前回の続き・・・。
8 月 5 日(金)に、第 82 回・厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 4 年度第 8 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催された。
今回は、“アナフィラキシー事例”を寄稿する。
≪アナフィラキシー報告事例≫
【ファイザー社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 6 月 12 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 7 件増加し(うち、 4 回目接種後の事例は 0 件)、令和 3 年 2 月 17 日から令和 4 年 7 月 10 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 3,277 件(うち、 4 回目接種後の事例は 0 件)となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 7 月 10 日までに報告された 3,277 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○ 評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | 4回目接種時 | ||
1 | 123(+2) | 91(±0) | 27(±0) | 5(+2) | 0 |
2 | 476(+1) | 343(+1) | 124(±0) | 9(±0) | 0 |
3 | 24(±0) | 21(±0) | 3(±0) | 0(±0) | 0 |
4 | 2,549(+4) | 1,799(+1) | 661(+1) | 89(+2) | 0 |
5 | 105(±0) | 70(±0) | 34(±0) | 1(±0) | 0 |
合計 | 3,277(+7) | 2,324(+2) | 849(+1) | 104(+4) | 0 |
○アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、 3,277 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 623 ( +3 ) 例となっている。
●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・623 件/ 218,989,953 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 2.8 件
○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 4 | 2 | 2 | 0 |
15~19 | 13 | 6 | 7 | 0 |
20~24 | 46 | 11 | 34 | 1 |
25~29 | 53(+1) | 6 | 47(+1) | 0 |
30~34 | 60(+1) | 13 | 47(+1) | 0 |
35~39 | 86(+1) | 9(+1) | 77 | 0 |
40~44 | 82 | 9 | 73 | 0 |
45~49 | 94 | 8 | 86 | 0 |
50~54 | 56 | 2 | 54 | 0 |
55~59 | 43 | 5 | 38 | 0 |
60~64 | 19 | 1 | 18 | 0 |
65~69 | 25 | 6 | 19 | 0 |
70~74 | 13 | 5 | 8 | 0 |
75~79 | 5 | 1 | 4 | 0 |
80歳以上 | 20 | 2 | 18 | 0 |
不明 | 2 | 1 | 1 | 0 |
合計 | 623(+3) | 87(+1) | 535(+2) | 1 |
(参考) 65歳以上 |
63 | 14 | 49 | 0 |
(参考) 12~17 |
11 | 5 | 6 | 0 |
(参考) 18~24 |
54 | 14 | 39 | 1 |
今回も、増減の箇所だけ色を変えている。
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 560 ( +3 )例
65 歳以上・・・ 63 ( ±0 )例
〔考察〕 今回も、アナフィラキシー事例の注目点も 3 回目接取ではなく 4 回目接種にスポットを当てている。 新規で増えたブライトン分類レベル 1 ~ 3 に該当したのは 20 ~ 40 代だった。前回もそうだが、若年層のかたよりが見られるのか?
【性別】
男性・・・ 76 ( +1 )例
女性・・・ 535 ( +2 )例
性別不明・・・ 1 ( ±0 )
〔考察〕 ファイザー社の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
【モデルナ社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 6月 12 日)以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 3 件増加し(うち、 4 回目接種後の事例は 0 件)、令和 3 年 5 月 22 日から令和 4 年 7 月 10 日までに報告された副反応事例は、計 572 件(うち、 4 回目接種後の事例は 0 件)となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 6 月 12 日までに報告された 572 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | 4回目接種時 | ||
1 | 9(±0) | 8(±0) | 1(±0) | 0(±0) | 0 |
2 | 57(+1) | 36(±0) | 15(+1) | 6(+1) | 0 |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0 |
4 | 476(-2) | 318(-4) | 119(±0) | 39(+2) | 0 |
5 | 30(+4) | 29(+4) | 1(±0) | 0(±0) | 0 |
合計 | 572(+3) | 391(±0) | 136(+1) | 45(+2) | 0 |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 572 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 66 ( +1 ) 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 66 件/ 65,722,5078 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1.0 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 1 | 0 | 1 | 0 |
15~19 | 5 | 0 | 5 | 0 |
20~24 | 13 | 6 | 6 | 1 |
25~29 | 9 | 2 | 7 | 0 |
30~34 | 11 | 1 | 10 | 0 |
35~39 | 7 | 3 | 4 | 0 |
40~44 | 5 | 0 | 5 | 0 |
45~49 | 5(+1) | 1 | 4(+1) | 0 |
50~54 | 3 | 0 | 3 | 0 |
55~59 | 5 | 3 | 2 | 0 |
