「真実の口」1,147 シックハウス対策へ、3化学物質追加・・・⑤

前回の続き・・・。

珪藻土に続いて、漆喰・・・。

漆喰とは、本来、“本漆喰”といわれるものだけが漆喰である。

ん?

“本漆喰”とは、消石灰を原料にしている。

消石灰は、石灰岩から作るのだが、消石灰だけでは珪藻土同様塗ることは出来ないので、“ふのり”と呼ばれる海藻糊や、“スサ”と呼ばれるツナギを入れてはじめて塗布できるのである。

“ふのり“は理解できると思うが、“すさ”あるいは“つた”は少し説明が必要になると思う。

“すさ”には、藁、紙、麻などが使われる。

目的としては、壁の補強、亀裂防止、曲げ強度向上、作業効率化をはかることができる。

珪藻土の項でも書いたが、海藻類である“ふのり”に反応する化学物質過敏症の方も多いので漆喰だから安全とは言えない。

更に、最近では、“ふのり”ではなく、化学合成された糊をしようしている漆喰が増えているので、これでは“本漆喰”とは言えない。

更に更に、漆喰調という漆喰もどきもあるので、一緒にしない方が良い。

そして、一般の人で勘違いされている人が多いのだが、漆喰には調湿性はそれほどない。

JIS規格では、JIS A6909という試験方法で調質効果が定められている。

1m2に塗り広げられた試験体が、24時間の間に、何gの水蒸気を吸収する力があるかを測定するものだ。

結構、小難しいステップを踏んで実験されるようだ

① 試験体が湿っていると、正しい試験結果が出ないので、試験を開始する前に、試験体をJIS規格に基づき乾燥させる(養生期間)。
② 養生期間が終わったら、最初に湿度90% 、温度23℃ の湿った空気の部屋に試験体を入れ、24時間後、重量が何g増えるか確認する。
③ 増加量が、吸湿した水蒸気(水分)の量ということになる。
④ 試験体を湿度45% 、温度23℃ の乾いた空気の部屋に移動させ、24時間後、重量が何g軽くなったかを確認する。
⑤ 軽減量が、放湿した水蒸気(水分)の量ということになる。
⑥ この工程を何度も繰り返し行い、何度やっても、吸湿量、放湿量が大きく変わらないことを確認し、その吸放湿の平均値をとって、調湿量とする。

実際の試験においては、1m2の試験体では試験しにくいので、30cm2ほどの小さな試験体を作って、測定結果を1m2に換算しなおすらしい・・・。

JIS規格において、調湿性能があると認められる性能は、1m²の塗り壁で、24時間の調湿量が70g以上の性能がある製品のみが調質効果を謳って良いということになっている。

表現単位は、70g/m²/24hとなる。

一般的な漆喰の調湿量は、40 g/m²/24h程度なので、調湿効果のある建材とは言えないのである。

因みに、2015年3月27日に「国宝姫路城大天守保存修理工事」を終え、グランドオープンした姫路城の姿は記憶に新しいのではないだろうか?

姫路城は過去に何度も修理が行われている。

昭和39年(1964年)の「昭和の大修理」後、50年は保つと言われていたが、漆喰壁や木材の汚れや傷みが激しくなってきたため、平成21年(2009年)から着工され、6年の歳月をかけ生まれ変わったのである。

その姿がこちら・・・。

国宝姫路城

この白さは白漆喰を全面的に使用しているためである。

因みに、屋根も白く見えるのは、屋根目地部(瓦の継ぎ目)にも白漆喰を塗っているためらしい・・・。

一部では、“白鷺城”ではなく“白すぎ城”と揶揄されたりもしたようだが・・・(笑)

改修前後を見比べてみよう・・・!

姫路城(改修前後)

本来の白鷺城は、回収後のように白いのが本当らしいのだが、何故、黒くなったのだろう・・・?

答えは・・・カビ。

漆喰は、前述したが調湿力がそれほど高くない。

つまり、取り込んだ水分は、温度にかなりの変化が無いと放出出来ないということだ。

まあ、これは珪藻土にも言えることなのだが・・・ψ(*`ー´)ψ ゥヶヶ

カビの繁殖条件に必要なのは、温度・湿度・酸素・養分・時間である。

まあ、酸素は除外して、その他のカビの好む環境とは・・・

温度:5℃~35℃(中でも20℃~30℃)
湿度:80%以上
養分:あらゆる有機物
時間:1~2週間(クロカビ)

日本家屋の条件にピッタリではないか!!!

姫路城も普通の本漆喰であれば、一年後には、元の姿に戻るところだろうが、今回は防カビ強化剤を塗布したらしく、3~5年は今の姿を保つらしいので、“白すぎ城”を見たい人は早めに行った方が良いだろう・・・\(o ̄▽ ̄o)/

あなたも安易に漆喰仕上にしたりすると、一年後には大変なことになりますよ・・・ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆

次回へ・・・。