「真実の口」2,090 ‟がん”という病 ㊲~がん治療による様々な症状・だるさ、倦怠感編~

前回の続き・・・。

《がん治療による様々な症状》

【 全身に起こる症状】

4⃣ だるさ・倦怠感

( 1 ) だるさ・倦怠感について

● だるさ・倦怠感とは、いつもの生活が送りづらいと感じるといった疲れた感覚のことで、‟がん”の治療中によくみられる。

・体がだるい
・何もする気が起きない
・集中力が低下する

・・・等々の症状が、原因によっては数ケ月~数年続くことがある。

( 2 ) 原因

● 倦怠感は、‟がん”や‟がん”の治療の副作用、‟がん”に伴う症状などによって起こりる。

● だるさの原因となりうる症状には、主に以下があげられる。

・痛み
・貧血
・不安
・不眠
・気分の落ち込み
・栄養状態の変化
・筋力低下
・感染症
・脱水
電解質異常(ナトリウムやカルシウムといった電解質の体内でのバランスが悪くなること)

( 3 ) だるさ・倦怠感を感じるときには

・倦怠感に対する有効な治療法は十分に確立されていないので、まずは、倦怠感そのものではなく、だるさの原因となりうる症状(痛み、貧血、不安、不眠など)の治療を行う。

・それぞれの症状に対して薬を使用したり、運動療法を行ったりすることで、倦怠感が軽くなる場合がある。

・体の状態によっては、ステロイド薬を使うことがあるが、感染症にかかりやすくなること、不眠などの副作用があるため、薬の使用については、担当の医師が慎重に判断する。

・‟がん”が進行した場合など、病状によっては、だるさ・倦怠感を完全に取り除くことは難しいため、少しでも症状を改善し、生活の中でうまく付き合っていけるようにすることが目標となる。

( 4 ) 本人や周囲の人が出来る工夫

~症状の把握~

・自分の症状のパターンを把握する。

・倦怠感が強い時間帯と弱い時間帯の症状の程度に合わせて、自分のペースで生活するよう心がけてる。

・倦怠感が弱い時間帯に、一日の中で優先度が高いと思う活動をするとよい場合がある(エネルギー温存・活用療法ともいう)。

・倦怠感が強いときには、身の回りのことを身近な人や家族に手伝ってもらうのことを推奨する。

~休息時間の確保~

・休息をとり、楽だと思える姿勢で休む。

・バスタオルをきつめに丸めたものや、クッション、抱き枕などを使って楽な姿勢を見つけることも 1 つの方法である。

・日中は、活動と休息のバランスをとることを意識しながら、少しずつこまめに休息をとると疲労を回復しやすくなる。

・夜、寝つきが悪かったり、ぐっすりと眠れないと感じたりしたときには、寝つきをよくする薬や不安を和らげる薬の処方を受けられる場合もあるため、担当医に相談してみる。

~体調が許す範囲での運動やマッサージ~

・可能な範囲で、ウォーキングやヨガ、体操などの有酸素運動を行うことは、倦怠感を軽くするために効果的であるといわれている。

・手足のストレッチやマッサージなどで緊張感が和らぐことがある。

~リラクセーションや気分転換~

・つらい症状を抱えながら治療を続けることは、心身ともにストレスがかかる。

・精神的に安定した状態を保つことは、倦怠感の軽減につながる。

・深呼吸や音楽、アロマテラピーなど、自分がリラックスできる方法(リラクセーション)を見つけるようにする。

・調子がよいときは、散歩をしたり、趣味を楽しんだりする時間を作って気分転換することを推奨する。

( 5 ) こんなときは相談する

● 倦怠感が続くときには、担当医や看護師に相談する。

● だるさの程度を伝えるのは難しいが、「ぐっすり寝たのに疲れがとれない」、「集中力が落ちている」、「階段の上り下りで息切れがする」など、日々の生活の中で感じる具体的な状態を伝えるようにする。

次回へ・・・。