろん店舗や業態によって差はあるが、一般的に飲食店は吸排気や換気に関してかなり神経を払った設計になっていることが多く、密閉空間にはなっていない店も少なくない。
ラーメン店や蕎麦屋など、人数が少なく短時間で喫食が済む店の場合は飛沫感染や空気感染のリスクは低いと考えて良いだろう。
また、現実問題として媒介物感染のリスクも新型コロナウィルスに関しては決して高くはない。
一番注意すべきは「接触感染」のリスクだ。
「接触感染」の防止策としては接触を避けることが大前提で、接触したらすぐに手洗いや消毒をすることが基本だ。
今回の新型コロナウィルスの感染ルートは眼や鼻、口などの粘膜からであり、健常な皮膚からの感染はないと考えられている。
つまり手にウィルスがついたとしても、その手を眼鼻口に触れさせなければ良いということだ。
手指や物に付着したウィルスは 4 時間から 72 時間程度のあいだ感染力があると考えられている。
不用意に手を首から上に触れさせないのは基本中の基本だ。
その上で、入店時に消毒用のアルコールを設置したり消毒を義務付けていたり、こまめに卓上や券売機などのアルコール除菌を行っている飲食店はリスクが低いと考えて良いだろう。さらにスタッフや客の入店時における検温も実施している店であればより安心だ。
【まとめ】
・体調不良、高熱の場合は外出しない。
・マスクを着用して入退店時には手指のアルコール消毒をする。
・喫食中も何かを触ったらこまめに手洗い、消毒をする。
・可能ならば安全なソーシャルディスタンス( 2m 以上)が確保出来ている店を選ぶ。
・大勢で行かずに少人数で利用する。
・行列時や会計時の密集に留意する。
・向かい合わせの席は極力避ける。
・おしゃべりは控えめにして、喫食時以外はマスクを着用する。
・料理やお酒の回し食い、回し呑み、大皿料理の取り分けはしない。
最後に、大路氏はこう締めくくっている。
「悪いのは飲食店ではない。
飲食店からすれば自分たちが防止策を徹底したとしても、感染拡大防止意識の低い客が入店することで水泡に帰すことを恐れている。
飲食店側の対策と客側の利用法はセットでなければ感染拡大を防ぐことは出来ない。
感染を拡げずに街に出て経済を回す。
国民一人一人が感染拡大防止と経済活性化の両方を意識して、日々の生活をすることが求められている。」
如何だろうか?
気のゆるみ・・・?
飲食店任せ・・・?
そもそも外食しないし・・・(笑)。
・・・という方もいるだろうが。
それでは、飲食店は立ちいかなくなってしまう。
感染拡大阻止に自分ができることは無いか、再度、確認しては如何だろうか?
次回へ・・・。