数回の寄稿で、平成15年の建築基準法改正では、有害化学物質への対策は不十分と言うことは、幾らかご理解いただいたのではないかと思う。
では、有害化学物質に対して、世間ではどのような対応策が行われているのだろうか?
換気、空気清浄機、観葉植物、etc・・・
いやはや、この程度で除去できるのであれば、シックハウス症候群の人がこれだけ増えるはずがない。
次に、建築資材で見てみよう。
例えば、良く聞くのが、建材は全て天然物を使用するという話し。
無垢の木材、自然石、自然素材、etc・・・
当然のことだが、切ったばかりの樹木は水分を含んでいる。
しかし、これでは建材として使うことは出来ない。
そのために “乾燥”という行程が入る。
樹木は、乾けば乾くほど圧縮強度が増していくという不思議な性質を持っている。
・・・とは言え、樹木を完全に乾燥しようと思ったら、数10年以上かかってしまう。
一般的には、構造材の木材の含水率は20%以下がよいとされている。
それでも、20%の含水率まで下げようと思ったら、天日干しで、3~5年はかかってしまう。
2010年6月23日のブログに、林業について書いているので、目を通して欲しい。
この天日干しというのは、単に水分を乾燥させるためだけに行っているのではない。
本来、樹木はガスを出して、虫を寄せ付けないようにしている。
これらを天日干しにしている間に飛ばすという作用もあるのである。
とは言え、自由化により、海外からは安い輸入建材が入ってくる。
国内でも、そこまでコストと手間をかけられない。
では、どうやって早期乾燥させるかというと、薬品と機械による強制乾燥である。
薬品にドブ付けしたものを天然木と言っているのである。
輸入木材についても2010年6月25日のブログに寄稿しているので参考にして欲しい。
当然、“無垢材”は、合板よりも遙かにコストがかかる。
例え、それが“薬品まみれの木”であったとしても・・・
では、本当に天日で寝かせた、無垢の木を使っている所はないのか?
・・・と、言えば、皆無ではない。
しかし、それは、“薬品まみれの木”よりも、一段とコストがかかるのは言うまでもない。
また、建材のみばかりでなく、最近は自然の物を住宅に使うという傾向がある。
珪藻土、貝殻、備長炭、木炭、竹炭、etc・・・
多孔質のものに有害化学物質を吸着させる目的があるらしいが???
さてさて・・・次回へ。