早いもので、2015年も半分が経過してしまった ・・・。
セミナー・展示会の報告が長引いたが、東日本大震災慰霊の旅(中編)へと移らしていただく。
前回(6/8)の続き・・・。
入ったお店は、直角のカウンターで8人程度が入られる店だった。
常連さんらしい先客が4人いらっしゃった・・・。
何気なく、話を聞いていると・・・。
私の右側奥には、常連さんが一人・・・。
海外でアチコチ働いてきて、震災後、気仙沼が気に入り移住してきた人のようだ・・・。
反対の角コーナーには、初めて来られたご夫婦と常連さんがお一人・・・。
ご夫婦の方のご主人は、酒造メーカーで働いていて、海外にも仕事で行っていたらしい・・・。
一番奥の常連さんは、毎日のように、自転車でやってくる市の職員ということのようだ・・・。
しばらく、その中に溶け込んで、雑談を交わしていたのだが、一人消え、二人消えと、10時前には、店には私と女将さんだけになってしまった。
そこから、一時間ほど、女将さんと話をしたのだが、被災された方の生の声だと思うので、紹介したいと思う・・・。
女将さんは、元々、料理屋をやっていたわけではなく、復興屋台村が出来る時に、自身で気仙沼のために何かできないだろうかという思いで店を出したという・・・。
★仮設住宅の話・・・。
夏は暑く、冬は寒いため、エアコンが必需品となり、電気代が馬鹿にならないくらいかかるという・・・。
壁が薄く、子供を抱えている家では、子供が騒がないように出来るだけ音を出さないようにひっそりと生活しているという・・・。
テレビのリモコンを使うと、隣の部屋のテレビまで作用して、チャンネルやボリュームが変わるという・・・。
知り合いがいないため孤独感が増し、引きこもりがちになる人も多いという・・・。
排水が悪く、悪臭が立ちこめたりするという・・・。
★災害公営住宅(災害で家屋を失い、自力で住宅を確保することが困難な被災者のために、地方公共団体が国の補助を受けて供給する住宅)の話・・・。
当初は収入によって賃料が決まるらしいのだが、徐々にあがっていき、5年後には通常の賃料になり、払えなくなる高齢者もいるのでは(?)という・・・。
また、収入によって決まるため、稼ぎ手が増えれば、賃料も高くなり、安易にパートやアルバイトも出来ないという・・・。
ある場所では、川の付近に建てられ、その川に人が流れていくのを見ていた子供達は、PTSDで生活が出来ないという・・・。
★土地買い上げシステムの話・・・。
元々の自分の土地を買い上げてもらい、自宅再建の費用にあてるというシステムがあるらしいのだが、元の3分の1から4分の1程度でしか買い上げてくれないという・・・。
また、分割買い上げをしてくれないので、半分売って、それを住宅資金に充てて、残りの土地の半分に家を建てると言うことはできないという・・・。
★盛土の話・・・。
盛土と盛土の間に水が染み出ていて、地盤が安全なのか不安があるという・・・。
盛土が崩壊した所もあるという・・・。
全ての話を、「・・・という」というように伝聞式で書いたが、女将さんには、遅くまで、色んな話をたくさん聞かせていただき、感謝の意に耐えない・・・m(_ _)m
私は、このような被災された方の話を聞く度に、震災直後のビートたけし氏話を思い出す。
氏の著書『ヒンシュクの達人』(小学館新書)にも収録されている当時のたけし氏の言葉を、一部紹介しよう・・・。
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常々オイラは考えてるんだけど、こういう大変な時に一番大事なのは「想像力」じゃないかって思う。今回の震災の死者は1万人、もしかしたら2万人を超えてしまうかもしれない。テレビや新聞でも、見出しになるのは死者と行方不明者の数ばっかりだ。だけど、この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、被害者のことをまったく理解できないんだよ。
じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか、そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。それは死者への冒涜だよ。
人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。
本来「悲しみ」っていうのはすごく個人的なものだからね。被災地のインタビューを見たって、みんな最初に口をついて出てくるのは「妻が」「子供が」だろ。
一個人にとっては、他人が何万人も死ぬことよりも、自分の子供や身内が一人死ぬことのほうがずっと辛いし、深い傷になる。残酷な言い方をすれば、自分の大事な人が生きていれば、10万人死んでも100万人死んでもいいと思ってしまうのが人間なんだよ。
そう考えれば、震災被害の本当の「重み」がわかると思う。2万通りの死に、それぞれ身を引き裂かれる思いを感じている人たちがいて、その悲しみに今も耐えてるんだから。
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この話は、亡くなられた方にスポットをあてているが、被災された人、被災された人の家族・知人、一人一人にとって大きな事件であることは変わりない・・・。
何万、何十万、何百万通りの事件が起きた理由だ・・・。
震災から4年も経過すると、忘れがちなのかも知れないが、想像力をもっと働かせて欲しい・・・。
今でも、震災がすぐ側にある人達のことを・・・。
次回へ・・・。