60~64 | 0 | 0 | 0 | 0 |
65~69 | 2 | 0 | 2 | 0 |
70~74 | 0 | 0 | 0 | 0 |
75~79 | 0 | 0 | 0 | 0 |
80歳以上 | 0 | 0 | 0 | 0 |
不明 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 66(+1) | 16 | 49(+1) | 1 |
(参考) 65歳以上 |
2 | 0 | 2 | 0 |
(参考) 12 ~ 17 |
2 | 0 | 2 | 0 |
(参考) 18 ~ 24 |
17 | 6 | 10 | 1 |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 64 ( +1 ) 例
65 歳以上・・・ 2 ( ±0 ) 例
〔考察〕 今回は、前回と変更無し。
男性・・・ 16 ( ±0 ) 例
女性・・・ 49 ( +1 ) 例
〔考察〕今回は、 65 歳未満女性の 1 例が増えただけだった。
【アストラゼネカ社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 6 月 12 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例に増加はなく、令和 3 年 8 月 3 日から令和 4 年 7 月 10 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 6 件となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 7 月 10 日までに報告された 6 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4 | 6 | 3 | 3 | 0 |
5 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 6 | 3 | 3 | 0 |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 6 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 0 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 1 件/ 117,564 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0 件
【ファイザー社製小児( 5-11 歳用)】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 6 月 12 日)以降、コミナティ筋注 5 ~ 11 歳用の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシー疑いとして報告された事例に増加はなく、令和 4 年 2 月 21 日から令和 4 年 7 月 10 日までに報告されたアナフィラキシー疑い事例は、計 8 件となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 6 月 12 日までに報告された 8 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
○ 「ブライトン分類」での評価は、 8 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 2 例となっている。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 1 | 0 | 1 | 0 |
2 | 1 | 1 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4 | 5 | 4 | 1 | 0 |
5 | 1 | 0 | 1 | 0 |
合計 | 8 | 5 | 3 | 0 |
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 2 件/ 2,692,810 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0.7 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
5~9 | 1 | 0 | 1 | 0 |
10~14 | 1 | 0 | 1 | 0 |
合計 | 2 | 0 | 2 | 0 |
《小児ワクチン接種後の副反応に関する考え方》
○ 副反応疑い報告制度において、 2022 年 7 月 10 日までに小児( 5 – 11 歳用)ワクチン接種後の副反応疑いとして報告された事例は以下のとおりであった。
≪医療機関報告≫
・ 1 回目接種 68 ( +6 )件( 0.0049% )
・ 2 回目接種 42 ( +4 )件( 0.0032% )
≪製造販売業者報告≫
・ 1 回目接種 83 ( +12 )件( 0.0059% )
・ 2 回目接種 42 ( +11 )件( 0.0032% )
○死亡として報告された事例は、2 回目接種後 1 件( 100 万回接種あたり 0.4 件)であった。
○ 疑い報告の症状名は、発熱、けいれん発作等であった。
○ 心筋炎・心膜炎に係る報告事例は、以下のとおりであった。
【心筋炎】
1 回目接種
・ ブライトン分類 1 ~ 5 ・・・ 4 ( +1 )件( 100 万回接種あたり 2.9 件)
・ ブライトン分類 1 ~ 3 ・・・ 1 ( +1 )件( 100 万回接種あたり 0.7 件)
2 回目接種
・ブライトン分類 1 ~ 5 ・・・ 4 ( +1 )件( 100 万回接種あたり 3.1 件)
・ブライトン分類 1 ~ 3 ・・・ 0 件( 100 万回接種あたり 0 件)
【心膜炎】
1 回目接種
・ ブライトン分類 1 ~ 5 ・・・ 3 ( +1 )件( 100 万回接種あたり 2.1 件)
・ ブライトン分類 1 ~ 3 ・・・ 1 ( ±0 )件( 100 万回接種あたり 0.7 件)
2 回目接種
・ブライトン分類 1 ~ 5 ・・・ 0 件( 100 万回接種あたり 0 件)
・ブライトン分類 1 ~ 3 ・・・ 0 件( 100 万回接種あたり 0 件)
【小児ワクチン接種に関する論点のまとめ】
○ 小児( 5 ~ 11 歳用)ワクチン接種後の報告状況について、現時点においては、引き続き、ワクチンの接種体制に影響を与える程の重大な懸念は認められないと考えてよいか?
《 4 回目接種後における副反応に関する考え方》
○ 2022 年 7 月 10 日までにおける 4 回目接種に係る報告状況は以下のとおりであった。
【ファイザー社ワクチン】
・医療機関報告 11 件( 0.0006% )
・製造販売業者報告 12 件( 0.0006% )
・死亡報告 1 件( 100 万回あたり 0.5 件)
【モデルナ社ワクチン】
・医療機関 5 件( 0.0008% )
・製造販売業者 1 件( 0.0002% )
・死亡報告 0 件( 100 万回あたり0 件)
《 4 回目接種に関する論点のまとめ》
○ 国内の4回目接種後に係る副反応疑い報告状況については、現時点では重大な懸念は認められないと考えてよいか。
〔考察〕重症化もせずワクチンを打っても感染は止められないという状況下、 3 回目接種の真の有効性の検証もないまま 4 回目接種も拙速に始められ、 5 ~ 11 歳への接種も推奨・実行されている。再三再四伝えるが、拙速な子供へのワクチン接種推進は止めた方が良い。
次回へ・・・。