新型コロナウィルス感染症が終息しない中、新たな脅威となるウィルスが・・・!?
以前、コロナ禍、世界各国で原因不明の子供の肝炎が増えていることはお伝えしたと思う。
そして、原因不明の子どもの急性肝炎により、国内で初めて 1 人の死亡が確認されたた。
国立感染症研究所によると、先月までに、原因不明の子どもの急性肝炎は 162 例報告され、肝臓の移植が必要となったケースも 3 例あったという。
また、患者の年齢は 1 歳 4ケ月~ 9 歳 2 ケ月、中央値では 4 歳 6 か月だったという。
症状は発熱のほか、腹痛や下痢、おう吐といった消化器の症状が多くみられたという。
通常、肝炎は A 型、 B 型、 C 型、 D 型、 E 型までの 5 種類の肝炎ウィルスがある。
しかし、この肝炎は、そのどれもが体から検出されないのだというのだが・・・?
子どもの肝臓病の専門医などで作る日本小児肝臓研究会によると、原因が分からない子どもの重症急性肝炎は、これまでにも年間 10 例程度あったらしいが、今回報告されている原因不明の肝炎についての調査チームを立ち上げて、詳しい症状や原因を調べているという。
海外の研究では、患者の多くから下痢やおう吐などを引き起こす‟アデノウィルス”に関連した別のウィルスが検出されたとして、このウィルスが原因と関わっている可能性も指摘されている。
原因不明の急性肝炎について、イギリスなどの 3 つの研究グループが、3月 30 日、科学雑誌の「ネイチャー」でそれぞれ論文を発表している。
いずれの論文でも、患者の多くから下痢やおう吐を引き起こす‟アデノウィルス”と関連のある‟アデノ随伴ウィルス”が検出されたとしている。
▽イギリスのグループは、肝炎になった子ども 32 人のうち 26 人
▽アメリカのグループは、肝炎になった子ども 14 人のうち 13 人
・・・から検出されたということです。
また、
▽イギリスの別のグループは、 28 人中 27 人で‟アデノ随伴ウィルス”を検出し、このウィルスが体の中で増えるのを助けるとされる別のウィルスも、検出したとしている。
いずれの研究グループも、健康な子どもや、肝炎とは関係のない病気の子どもも同時に調べているが、これらの子どもからは‟アデノ随伴ウィルス”はほとんど検出されなかったという。
本来、‟アデノ随伴ウィルス”は、重い病気を引き起こすことはないとされているそうだが、 3 つのグループのうち、アメリカ・カリフォルニア大学などのグループは「複数のウィルスに同時に感染することが、原因不明の肝炎に影響している可能性がある。」とも指摘している。
一方、新型コロナとの関係について、イギリス・グラスゴー大学などのグループは、調査した地域で新型コロナに感染していた急性肝炎の子どもの割合は地域全体での子どもの感染割合よりも低く、新型コロナと急性肝炎の間に直接的な関連はないとみられると述べている。
国立感染症研究所では、以下のように報告している。
国内における小児の原因不明の急性肝炎について(第 3 報)~ 2023 年 2 月 16 日時点の事例報告集計~
【要旨】
・ 2023 年 2 月 16 日までに暫定症例定義を満たす小児の原因不明の急性肝炎の可能性例が 156 例報告された。肝移植を要した症例が 3 例報告され、死亡例は 1 例報告された。
・これまでの報告と同様、症例の発症時期、居住地域、検出された病原体について、特定の傾向は確認されていない。
・‟アデノウィルス”検査陽性例 16 例のうち、欧米諸国で多く報告されている 41 型が検出された症例は 2 例であった。
・‟アデノウィルス”を含め関連する感染症発生動向調査においても特段の懸念のある動向は見られていない。
【小児の原因不明の急性肝炎報告例の概要】
・厚生労働省(および国立感染症研究所)の調査における暫定症例定義を満たす可能性例は、 2023 年 2 月 16 日(第 7 週)までに、国内で 156 例報告された。
・原因となる病原体、発症の時期については明らかな傾向は認められていない。
・症例は全国から報告されており、地域的な偏りはみられていない。
・発症から入院までの期間は情報のある 149 例において、中央値は 4 日[ 2 – 8 日]、入院期間は情報のある 132 例において、中央値は 10 日[ 7 – 15 日]であった。
・ 156 例のうち、 84 例( 54% )は男性、 72 例( 46% )は女性で、年齢中央値は 4 歳 6ケ月[ 1 歳 4ケ月 – 9 歳 2 ケ月]であった。
・情報が得られた症例のうち、基礎疾患を有する者の割合は 25% ( 39 例 / 155 例)であった。
・少なくとも 1 回以上の新型コロナワクチン接種歴がある者の割合は 17% ( 24 例 / 145 例)、肝炎発症の前に明らかに新型コロナウィルス感染症の既往歴があった者の割合は 15% ( 22 例 / 148 例)であった。
・最もよく見られた症状は発熱、消化器症状であり、これまでの報告と同様であった。
・肝機能の指標となる AST 、 ALT 、総ビリルビン、 PT-INR の中央値についても、これまでの報告と同様の傾向であった。
・全血、血清、便、呼吸器由来検体を主な対象とした病原体検査の結果は、7% ( 11 例 / 150 例)から SARS-CoV-2 が検出された。
・また、アデノウィルスの検査が実施され、結果が判明した症例のうち、 11% ( 16 例/ 151 例)からアデノウィルスが検出された。
・欧米で重症急性肝炎との関連について注目されているアデノウィルス 41 型は 2 例から検出された。
・現時点では、症例から検出された病原体について特徴的な傾向を認めない。
・ ICU/HCU 入室例は 17%( 18 例 / 103 例)であり、急性肝不全の診断基準を満たす者は、 PT-INR に関する情報の得られた 99 例のうち 17 例( 17% )であった。
・これらの割合は第 2 報と同様であった。急性肝不全の診断基準を満たす者 17 例のうち、肝移植を要した症例は、 3 例( 18% ) であった。
・急性肝不全の診断を満たす者 17 例のうち、死亡例が 1 例報告された。
・転帰については、さらなる観察期間を要する可能性に注意が必要である。
当初は、原因不明ということもあり、恐怖心だけが煽られたが、徐々に解明が進んで行く中、新型コロナウィルス感染症の関与が様々な病気に影響を与えているということだろうか?
次回へ続く・・・。