前回の続き・・・。
12 月 24 日(金)に、第 74 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 25 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催された(以下、合同部会)。
今回は、“アナフィラキシー事例”を寄稿する。
≪アナフィラキシー報告事例≫
【ファイザー社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 11 月 14 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 70 件あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 3 年 12 月 5 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 3,082 件、総副反応事例は計 16,582 件となった。
2.専門家の評価
○ 令和 3 年 12 月 5 日までに報告された総副反応事例 16,582 事例のうち、上記 70 件を含むアナフィラキシーの疑いのある 3,082 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○ 評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||
---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | ||
1 | 115(+6) | 90(+5) | 24(+1) |
2 | 453(+6) | 332(-1) | 121(+7) |
3 | 25(±0) | 21(-1) | 4(+1) |
4 | 2,385(+56) | 1,752(+24) | 633(+32) |
5 | 104(+2) | 69(-1) | 35(+3) |
合計 | 3,082(+70) | 2,264(+26) | 818(+44) |
○アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、3,082 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 593 ( +12 ) 例となっている。
●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・593 件/ 165,682,882 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 3.6 件
○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 3 | 1 | 2 | 0 |
15~19 | 13 | 6 | 7 | 0 |
20~24 | 45 | 10 | 34 | 1 |
25~29 | 50 | 6 | 44 | 0 |
30~34 | 53 | 11 | 42 | 0 |
35~39 | 82 | 8 | 74 | 0 |
40~44 | 81 | 8 | 73 | 0 |
45~49 | 89 | 7 | 82 | 0 |
50~54 | 53 | 2 | 51 | 0 |
55~59 | 41 | 5 | 36 | 0 |
60~64 | 18 | 0 | 18 | 0 |
65~69 | 25 | 6 | 19 | 0 |
70~74 | 12 | 4 | 8 | 0 |
75~79 | 5 | 0 | 5 | 0 |
80歳以上 | 20 | 2 | 18 | 0 |
不明 | 3 | 1 | 2 | 0 |
合計 | 593(+12) | 77(+3) | 515(+9) | 1(±0) |
(参考) 65歳以上 |
62(+1) | 12(±0) | 50(+1) | 0(±0) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 593 ( +12 )例
65 歳以上・・・ 62 ( ±0 )例
〔考察〕 前回から、 5 歳刻みになり、より細かく分析が出来るようになった。結果としては、ファイザー社の報告通り、副反応は若年世代に多いことが伺え、40 ~ 49 歳の年齢層を中心値にして、 25 ~ 54 歳までが 50 件を超える報告になっている。
【性別】
男性・・・ 77 ( +3 )例
女性・・・ 515 ( +9 )例
〔考察〕 ファイザー社の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
次に、アレルギーの有無を見てみよう。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||
---|---|---|---|
アレルギー 既往歴あり |
アレルギー 既往歴なし |
||
1 | 115(+6) | 23(+1) | 92(+5) |
2 | 453(+6) | 95(±0) | 358(+6) |
3 | 25(±0) | 5(±0) | 20(±0) |
合計 | 593(+12) | 123(+1) | 470(+11) |
〔考察〕 アレルギーの有無は関係ないようである。
【モデルナ社製】
1.報告状況
○ 前回の合同部会( 11月 14 日)以降、スパイクバックス筋注(※注)の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 11 件あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 3 年 11 月 14 日までに報告された副反応事例は、計 515 件、総副反応事例は計 2,220 件となった。
(※注) 旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注
2.専門家の評価
○ 令和 3 年 12 月 5 日までに報告された 515 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン分類レベル | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | ||
1 | 8(±0) | 7(±0) | 1(±0) |
2 | 43(±1) | 31(+1) | 12(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 439(+11) | 327(+4) | 112(+7) |
5 | 25(-1) | 25(-1) | 0(±0) |
合計 | 515(+11) | 390(+4) | 125(+7) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 515 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 51 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 51 件/ 32,021,483 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1.6 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 1 | 0 | 1 | 0 |
15~19 | 3 | 0 | 3 | 0 |
20~24 | 13 | 6 | 6 | 1 |
25~29 | 9 | 2 | 7 | 0 |
30~34 | 9 | 0 | 9 | 0 |
35~39 | 5 | 3 | 2 | 0 |
40~44 | 3 | 0 | 3 | 0 |
45~49 | 3 | 1 | 2 | 0 |
50~54 | 3 | 0 | 3 | 0 |
55~59 | 1 | 0 | 1 | 0 |
60~64 | 0 | 0 | 0 | 0 |
65~69 | 1 | 0 | 1 | 0 |
70~74 | 0 | 0 | 0 | 0 |
75~79 | 0 | 0 | 0 | 0 |
80歳以上 | 0 | 0 | 0 | 0 |
不明 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 51(+1) | 12(±0) | 38(+1) | 1(±0) |
(参考) 65歳以上 |
1(±0) | 0(±0) | 1(±0) | 0(±0) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 50 ( +1 ) 例
65 歳以上・・・ 1 ( ±0 )例
〔考察〕 今回、ブライトンレベル 3 以上の報告が 1 件だったため、それ以外に偏った変化はなかった。
【性別】
男性・・・ 12 ( ±0 )例
女性・・・ 38 ( +1 )例
〔考察〕 ファイザー社同様、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
次に、アレルギーの有無は、前回と同じなので表だけ提示する。
ブライトン分類レベル | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
アレルギー 既往歴あり |
アレルギー 既往歴なし |
||
1 | 8(±0) | 0(-1) | 8(+1) |
2 | 43(+1) | 3(±0) | 40(+1) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 51(+1) | 3(±0) | 48(+1) |
〔考察〕 ファイザー社同様、アレルギーの有無は関係ないようである。
【アストラゼネカ社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 11 月 14 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに 2 件あり、令和 3 年 8 月 3 日から令和 3 年 12 月 5 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 5 件となった。
2.専門家の評価
○ 令和 3 年 12 月 5 日までに報告された 5 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン分類レベル | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | ||
1 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
2 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 5(+2) | 2(±0) | 3(±0) |
5 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 5(+2) | 2(±0) | 3(±0) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 5 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 0 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 0 件/ 112,300 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数は無し。
アナフィラキシーに関する考え方(副反応疑い報告の状況に関するまとめ)
【最新のアナフィラキシーの報告状況の整理】
今回から記載事項なし
【アナフィラキシーに関する論点のまとめ 】
今回から記載事項なし
〔考察〕 今回から、アナフィラキシーに関する状況整理やまとめ等が削除されている。それに代わって、 3 回目接種での副反応疑いが取り上げられるようになった。政府の姿勢が垣間見られる。
次回へ・・・。