前回の続き・・・。
興味深い記事を見つけたので紹介する。
新型コロナウィルス感染症対策アドバイザリーボードのメンバーを務める京都大学大学院医学研究科・西浦博教授のレポートである。
このレポートは、オミクロン株の“エンデミック”について予想がされている。
“エンデミック”
☞医療・公衆衛生において、ある感染症が一定の地域に一定の罹患率又は一定の季節で日常的に繰り返し発生することや、感染性病原体が恒常的に存在していることを指す。
ついでに、解説すると・・・。
“エピデミック”
☞平時で期待される感染者数を異常に上回っている状態で、集団の中で本来あるはずのない流行が起きていることを指す。
“パンデミック”
☞“エピデミック”が複数の国や大陸に広がる事態で、人獣共通感染症(伝染病)が世界的な大流行をみせること。
レポートを閲覧したが、流石に、専門的過ぎて分からなかったので、西浦教授へのインタビューの記事があったので、それに基づき紹介したいと思う。
新型コロナを「当たり前の感染症」として受け入れた時、何が起きるのか? 感染者はインフルの数倍から 10 倍に
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Q. 現在の状況は、“エピデミック”であり、“パンデミック”なわけですね?
A. そうです。
Q. 今回、先生が予測を出した「エンデミック」というのはどういう状況ですか?
A. “エンデミック”は「風土病的流行」と書かれることがあります。病原体が特定の人口に根付いて、常在している状態です。
Q.日本で新型コロナが“エンデミック”化するというのはどういうイメージですか?
A. 新型コロナウィルスは今まで“エピデミック”の状態で、「ハンマー&ダンス」の対応を取ってきました。つまり、流行が一気に拡大しようとする時点で、感染拡大を抑える強い対策を打って叩く(ハンマー)。一気に新規感染者数を下げたら、また対策を緩めて過ごす(ダンス)。その繰り返しです。それは“エピデミック”の時期だけに行うことで、“エンデミック”になると人口内で感染が常在することを許す状況になります。
Q.エンデミックは社会の「もう特別な対策は取らないよ」という態度も含んでいる状態なわけですね。
A. そうです。常時、新型コロナがあることが普通になる状態のことです。
Q. なぜ今のような“エピデミック”、“パンデミック”の状態で、随分先にある“エンデミック”の見通しを出したのですか?
A. 今、日本はコロナ対策を考える上で、とても重要な分岐点に立っていると思います。中国のようにまだ封じ込めをやっていくという思想も理論的には可能です。社会的にはそれは難しいと思いますが……。
一方で、英国や米国が他の国に先んじて決断したように、“エンデミック化”をほぼ無防備に受け入れるのも一つの選択肢です。
今、私が問題意識を持っているのは、“エンデミック化”することを多くの先進国が選択しているので、日本も無批判にエンデミック化するのだろうと皆さんが思っていることです。「“エンデミック化”していいですね?」という確認も行われないまま、なし崩し的に受け入れています。
その時のリスクがどれぐらいで、この感染症を受け入れた結果、何が起こるのか。その分析や議論をせずに、変化が起こる分岐点に立っています。
まずは“エンデミック化”することが、日本ではどういう意味を持つのか、皆さんと一緒に認識することが重要なのだと思っています。
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ここまでのインタビューを読んでどのように感じたろうか?
私が言いたいことがまさにこのことなのである。
新型コロナの実態も分からないまま、なし崩し的に、“新型コロナウィルス ≒ インフルエンザ”的な考えが主流になってきているのではないだろうか?
果たして、そんな楽観論が通じるのだろうか?
西浦教授は、“エンデミック化”する時に、この先何が起き得るかを検討し、未来のリスクをある程度把握し、長期的にどう立ち向かったらいいかを判断する材料として、「 SIRS( Susceptible-infectious-recovered-susceptible)モデル」を使い試行した。
S ( Susceptible )・・・感染し得る感受性を持っている人
I ( Infectious )・・・感染していて他の人にも感染させ得る人
R ( Recovered )・・・感染から回復して二次感染を起こさなくなり、免疫を持っている人
これもまた、難しいので簡単に解説する・・・。
現在の日本ではワクチンを何度も接種することにより、免疫を持たせ終息を図れるという考えである。
しかし、現実的には、 3 度接種しようが、 4 度接種しようが、簡単にブレークスルー感染が起こり、重症化しないと言われながら、死亡にまで至っているのである。
西浦教授は、予防接種も自然感染も一定期間を経ると感染予防効果の免疫が失われる、「免疫の喪失」としている。
単純に言えば、免疫を持っていた“ R ( Recovered )”の人が、感染感受性のある“ S ( Susceptible ) ”に何度も戻るという可能性を指摘している。
これらの繰り返しにより、ウィルスは変異株が生まれて、これまでの免疫を回避する影響が増大する可能性もあるのではないだろうか?
変異が早ければ早いほど、「平均免疫保持期間」と呼ばれる免疫を喪失するまでの時間、は短くなる。
“エンデミック”時、西浦教授が「 SIRS( Susceptible-infectious-recovered-susceptible)モデル」を用いて導き出した答えは以下のようになっている。
少なくとも常に少なくとも 1 〜 2% の感染者がいることを受け入れる
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常に 120 万人から 240 万人の人が感染している状態
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ウィルスの排出期間を 6 日間と想定すると、 6 で割った値が 1 日の新規感染者数になる
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1 日あたり 20 万〜 40 万の新規感染者数が出る状態
全数は終えていないので、 1 割位の報告数と考えれば、現在の状況程度が日常であるということになる。
死者を見てみると、毎日、 200 ~ 300 人が報告されるのが、日常的になっているということを受け入れるということである。
あなたは、喜んで受け入れますか?
前週前半の感染動向をリンクで報告する。
次回へ・・・。