前回の続き・・・。
米紙ニューヨーク・タイムズに、 24 日付朝刊で、 TOP 面全面に、新型コロナウィルス感染により亡くなられた方の氏名や年齢と居住地、人物紹介が掲載された。
「米国内の死者 10 万人に近づく 計り知れない喪失 」との見出しが付けられ、通常は写真などが載る TOP 面すべてが活字だけで埋まる異例の紙面となった。
同紙は全体が活字で覆われた TOP 面の短い前文で、「この 1,000 人は死者数全体のわずか 1% にすぎない。誰一人として単なる数字ではなかった。」と記した。
亡くなられた方の紹介は TOP 面を含めて計 4 ページにわたり、約 1,000 人分が掲載されている。
人物紹介(敬称略)では・・・。
ジョー・ディフィー( 61 ) テネシー州ナッシュビル
「グラミー賞を受賞したカントリーミュージックのスター」
リラ・A・フェンウィック( 87 ) ニューヨーク市
「ハーバード大学ロースクールを卒業した初の黒人女性」
マイルズ・コーカー( 69 ) ニューヨーク市
「刑務所での生活から解放された」
ルース・スカピノク( 85 ) カリフォルニア州ローズビル
「裏庭の鳥たちは彼女の手から餌をついばんだ」
ジョーダン・ドライバー・ヘインズ( 27 ) アイオワ州シーダーラピッズ
「満面の笑みをたたえた寛大な青年」
アンジェリン・ミハロプロス( 92 )
「歌や踊りを恐れなかった」
ライラ・フェンウィック( 87 )
「黒人女性として初めてハーバード・ロースクールを卒業」
ロミ・コーン( 91 )
「ユダヤ人一家 56 世帯をゲシュタポから救出」
エイプリル・ダン( 33 )
「障害者の権利保護を訴えた」
パトリシア・H・サッチャー( 79 )
「教会の聖歌隊で 42 年間歌唱」
フレッド・グレイ( 75 )
「ベーコンとハッシュブラウンが好きだった」
ハーレー・E・アッカー( 79 )
「スクールバスの運転手を始めて天職を見つけた」
フランク・ガブリン( 60 ) 「夫の腕に抱かれて亡くなった救命救急医」
スカイラー・ハーバート( 5 )
「ミシガン州で最年少の新型コロナウイルスパンデミックの犠牲者」
フィリップ・カーン( 100 )
「第二次世界大戦の退役軍人。双子は 100 年前にスペイン風邪の流行で死亡」
ウィリアム・D・グリーク( 55 )
「人の生涯のストーリーを知ることが大切だと考えた」
その他にも、氏名・地名等は分からないが・・・。
「皆に愛された公立学校の教師」
「 3 人の子を持つ誇り高きシングルマザー」
「素晴らしい耳を持った指揮者」
「ベーコンとハッシュドポテトが好きだった」
「厳しい仕事ぶりで知られる裁縫師」
「 30 年以上にわたり数学と英語、歴史を教えた」
「(米プロフットボール NFL )シーホークスのシーズンチケット所持者」
等々、一言で職業や生活を表現した内容で紹介されていた。
ニューヨーク・タイムズによると、死者の情報は全米各地の新聞の死亡記事などから収集し、実名を記すことで「失われた個々の人生を描写する」ことを目指したという。
同紙国内版編集長のマーク・レイシー氏は、「人々が 100 年後に振り返って、私たちが経験していることがもたらした犠牲について理解できるものが欲しかった。」と話している。
当 Blog に寄稿している亡くなられた方の情報は、私が、一人一人の情報を追って、地方紙等から集めた最小限の情ニュースソースに頼るところが大きい。
何度もお伝えしているが、亡くなられた方たち、また、そのご遺族や知人の方々にとって、お一人お一人の人生という濃縮されたドラマがあってのことと思い、生きた証を残したいという思いでお伝えしている。
まさか、誰もが、中国から端を発したウィルスで命を落とすとは思っていなかったはずである。
まだ、やりたかったことや、家族に伝えたかったことが沢山あったはずである。
その方たちの想いを単に「死者 ●●● 人」という表現で済ませてはいけない。
テレビを見ていると、感染が収束に向かっているからか、以下のようなコメントが目に付く。
「昨日は、死亡者が ● 人でした。まだまだ、亡くなられる方は拡大傾向にあります。」
いやいや、一時期に比べたら、亡くなられる方も急速に減って来ているんだよ!
