「真実の口」2,079 ‟がん”という病 ㉖~造血幹細胞移植編(その5)~

前回の続き・・・。

《造血幹細胞移植のドナーについて》

1⃣ ドナーとは

同種造血幹細胞移植(同種移植)では、正常な造血機能をもった健康な人から造血幹細胞の提供を受ける必要があり、造血幹細胞の提供者をドナーといいます。

・患者とドナーは、 HLA という白血球の型が完全にあるいは部分的に一致していることが必要である。

ドナーの候補はまず兄弟・姉妹・親子などの血縁者の中で探す。

・血縁者にドナーが見つからない場合は、骨髄バンクドナー臍帯血ドナーなどの非血縁ドナーを探す。

 

2⃣ ドナーの条件

ⅰ ) 年齢

血縁ドナーの場合は、原則として 18 ~ 60 歳であることが条件である。

・例外的に、慎重な判定の基に、 18 歳未満や 61 ~ 65 歳のドナーから採取を行うこともある。

非血縁ドナーの場合は、日本骨髄バンクの「ドナー適格性判定基準」で、骨髄採取と末梢血幹細胞採取のいずれも、 20 ~ 55 歳であることが条件とされている。

ⅱ ) 適格性

血縁ドナーの場合、医師による問診・診察・検査が行われ、日本骨髄バンクのドナー適格性判定基準日本造血細胞移植学会のガイドラインドナー障害保険への加入適格基準などを参照し、適格性が判定される。

・これらの基準を厳密に満たさない場合にも、状況に応じてドナーの意思確認を行った上で、採取を行うこともある。

・患者担当医やドナー担当医以外の第三者的な立場の医師が判断する場合もある。

非血縁ドナーの適格性は、日本骨髄バンクのドナー適格性判定基準に従って判定される。

ドナーになるための健康状態として・・・。
※治療中・検査中の疾患や服薬中の薬剤が基本的にない。
※悪性腫瘍・膠原病(関節リウマチなど)・自己免疫疾患・先天性心疾患・心筋梗塞・狭心症などの循環器疾患・脳卒中やその他喘息などの慢性疾患、 C 型肝炎など一部のウィルス肝炎、エイズ、マラリアなどの感染症などの病気や既往がない。
※高血圧や低血圧でない。
→最高血圧 151mmHg 以上/最低血圧 101mmHg 以上、最高血圧 90mmHg 未満
※過去に輸血を受けていない。
※感染症の病気がない。
※過度の肥満でない。
→体重 ÷ 身長 ÷ 身長が 30 以上の方
・妊娠中および出産後 1 年未満の方、授乳中の方。
・腰の手術を受けたことがある方。

等々の細かい条件がある。

参考:公益財団法人日本骨髄バンク「ドナーのためのハンドブック」

ⅲ ) 公益財団法人日本骨髄バンクへのドナー登録の条件

・骨髄・末梢血幹細胞の提供の内容を十分に理解している方。

・年齢が 18 歳以上、 54 歳以下で健康状態が良好な方

・体重が男性 45kg 以上、女性 40kg 以上の方。

※骨髄・末梢血幹細胞を提供できる年齢は 20 歳以上、 55歳 以下。
→適合検索が開始されるのは 20 歳から。
コーディネートの対象とならなかった方は、満 55 歳の誕生日で登録取り消しになる。
→登録した日(採血日)の年齢が 54 歳で、満 55 歳の誕生日までの期間が 10 日間以内である方は、 HLA 型の検査結果などがデータベースに登録されるまでに最長 10 日間を要するため、適合検索の対象とならない場合がある。

ドナー登録後の健康状態によっては、コーディネートを進めることができないこともある。

3⃣ 造血幹細胞の採取の流れ

造血幹細胞「骨髄」「末梢血幹細胞」臍帯さいたい血」のいずれから得るかによって、採取方法が異なる。

骨髄採取末梢血幹細胞採取の場合は、ドナー幹細胞採取のために入院し、痛みを伴う処置や薬剤投与を受けることが必要なため、身体的・経済的・精神的・社会的な負担が少なくない。

臍帯血採取は、本来は破棄されていた臍帯血から造血幹細胞を採取するため、ドナーに対する負担が少ないことがメリットである。

参考: 骨髄バンク公式 「ドナー登録の流れ~ドナーは患者さんの命を救うヒーロー~」

参考: 骨髄バンク公式「ドナー登録するにはどーするの?」

参考:骨髄バンク公式「一致する患者さんが見つかったよ!~コツとマツ、ドナー候補になる篇~」

参考:骨髄バンク公式「骨髄提供って?~コツ、骨髄ドナーになる篇~」

参考:骨髄バンク公式「末梢血幹細胞提供って?~マツ、末梢血幹細胞ドナーになる篇~」

次回へ・・・。