前回の続き・・・。
《がん治療による様々な症状》
【 全身に起こる症状】
5⃣ ほてり・のぼせ・発汗(ホルモン低下による症状)
( 1 ) ほてり・のぼせ・発汗(ホルモン低下による症状)について
● ホルモンの分泌が少なくなることによって起こる症状には、ほてり・のぼせ・発汗がある。
● これらの症状はホットフラッシュとも呼ばれ、時や場所を選ばず 1 日にたびたび起こることがあり、その症状が数年間続くこともある。
● 乳がんの治療で行う内分泌療法(ホルモン療法)に伴う症状については、数ケ月程度で落ち着くことが多いとされている。
● うつ症状や不安、いらいら、やる気が出ないなどのさまざまな症状を伴うこともある。
( 2 ) 原因
● 女性ホルモンや男性ホルモンは、脳にある体温を調節する機能と関わりがある。
● ‟がん”の治療によってホルモンが低下し、体温調節に関わっている自律神経のバランスが崩れることが原因となって、ほてり・のぼせ・発汗などの更年期障害と同様の症状が起こることがある。
● ほてり・のぼせ・発汗の原因になる‟がん”の治療には、以下のようなものがあります。る。
● だるさの原因となりうる症状には、主に以下があげられる。
・手術で両方の卵巣や精巣を摘出する。
・‟薬物療法”で、卵巣や精巣の機能に影響を与える種類の薬を使う。
・乳がんや前立腺がんの治療で、女性ホルモンや男性ホルモンの分泌を抑えたり働きを妨げたりする内分泌療法薬(ホルモン療法薬)を使う。
・‟放射線治療”で、全身・骨盤内・脳に放射線を照射する。
( 3 ) ほてり・のぼせ・発汗が起きたときには
・症状が重く日常生活に支障がある場合は、薬で症状を和らげる。
・低下したホルモンを薬で補充するホルモン補充療法(※注 1 )を行うことがあり、ほてり・のぼせ・発汗の症状を和らげる効果があり、婦人科がんや精巣がん、白血病などの血液がん、脳腫瘍などの治療のあとに行うことがある。
(※注 1 ) ホルモン補充療法は、乳がんや前立腺がんの治療で行われる内分泌療法(ホルモン療法)とは異なる。
・ただし、肝臓の状態が悪い場合や、血栓ができやすい場合、がんの増殖にホルモンが関連するタイプのがんである場合は、医師と相談して慎重に検討する。
・乳がんや前立腺がんの場合はホルモン補充療法は勧められないため、それ以外の対処方法を検討する。
・症状があっても軽い場合や、血液中のホルモン濃度が保たれている場合は、数ケ月で症状がなくなる可能性もありるが、どのように対処したらよいのかについては、医師に相談する。
( 4 ) 本人や周囲の人が出来る工夫
~外出するときには脱ぎ着しやすい服装を選び、汗を拭くためのタオルを持ち歩く~
・外出するときには、カーディガンなど脱着しやすい洋服を選ぶ。
・症状が出たときに汗を拭くためのタオルや汗拭きシートを持ち歩く。
・冷却材が入ったスカーフを首に巻くことや、市販のクーリング作用のある制汗スプレーを使うことで、体温を調節することもできる。
~体に熱がこもらない環境を整える~
・吸湿性が高い木綿のゆったりした洋服を着る。
・窓を開けて室内の換気を促し、体に熱がこもらない環境を整える。
~適正体重の維持を心がける~
・食事はバランスよく摂取する。
・長時間座り続けることを避ける。
・普段から階段を使ったりするなどして、できる限り運動を取り入れる。
・生活習慣を見直して、適正体重の維持を心がける。
・手足のストレッチやマッサージなどで緊張感が和らぐことがある。
~ストレスをため込まないようにする~
・症状が出るのは心理的な状態も影響しているといわれている。
・リラックスしたり、心の専門家に相談したり、できる限りストレスをため込みすぎないような生活を心がける。
( 5 ) こんなときは相談する
● 症状が始まる時期には個人差があるため、これは病気や治療とは関係ないのかなと思ってしまう場合がある。
● また、「‟がん”が治ったのだからこれくらいは仕方がない」「‟がん”の治療のためだから我慢しよう」などと症状の改善をあきらめてしまう場合もある。
● ほてり、のぼせ、発汗は日常生活に支障を来すこともある症状である、「こんなことを聞いても大丈夫かな」と悩まず、症状が頻繁にあり過ごしにくい、寝汗が気になり眠れない、気分がコントロールできないなど、気になる症状があれば担当医に相談する。
● 相談するときには以下のような内容を医師に伝える良い。
→ 1 日に何回程度症状が出るか?
→どのようなときや時間帯に多いか?
→症状が自分にとってどれくらい不快であるか?
次回へ・・・。