やはり、単なる数字でしか追って来なかったのだろう・・・┐( -_-)┌ ヤレヤレ
5 月 28 日現在、日本での死者は、 人と発表されている。
私が追ってきた数字は、若干、少ないようだ・・・。
取り上げきれていない方には非常に申し訳なく思う。
自治体の発表も多種多様だ・・・。
亡くなられた方の状況を全く公表しない自治体もあれば、名前、年齢、居住地だけを記した単なる情報としてしか伝えない自治体もある。
例えば、東京都・・・。
逆に、亡くなられた方のことを丁重にお伝えしたり、ご遺族のことを考慮しながら公表したり、亡くなられた方に寄り添った発表をしている自治体もある。
例えば、神奈川県川崎市・・・。
我々は、尊い命の犠牲の上に、新たな生活様式と言うものを築いていかなければいけない。
自然災害時には、亡くなられた方がどのような方だったかというその人を深堀したニュースが流れたりするが、今回の新型コロナウィルスによって亡くなられた方は、そのような取り上げられ方は一切されない。
全ては、退院された方が語った「世間の目が怖い」という取材記事が物語っている。
新型コロナウィルスに感染して入院し、その後、退院して自宅で過ごしているという福井県内在住の男性の話である。
男性は重症化せずに済んだが、近所や友人らの「目」に悩まされたという。
男性は発症数日前、後に感染が判明した人と数時間行動を共にし、その後、一緒に、複数の従業員や客が感染した飲食店を訪れたという。
男性は、「だれから感染したのか、今も分からない?」と語る
発症日以降は、体温が 37.7℃ 度ほどで、関節痛に見舞われたらしい。
「普通の風邪より少しつらい程度。処方薬を飲んでも熱が下がらず、主治医から検査を勧められて初めてコロナを疑った。」
近くの総合病院で PCR 検査を受けたが、翌朝には熱は下がったが、「良かった」と思っていたのも束の間、保健所から電話があり「陽性です」と告げられたという。
入院後、抗インフルエンザ薬「アビガン」を服用したころから熱や倦怠感、関節痛は落ち着き、三週間ほどで退院できたらしい。
男性が忘れないのは、県が男性の感染を発表した日以降の周囲の反応だったという。
「みんなが芸能リポーターになった。」というような恐怖を感じたそうだ。
男性が入っていた LINE グループでは・・・。
「この地域で感染者が出たらしい。」
「この数日見かけない○○さんでは?」
「その人なら見かけたよ。」
○○さんという別人物の名前まで浮上したが、やがて投稿はピタリとやんだらしい。
男性は、「自分だと分かったのだろうな。」と直感したという。
影響は家族にも及んだそうだ。
知人からは「(男性の)家族を見かけた人がいるらしい。濃厚接触者の家族が外出できるようになったのですね。」と LINE で連絡が来た。
知人は善意で言葉をかけてくれたのだが、そんな情報すら広がっていることに恐怖を覚えたという。
家族は買い物をするにも、車で 30 分離れたスーパーに夜間、人目を避けて通っている状況だと言う。
保健所から退院時「四週間、行動に気をつけてください」と言われ、男性は自宅にこもり、他人との交流を控えてきたが、その期間も近く終わる。
「近所の人はあいさつしてくれるだろうか。これからも、見えない敵と立ち向かうことになるのでしょうか?」と不安を隠せないようだ。
探偵気取りのコロナ偵察団(?)や自粛警察気取りの脳内珍走団(?)がいるような状況では、ニューヨーク・タイムズのような個人を追悼するような情報は、当然、出るわけがない。
誰もが感染し得る。
誰もが感染源に成り得る。
この新型コロナウィルスは、ある程度収束が見えてきた感がある。
しかし、私のレーダーは、近い将来(年内)にもっと最悪のシナリオが待ち受けているような気がしてならない。
決して、テレビで伝えられているような第二波と称されるものではない。
抗酸化で感染しない生活スタイルを確立し、誰にもうつさない自身を作り上げるしかない。
次回へ・・・。