19回に渡り、私が五感で感じた東北を寄稿してきた。
何故(?)ここまで時間を割くのだろうと思う人もいるかも知れない・・・。
一つの例を挙げてみよう。
先日、東京へ出張で行った時に、晩ご飯を食べようと、ある居酒屋に入った。
すると、こんなドリンクのメニューが置いてあった。
気になったので、店の人に聞いてみた。
私:「これを見て、オーダーする人は多いですか?」
店:「昨年、4~5月までは売り切れ続出で大変でした。」
私:「今は?」
店:「4~5月をピークに、徐々に減っていき、8月以降は、時折、あるくらいですね~」
昨今の日本人の風潮は、何でも一過性のブームで終わらしてしまう嫌いがある。
ワールドカップの時期になると、にわかサッカーファンが増える。
バナナがダイエットに良いと言ったらバナナに飛びつき、トマトがダイエットに良いと言ったらトマトに飛びつき・・・。
東日本大震災が起きて、2~3ヶ月は、同情のためか支援物資や義援金も集まっていた。
しかし、現在は・・・?
皆の中で、東日本大震災は風化していないだろうか?
私が3回に渡り、見てきた東北は、ライフラインの復旧こそ、早かったものの、産業しかり、生活しかり、住む家、働く場所、etc・・・、まだまだ、復興半ばというより、復興の足がかりさえつかめていない方が多い。
瓦礫の処理にしてもそうである。
震災から1年2ヶ月経過しても、岩手・宮城・福島の3県併せて、1割強しか処理が進んでいないのである。
昨日、午前9時、宮城県石巻市の瓦礫受け入れを検討している北九州市が、試験焼却用の瓦礫約80tを、小倉北区西港町の日明(ひあがり)積み出し基地に、トラック28台で運び込もうとした。
しかし、焼却に反対する市民ら約50人が立ちはだかり、座り込みで抗議して、トラックの基地搬入を阻止しようとしたらしい。
中には、トラックの下に潜ったり・・・。
結局、午後4時すぎに、警察が強制排除に乗り出し、8時間余りたって、トラックは積み出し基地の敷地内に入ることができたようである。
西日本に震災瓦礫が入ったのは初めてのことである。
北九州市によると、試験焼却するのは、放射性セシウム濃度が1kg当たり100Bq(ベクレル) 以下の木くずを中心とした可燃物である。
もちろん、瓦礫の放射能濃度は宮城県が16日に測定した結果、放射性セシウム濃度は1kg当たりで検出できる限界値の20Bq(ベクレル)未満だった。
北九州市では、23日に日明工場で約32t、24日に新門司工場で約48tを、一般の家庭ゴミを9割混ぜて試験焼却する予定にしている。
次の記事を読んで欲しい。
http://www.reuters.com/article/2012/01/31/us-japan-fukushima-health-idUSTRE80U1AS20120131
今年、1月31日に、ロイター通信のインタビューに、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の委員長ウォルフガング・ワイス氏が答えたものである。
UNSCEARは、21か国の科学者らで構成され、広島・長崎の被爆者が受けた影響やチェルノブイリ原発事故の影響などを調査しているのだが、昨年5月、放射線に関した測定データなどを日本政府から提供を受けて1年かけて分析し、今年の5月までに暫定結果を国連総会に報告することになっていた。
タイトルを翻訳すると、「福島では大きな健康影響は見られない」である。
発言内容を要約すると、「原発事故後、迅速な避難が良好だったため、現時点の情報では、人体に深刻な被害をもたらすとは考えられない。」ということである。
私が重要だと思う点は、「環境への影響という観点から、福島原発事故が、1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故より環境への影響が小さいものの、1979年の米スリーマイルアイランド原発事故に比べると、環境への影響が、はるかに深刻である。一方、福島での事故による健康への被害については、現在分かっていることからすると、放射能レベルが低いため皆無だ。食物においても、年間1 mSv(ミリシーベルト)や5 mSv(ミリシーベルト)などと話題にされているが、この程度では健康への大きな影響はない」と語っていることである。
5月18日のブログでもリンクを掲載したのだが、再度、リンクを貼らしていただく。
現地からの声~岩手県・宮城県のガレキのいまを、 現地の声で伝えます~
私は、瓦礫の処理は、現地で可能と考えている。
しかし、現政府は、東日本大震災の瓦礫処理を広域処理で行うと考えている以上、日本中で対応していかなければいけない。
何故、我が国の政府や報道は、UNSCEAR委員長のウォルフガング・ワイス氏の発言を取り上げないのだろうか?
そうすれば、北九州での自身のことしか考えないような愚行もなくなると思うのだが・・・。
私は、また、近いうちに東北へ行くつもりである。
皆も、自分の中で風化させないで欲しい・・・。